学び!と美術
学び!と美術

今さら聞けない? 図工のキホン、あべ先生に聞いてみよう。
「図工で大切にしていることって?」「子どもの意欲を引き出すには?」などなど、図工に関する素朴な疑問やお悩みを、ABCシリーズでおなじみのあべ先生に聞いてみました。
造形遊びの評価が分かりません。
子どもの造形活動の過程(プロセス)における資質・能力(よさや可能性)を発揮している姿を捉えるのが造形遊びの評価です。
過程での子どものよさや可能性を捉える
造形遊びの評価は、活動の過程における行為の姿が評価の対象の全てといえるでしょう。次の瞬間には変わっているというように、特に造形遊びのような活動は刻々と変化します。それぞれの場面では子どもの資質・能力が働いている行為と捉えることができます。
材料に働きかけて、自分の感覚や行為を通して捉えた形や色などから、イメージをもち、思いのままに発想や構想を繰り返しながら、
特別な力を見ようとしているのではありません。どの子どもも持ち合わせている資質・能力です。行為は資質・能力の表れです。集中して取り組む姿などは態度として評価することができます。
そこで子どもは「ここは目立つように明るい色にしよう」「もっと動くように仕組みを工夫しよう」「友だちの作品を参考に、材料の形を変えよう」など、知識や技能、思考力・判断力を働かせて活動しています。造形遊びは材料をもとにした自主的で主体的な活動です。
重要なのは「もの」ではなく「こと」
プラモデルのように完成したイメージが先にあるわけではありません。「つくりだす」という独創性に富んだ創造的な活動なのです。その過程では、思いついたことを試したり、考えたり、失敗したりします。そのプロセスの上で、新たな考えが生まれ、試したりする「造形的な実験精神」を培っているといえます。ですから重要なのは、作品という「もの」ではなく「こと」なのです。
先生は、教室で子どものフィールドに立ち、子どもに寄り添い、声に耳をすませ、活動する姿に共感のまなざしを向けることです。図画工作の授業は童謡「めだかの学校」(作詞:茶木滋)の「だれがせいとか せんせいか みんなで げんきにあそんでる」の歌詞のように子どもたちの間を1,000歩あるく(笑)ことが「評価と指導」の第一歩です。子どもの思いを知ることです。
付記:昭和52年(1977)に新設された「造形遊び」は、改訂ごとに拡大され、現在は全学年で実施されています。遊びのもつ教育的な意義と、能動的で創造的な性格に着目した造形的な遊びが、「学習」として図画工作に位置付けられました。
このコーナーは、ABCシリーズからピックアップしたページを基に、再編集して掲載しています。今回は、「評価のABC」p.29をピックアップ。
あべ先生による「ABCシリーズ」は、4コマ漫画で子どもや図工のことを学べる冊子で、累計30万部を発行。4コマ漫画と温かい語り口のコラムによる構成で、長年にわたって小学校の先生方に支持されています。Webサイトで全編をお読みいただけます。また、冊子でお送りすることもできます。
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1954年生まれ。元北海道教育大学岩見沢校教授。中央教育審議会 初等中等教育分科会教育課程部会 幼児教育部会委員、同芸術ワーキンググループ委員(平成29年)、文部科学省「学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者主査(小学校図画工作)」(平成29年)などを歴任。著書に子どもや図工のことを学べる『ABCシリーズ』(日本文教出版)、『つくって楽しい 届いてうれしい 絵封筒のABC』(日本文教出版)、絵本『どこにいるの』(文芸社)など多数。
