高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

「世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012」
2012.08.01
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.039特別号>
「世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012」

永井一正「第10回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012」開催ポスター

永井一正「第10回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012」開催ポスター

福島治「オイディプス王」(第10回展グランプリ)

福島治「オイディプス王」(第10回展グランプリ)

 富山県立近代美術館が主催する「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」(以下、IPT)は、世界のポスターデザインの現況と成果を概観するため、最新のポスターデザインを公募し、審査・選抜展示するポスターデザインの領域では日本で唯一の国際公募展です。1985年から3年に1度開催しているIPTは、今回の公募で第10回を迎えました。
 IPTの作品募集は、実際に印刷発表されたポスターを対象としたA部門、未発表のオリジナル自主制作ポスターを対象としたB部門の2部門で行われます。第10回展には世界53の国と地域からA、B部門あわせて4,622点の応募があり、その中から入選作品を決定する第一次審査には、永井一正、勝井三雄、松永真、佐藤晃一、浅葉克己、中島英樹という錚々(そうそう)たるグラフィックデザイナー各氏と当館副館長があたりました。
 第一次審査によって選出された入選398点から、グランプリを筆頭に金賞、銀賞、銅賞を決定する第二次審査には、アラン・ル・ケルネ(フランス)、カリ・ピッポ(フィンランド)、永井一正、松永真の4氏があたりました。上位作品が僅差(きんさ)で肉迫するなか、グランプリに選ばれたのは、福島治(日本)による演劇公演のポスター「オイディプス王」です。独自のタイポグラフィや骸骨のオブジェといった要素が、劇場空間を感じさせる構成のなかに凝縮され、このギリシャ悲劇を端的に表現しています。
 ポスターは時代を映す鏡と言われます。今回のIPTでは、優れたコマーシャルポスター、展覧会や演劇の告知のために制作された作品はもとより、環境問題、人権、食糧危機、金融危機、そして東日本大震災に関連したテーマなど、世界が今直面している様々な問題が映し出された作品が数多く見られました。9月3日まで富山県立近代美術館で開催中の展覧会では、全入選作品・受賞作品と審査員作品を合わせた422点を展示しています。

(富山県立近代美術館 学芸課 稲塚展子)

<展覧会情報>

  • 「第10回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2012」
  • 2012年6月9日(土)~9月3日(月)

■富山県立近代美術館ico_link

  • 所在地 富山市西中野町1-16-12
  • TEL 076-421-7111
  • 休館日 月曜日(祝日と8月13日、9月3日は開館)、祝日の翌日

<次回展覧会予定>

  • デザインとしての椅子 アートとしての椅子
  • 2012年9月8日(土)~11月4日(日)

その他、詳細は富山県立近代美術館Webサイトico_linkでご覧ください。