ブックタイトル令和2年度版 高等学校美術・工芸教科書 内容解説資料(別冊)

ページ
48/52

このページは 令和2年度版 高等学校美術・工芸教科書 内容解説資料(別冊) の電子ブックに掲載されている48ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

令和2年度版 高等学校美術・工芸教科書 内容解説資料(別冊)

新しい学習指導要領を読む京都市立芸術大学 教授  横田 学481. 学習指導要領の改訂について 2018(平成30)年3月30日,新しい高等学校学習指導要領が告示された。この高等学校学習指導要領は2019年度から先行実施され,2022年度には学年進行で実施されることとなる。本章では,改訂の全体像について,その方向性,ポイント等について述べる。① 改訂の方向性 2016(平成28)年12 月21日に示された中央教育審議会答申においては, “よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る”という目標を学校と社会が共有し,連携・協働しながら,新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現を目指し,学習指導要領が,学校教育を通じて子供たちが身に付けるべき資質・能力や学ぶべき内容などの全体像を分かりやすく見渡せる「学びの地図」としての役割を果たすことが期待されている。また,この「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて,以下の6点に沿って枠組みを考えていくことが必要となるとされている。○ 「何ができるようになるか」育成を目指す資質・能力○ 「何を学ぶか」教科等を学ぶ意義と,教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成○ 「どのように学ぶか」各教科等の指導計画の作成と実施,学習・指導の改善・充実○ 「子供一人一人の発達をどのように支援するか」子供の発達を踏まえた指導 ○ 「何が身に付いたか」学習評価の充実○ 「実施するために何が必要か」学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策② 改訂のポイント(1)「何ができるようになるか」を明確化 知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むため,「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら,授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していけるよう,全ての教科等が,「(1)知識及び技能」「(2)思考力,判断力,表現力等」「(3)学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で再整理された。この三つの柱は,教科の目標の中に位置付けられると同時に,内容の構成もそれらを踏まえて整理されている。(2)主体的・対話的で深い学びの実現 選挙権年齢の引き下げなどに伴い,高等学校においては,社会で求められる資質・能力を全ての生徒に育み,生涯にわたって探究を深める未来の創り手として送り出していくことがこれまで以上に求められている。そのため,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が必要とされている。【主体的な学び】学ぶことに興味や関心を持ち,自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら,見通しを持って粘り強く取り組み,自己の学習活動を振り返って次につなげる。【対話的な学び】生徒同士の協働,教職員や地域の人との対話,先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ,自己の考えを広げ深める。【深い学び】各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見方・考え方」を,習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通じて,より質の高い深い学びにつなげる。③ 改訂の全体像のまとめ 今回の改訂では,「何ができるようになるか」という観点で各教科等で育成を目指す資質・能力を明確化し,「何を学ぶか」という観点で各教科等で育む資質・能力を明確化し,目標や内容を構造的に示し,さらにそれらを「どのように学ぶか」の観点で主体的・対話的で深い学びの視点からの指導の改善・充実を図ることが求められている。