小学校 図画工作

小学校 図画工作

「並べ方で見えてくる○○な感じ」(第6学年)
2024.07.04
小学校 図画工作 <No.060>
「並べ方で見えてくる○○な感じ」(第6学年)
兵庫県尼崎市立浜小学校 稲嶺圭一

1.題材名

並べ方で見えてくる○○な感じ

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

1時間(45分)

5.準備物

児童:はさみ、のり、木工用接着剤 など

教師:画用紙(10cm四方の正方形)、帯状の色画用紙(黒色幅1cm、長さ10cm)、丸シール(赤色1cm径と2cm径の2種類)、マスキングテープ(さまざまな色柄で幅5mmのもの)

6.題材設定の理由

 高学年の造形活動は、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、自分の表したいことを形にしていくものである。ジャンルを問わずさまざまな造形活動において、材料や要素の配置、組合せ方を考える力は必要で、自分の思いや意図をより豊かに表すことにつながる。そこで、【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】を、構成の美しさを切り口にイメージ化し理解を深めて学級で共有することができれば、今後の活動でも児童がどのように表現するかで迷った際の手がかりになるのではないかと考え、本題材を設定した。
 この学習活動では、手のひら大の画用紙に、丸シールと帯状の色画用紙、マスキングテープを切って貼り付けることで、構成の美しさを考えながら【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】について理解することがねらいである。児童はいくつか提示されたテーマの中から一つ選び、テーマに合った材料の並べ方を考えながら、切り貼りしていく。同じテーマを選んでも捉え方や解釈の違いによってさまざまなイメージが生まれるため、作品を鑑賞する際には、「自分はこんな構成にしたけど、あの子のような構成もあるのだな」と、比較しながら交流することができる。交流を通して、児童にとっては感覚的で曖昧だった【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】の理解を深め、知識を共有することが期待できる活動である。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  •  丸シールや画用紙の端切れを、配置を考えながら台紙の上に並べるときの感覚や行為を通して、形や色、それらの組合せによる造形的な特徴を理解する。
  •  自分の表したい感じに合わせて、材料の切り方や並べ方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  •  材料を切ったり並べたりしながら、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもち、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  •  形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分の作品、友だちの作品の造形的なよさや美しさを感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的に形や色の構成によるさまざまな表現をしたり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり、楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  •  丸シールや画用紙の端切れを、配置を考えながら台紙の上に並べるときの感覚や行為を通して、形や色、それらの組合せによる造形的な特徴を理解している。
  •  自分の表したい感じに合わせて、材料の切り方や並べ方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  •  材料を切ったり並べたりしながら、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもち、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
  •  形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分の作品、友だちの作品の造形的なよさや美しさを感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい、形や色の構成によるさまざまな表現をしたり鑑賞したりする学習活動に主体的に取り組もうとしている。

9.指導計画


児童の活動の流れ

教師の指導の手立て



5

・学習のねらいをつかみ、材料を選ぶ。

・作品のテーマ(八つ程度)を提示する。
・「材料の切り方や並べ方を工夫して台紙に貼ることで、○○な感じを表せるかな」と投げかける。



30

・テーマに合う構成を考えて材料を貼る。

・できた作品は黒板に貼る。
・表し方を試しながら何枚かつくる。

・テーマに合わせて構成してもよいし、構成したものにテーマを当てはめてもよいことを知らせる。
・黒板をテーマごとに線で区切り、できた作品を貼るように促すことで、自然と交流が生まれるようにする。

・必要に応じて表現の工夫に着目するような声かけを行い、鑑賞と表現がテンポよく繰り返されるよう心がける。






10

・自分や友だちの作品を鑑賞し、自分の見方や感じ方を深める。

◎児童の作品

・同じテーマでも構成の仕方で印象が異なること、友だちがどのようにそのテーマを表そうとしたのかを話し合えるように留意する。

10.他題材とのつながり

 作品は模造紙に貼って掲示することで、その後のさまざまな題材で表現のヒントとして活用できる。

 例えば「音の絵」(教科書5・6下p.10-13)において、今回の作品を示しながら同じ言葉からでも多様な表現が生まれたことを思い出すよう促したり、「表したい感じに合う構成はあるかな」と尋ねたりすることで、それを手がかりに自分の表し方を考えるだろう。また、ふだんから目に入るところに掲示しておけば、児童同士で製作に生きる交流が自然に生まれることが期待できる。立体に表す題材でも形や色を構成する活動において、必要に応じて振り返ると効果的である。

<つながりが期待できる他題材>

◎5・6上

  • 心のもよう(p.8-11)
  • 消してかく(p.16-17)
  • 糸のこスイスイ(p.18-19)
  • 美しく立つはり金(p.26-27)
  • 言葉から思いを広げて(p.32-33)
  • まだ見ぬ世界(p.40-42)
  • 紙から生まれるすてきな明かり(p.52-53) など

◎5・6下

  • 音の絵(p.10-13)
  • 固まった形から(p.16-17)
  • 墨と水から広がる世界(p.18-19)
  • 言葉から想像を広げて(p.34-35)
  • 感じて考えて(p.52-53) など

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/42/