小学校 算数

小学校 算数

「なんじ なんぷん」(第1学年)
2022.11.25
小学校 算数 <No.019>
「なんじ なんぷん」(第1学年)
福岡教育大学附属久留米小学校 教諭 藤木宏平

1.単元名

「なんじ なんぷん」(第1学年)

2.単元の目標

 時計の短針と長針の位置をもとに、それぞれの針が示す数と時刻を表す数との対応を理解し、日常生活と結びつけて時刻を読むことができること。
 時刻を表す単位に着目し、短針や長針の役割(何時、何分)について考察し、時刻を読んだり、時刻と日常生活を関連付けたりすること。

3.評価規準

【知識・技能】
 短針は「何時」、長針は「何分」を表していることを理解し、時計を読んだり、時計で時刻を表したりすることができる。

【思考・判断・表現】
 時刻を表す「時」と「分」の単位に着目し、時計の目盛りと長針、短針の位置関係をもとに、時刻の読み方を考えている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 生活の行動を決めたり、時間割を守ったりすることができるといった時刻を用いるよさに気付き、日常生活の中で時刻を用いようとしている。

4.本単元の指導にあたって

 本学級の子どもたちは、これまでに、何時や、何時半といった短針が2つの数字の真ん中にある場合は、最後に通過した数字を読むこと、長針が12の場合は読まず、6の場合は「半」と読むことを捉えている。そこで、20より大きい数を読むことができるようになるこの期に本単元を取り上げる。そして、子どもの日常生活場面と時刻とを関連させながら、時刻を読むことができるようにする。
 また、本単元の指導にあたっては、時刻を表す単位に着目し、短針や長針の役割(何時、何分)について時刻と関連付けて捉えることができるようにする。そのために、児童の日常生活での様々な場面の時刻について調べる中で、時刻を表す単位の「時」と「分」に着目して、短針と長針が指す数字と時刻の関係を調べていく教材を取り上げる。
 そして、デジタルコンテンツの効果的な活用場面としては、短針と長針の位置と時刻の「時」を単位とする数値と「分」を単位とする数値とを視覚的に対応させることで、短針と長針の表す数値の意味を捉える場面で活用する。

5.単元の指導計画

学習のねらい

おもな学習内容

1
本時

短針と長針が指す数字をもとに日常の生活と関連付けて時刻の読み方を捉える。

短針と長針が示す目盛りとデジタル時計の表す数字の対応について調べる。

デジタルコンテンツ
デジタル教科書

2

短針と長針が指す数字をもとに日常の生活と関連付けて時刻の効率的な読み方を捉える。

素早く時刻を表したり、読んだりする方法について調べる。

デジタルコンテンツ
デジタル教科書

6.本時の学習

①ねらい
 時刻は、短針が最後に通過した数の0~12の「時」を単位とした数と、長針が指す目盛りの0~59の「分」を単位とした数をもとにして読み取るとよいことを捉えることができるようにする。
日常生活の活動を始める時刻を説明する場面で、時刻の単位に着目し、アナログ時計の短針と長針の位置とデジタル時計の数値をつなぐ活動を通して、時刻の読み方を説明することができるようにする。

②指導の実際
(1)導入段階

 この段階では、今までの「何時」や「何時半」で読むことができない時刻を調べたいというめあてを持たせることをねらいとした。
 そのために、まず、以下のすべての日常場面とそのときの時刻を表す時計を提示した。そして、❶の既習の時計の読み方を振り返り、7時半が7時30分と表されていることに気付く活動を位置づけた。

(画像1)アナログ時計とデジタル時計の比較 ここでは、デジタルコンテンツを活用して、アナログ時計の7時半とデジタル時計の「7:30」を並べて比較する場を設定した(画像1)。
 子どもたちは、「7時半が7時30分になっていて、7時は同じだが、『半』を数字で表している違いがあること」、「何を数えると、30分になるのか」といった今までとの違いから問いを持ち、本時問題を捉えることができた。

