小学校 図画工作

小学校 図画工作

「かたちから みーつけた!」(第1学年)
2014.03.24
小学校 図画工作 <No.030>
「かたちから みーつけた!」(第1学年)
東京都昭島市立共成小学校教諭 橋本範子

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「かたちから みーつけた!」

2.目 標

 紙をちぎってできた偶然の形を基に発想を膨らませ,楽しみながら自分のイメージを表す。

3.準備(材料・用具)

教師:A4コピー用紙,八切画用紙,スティックのり,磁石,プロジェクター(winペイント使用),パソコン,名札
児童:クレヨン・パス,筆記用具

4.評価規準

造形への関心・意欲・態度
○ちぎったときの感触や音を感じたり,ちぎった紙の形が何に見えるか考えたりすることに関心をもち,楽しみながら活動に取り組んでいる。

発想や構想の能力
○ちぎった紙の形を基に発想を膨らませ,自分のイメージを描いている。

創造的な技能
○紙の感触を楽しみながら,ちぎっている。
○自分のイメージに合わせて,画用紙やクレヨン・パスの色を選んだり,ぬり方を工夫したりしている。

鑑賞の能力
○感じたことを話したり,友達の話を聞いたりしながら,作品や見立ての面白さを感じている。

5.本題材の指導にあたって

 小学校6年間を通して図画工作科で身に付けさせたい力の1つに,「形や色を用いて自分のイメージを伝える力」がある。そのために,低学年から,自分で色を選んだり,形をつくったり,色や形を基にイメージをもったりする活動をたくさん経験させることが大切である。
 本題材は,紙をちぎってできた偶然の形を基に発想を膨らませ,思い付いた自分のイメージを絵に表す活動である。日頃から,児童は,身の回りにある雲,葉,水たまりなどの偶然の形を「クジラに見える」「顔に見える」と発言し,見立てることの面白さを感じている。この見立てこそ,児童が自分の感覚を通して形をとらえ,自分のイメージをもった瞬間である。日常の中で見立てを楽しんでいる低学年の時期に,形を主役とした題材を投げかけ,形のもつ多面的な面白さと自分のイメージを人に伝えることの楽しさを味わわせたい。

6.指導計画(全2時間計画)

学習活動の流れ

指導上の留意点,評価方法

1

◯材料の感触を楽しみながら,いろいろな形を表す。

紙の感触を楽しみながら,ちぎってみましょう

・紙には,いろいろなちぎり方があることを知り,試す。
・コピー用紙をちぎり,偶然の形をつくる。
①鉛筆で紙の好きな場所4か所に穴をあける。
②いろいろなちぎり方を試しながら,穴を通って一周する。

・ギザギザ,くねくね,まっすぐなどちぎり方の例を児童と一緒に考え板書する。
・穴をあけるときは,
①鉛筆の角度は小さく。
②手の位置は穴をあける場所の横。
と伝え,ケガをしないよう配慮する。

[創]紙の感触を楽しみながら,ちぎっている。(様子・発言)

2
本時

○紙をちぎってできた偶然の形を基に発想を膨らませ,楽しみながら自分のイメージを表す。

・学級全体で参考作品を見て,何に見えるか考えることで,形にはたくさんの見方があることに気付くことができるようにする。
・クレヨン・パスで色をぬるときは,薄い色からぬるよう言葉かけをする。
(児童に指導をする際は,直感的に分かりやすいよう,薄い色を「よわい色」,濃い色を「つよい色」としている。)
・紙を貼るときは,スティックのりをポンポンと軽く押し付けてつけるよう言葉かけをする。

[関]ちぎってできた形が何に見えるか楽しみながら考えている。(様子・発言)

[発]ちぎった紙の形を基に発想を膨らませ,自分のイメージを描いている。(様子・発言・作品)

[創]自分のイメージに合わせて,画用紙やクレヨン・パスの色を選んだり,ぬり方を工夫したりしている。(様子・発言・作品)

[鑑]ちぎった紙を見たり,友達と対話をしたりして,作品や見立ての面白さを感じている。(様子・発言)

ちぎった紙の形から思い付いたものをかきましょう

・ちぎった紙の向きや角度を変えて,いろいろな見方を試す。
・名札の裏に,形から見立てたものを2つ以上書く。
・クレヨン・パスで紙に色を付け,思い付いたものを工夫して表す。
・見立てたものに合わせて画用紙(台紙)の色を選び,ちぎった紙を貼る。
・題名を付け,自分の作品を説明する。

7.本時の指導(2/2)

①目 標
○紙をちぎってできた偶然の形を基に発想を膨らませ,楽しみながら自分のイメージを表す。

②学習展開

主な学習活動・内容

☆指導の工夫や教師の支援・評価の留意点

◯本時の課題をつかみ,活動の見通しをもつ。
・ちぎった紙からいろいろな形に見立てられることに気付く。

☆ちぎった紙が一人ひとり違う形をしていることを確認し,自分がつくった形からイメージを広げていくことを意識させる。

教師(以下T):何に見えるかな?
児童(以下C):鳥だよ!右下が口ばしに見えるでしょ。
C:ちょうちょに見えるよ!大きく羽を広げているみたいだよ。
T:じゃあ,くるっと回したら……。
C:あっ,手裏剣みたい。
C:上から見たゾウに見えるよ。
C:ゾウ?どこがゾウに見えるの?

T:ゾウに見えたんだね。どこが目かな。鼻は?
C:ここのあたりが目だよ!
T:先生がパソコンでかいてみるね。目はこのあたりかな。
C:本当だ!上から見たゾウになった。

☆視聴覚機器を活用し,児童の発想を画面に描き加えたり,注目するポイントを拡大して分かりやすくしたりして,学習の見通しがもてるようにする。

☆紙の向きや角度を変えることで,いろいろな形に見立てられることを確認する。

○学習課題に取り組む

☆色を重ねる時は薄い色から重ねること,強くぬる方法と弱くぬる方法があること,細い線と太い線の違いを確かめ,黒板に掲示する。

ちぎった紙の形から 思い付いたものを かきましょう。

・ちぎった紙に色をぬり,友達に自分の思い付いたイメージを伝えることを知る。
・用具の正しい使い方を確認する。

・自分がちぎった紙の形が何に見えるか考える。
・いくつも思い付いた児童は,名札の裏に思い付いたものをメモする。

C:ギザギザが鬼の金棒みたいに見えてきた!何色でぬろうかな。

・自分のイメージが伝わるよう,紙にクレヨン・パスでかき加える。

☆何に見えるか考える時間を十分に確保することで,たくさんの見方を実感できるようにする。

・見立てられない児童への手立て
→班の友達に何に見えるか相談したり,一緒に考えたりして,発想のきっかけをつくる。
→紙をもう少しちぎって形を変える,先に台紙に貼ってかき加える等,イメージを補うよう支援する

・見立てられるが,絵に表すことができない児童への手立て
→何に困っているのか聞き,一緒に色を選んだり,児童のイメージを試し紙にかいたりして支援する。

・自分が思い付いたものに似合う色の画用紙(台紙)を選ぶ。

C:クマに似合う色は何かな。
C:森にいるから,緑が似合うよ!

・紙を台紙に貼って,周りをかき足す。

C:上を向いているみたいに,斜めに貼ってみよう。

C:玉乗りゾウさんにしよう!ボールをかくぞ!

☆思い付いたものに似合う色やよく見える色を考えて,自分で台紙を選べるようにする。

・台紙に模様を付けたり,周りの様子を描き足したりしている児童への対応
→形から発想を広げ,周りまで想像してかけたことを褒める。

◯作品や見立ての面白さを共有する。
・自分の作品を紹介する。

C:ここの形がしっぽに見えたから犬にしました。
T:形から思い付いたことを,友達に伝えることができたね。

☆基になった形が何に変身しているか見付けるよう言葉かけし,鑑賞の視点を示す。

【児童作品】

もりのくまさん

もりのくまさん

ふじさん

ふじさん

ファイヤーバード

ファイヤーバード

大きいくつ

大きいくつ

あざらし