(2)展開段階
 まず、展開前段では、長針が「分」を単位とした時計の目盛りの数字を示していることを捉えさせることをねらいとした。
 そのために、「30分」は何を数えると「30」となるのかを調べたり、❷の長針が数字上にある時刻を調べたりする活動を位置づけた。
 ここでは、デジタルコンテンツを活用して、時計の短針と長針が示す目盛りとデジタル時計が表す数字を見比べながら操作し、長針の位置がアナログ時計の「分」を単位とする目盛りの数を表していることに気付かせることができるようにした。
 子どもたちは、画像2のようにアナログ時計の目盛りとデジタル時計の数値を交互に指し示しながら、「長い針を動かすと『分』の数字が変わるよ」や「長い針は、小さい目盛りの数を表しているんだ」と、「アナログ時計とデジタル時計を見比べる」活動を通して長針が示す数の意味を理解することができた。

(画像2)目盛りと数値を関連付ける子ども

 次に、展開後段では、長針の位置がアナログ時計の目盛りの数を表していることの捉えを確かにすることをねらいとした。
 そのために、❷の長針が数字上にある教科書の問題を取り上げ、画像3のように「8時2分」と誤答を提示し、間違いについて話し合わせる活動を位置づけた。

(画像3)誤答を長針の数値をもとに説明する子ども

 ここでは8時10分の正しさを説明させた後に、時刻の正しさの根拠としてデジタルコンテンツの操作をもとに確認ができるようにした。
 子どもたちは、短針については今までのように「7時半のときと同じように、短針が通った数字をもとに『何時』を表していること」を説明することができた。長針は、「目盛りの数をもとに『何分』を表していること」を説明することができ、長針が示す数の意味の捉えを確かにすることができた。

(3)終末段階
 この段階では、展開段階で捉えた短針と長針の意味を用いて、日常生活の場面と時刻を関連付けながら様々な時刻を読むことをねらいとした。
 そのために、本時の2つ目の主な活動として、教科書に掲載されている❸のアナログ時計の数字上に長針がない時刻を読む活動から、自分の日常生活の時間を友達にクイズとして出し合う活動を位置づけた。
 ここでは、デジタルコンテンツを活用して、アナログ時計の時刻を読み取るときの答えの根拠として、デジタル時計の数値を示すようにした。
 子どもたちは、日常の生活場面と関連付けながら、時刻を読むときには、短針と長針が示す数を区別しながら捉えることができた。

(画像4)お互い問題を出し合う子ども

7.指導を終えて

【デジタルコンテンツの活用について】
 本単元に関するデジタルコンテンツの活用について、効果的な活用場面を2つ見いだすことができた。
 1つは、時刻の読み方における短針と長針の位置が示す数の違いの捉えが容易になることである。短針と長針の示す数の指導は、教師が教えることが多い。しかし、アナログ時計の針がデジタル時計の数値に連動しているデジタルコンテンツを提示することで、既習の一対一対応をもとに、「デジタル時計の数はアナログ時計の何に対応しているのか」を探そうとする子どもの姿が見られた。これは、動的な針の動きとデジタル時計の時刻の数値の変化を関連付けることができ、子どもが短針と長針の示す数の違いを捉える上で効果的であった。また、デジタル時計を「けす」をクリックすることで隠すことができるので、子ども同士で時計の問題を出し合う場面においても、デジタル時計を根拠に答え合わせをすることができ、自分たちで時計の問題を進める上でも効果的であった。
 もう1つは、長針と短針の関係である。長針を回すとデジタル時計の「分」の数値が増えていき、一回転するときに「時」の数値が1つ上がるといった「時」と「分」の単位の関係を視覚的に捉える上で効果的であった。これは、第2学年の「時間の単位」の学習につながっていく。

【デジタル教科書の活用について】
 画像5のように、デジタル教科書の時計の画像をICTの提示機能で子どもたちと共有することで、子どもたちはアナログ時計の目盛りを読みやすいように拡大させて、目盛りを書きながら考えることができた。拡大できることで、数え間違えるといった誤答を大幅に減らすことができた。

(画像5)アナログ時計を拡大してみる子ども