小学校 算数

小学校 算数

体積「直方体や立方体のかさを表そう」(第5学年)
2022.01.12
小学校 算数 <No.014>
体積「直方体や立方体のかさを表そう」(第5学年)
大阪府河内長野市立千代田小学校 教諭 大﨑綾子

1.単元名

体積「直方体や立方体のかさを表そう」(第5学年)

2.単元の目標

 体積、容積の意味やその計算による求め方を理解し、単位となる大きさに着目して、その求め方を考えるとともに、考えた過程を振り返り、学習したことを生活や今後の学習に活用しようとする態度を養う。

3.評価規準

【知識・技能】
 体積や容積の意味と単位やその相互関係を理解するとともに、求積公式を利用して、体積や容積、複雑な形の体積を求めることができる。

【思考・判断・表現】
 体積も面積と同様に単位のいくつ分で数値化できると考えたり、簡単な直方体に分ける体積の求め方を考えたりしている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 単位となる大きさのいくつ分として数値化できるというよさに気づき、学習したことを生活や学習に活用しようとしている。

4.本単元の指導にあたって

①教材について・学習過程について
 体積の概念は1年「どちらがおおい どちらがひろい」、2年「水のかさ」、4年「面積」等の学習を通して、順次形成されてきている。その中で「面積」の学習では単位と測定の意味を理解し、長方形や正方形の面積の公式を学習してきた。本単元ではまず実際に展開図から直方体や立方体を組み立て、「高さ」の概念を確認する。次にかさを直接比較するなかで、普遍単位によるかさの表し方の必要性や有用性に気づかせる。そして面積の学習時に「1cm²のいくつ分」で考えたのと同様に、「1cm³のいくつ分」として数値化できることから体積の求積公式を導き、適用を図っていく。
 また公式を利用して、複合立体の体積の求め方を考え説明する学習や、大きな体積の単位とそれらの相互関係を理解するとともに、身の回りにあるものの体積や容積を実際に測定することなどで体積の量感を養い、必要に応じて単位を使い分けることができるようにする。

②指導と評価について
 指導は主に①「体積の概念、単位」といった知識・技能、②「体積の求め方のくふう」といった思考・判断・表現に分けられる。①では具体物なども使うなかで実感しながら習得できるようにする。②では4年時の「複合面積の求め方」などの既習学習も応用しながら体積の求め方を工夫し、発表などで表現するようにする。
 評価は①では体積の意味、単位のよみ方、かき方、相互の関係や公式を利用した体積の求め方を理解し、体積や容積、複雑な形の体積を求めているか。②では公式などを使って効率的に体積を求め、その求め方を分かりやすく説明できているか、で行う。

③デジタル教科書の効果的な利用について
 デジタル教科書には図に自在にかき込むことができるというよさがある。本単元は立体の図をもとに学習を進めていくことになる。今回はデジタル教科書のよさをいかし、実際に図にかき込むことで考えを広げたり、工夫したりできるようにする。また説明する際にもデジタル教科書を使うことで、説明する児童だけでなく聞く児童にも分かりやすく提示できるので、そのよさを十分活用したい。

④児童の実態について
 算数の授業は、単元(学習内容)に応じてTT、単純二分割、習熟度別といった授業形態で行っている。授業では単元の導入などで図やイラストを見て考えたことを発表できることが多い。5年生なので既習事項をふまえて見通しを立てることもできる。ただ、学習時に理解できてもそれを応用して問題を解くこと、また問題を解いてもそれを算数の用語を使って端的に説明することには課題がある。

5.単元の指導計画

学習のねらい

おもな学習内容

1

・単元アプローチ

・ア、イ、ウの直方体や立方体のかさを比べる。
・ア、イ、ウのかさの大きさの比べ方を考える。
・イとウのかさの大きさの比べ方を考える。

2

・直方体や立方体の体積を比べる方法を考える。
・直方体や立方体のかさの表し方を考える。
・体積の意味、体積の単位「cm³」を知る。

・1cm³の立方体を使って立体をつくり、個数を数える。
・体積の用語と1cm³の単位、その意味を知る。立方体いくつ分から体積を求める。

3

・直方体、立方体の体積を計算で求める方法を考える。
・直方体、立方体の体積を求める公式をまとめる。

・前時から計算で求める方法を考える。
・1cm³の立方体の個数=たて、横、高さに気づき、公式にまとめる。

4

・複合図形の体積の求め方を考え、説明する。

5
本時

・複合図形の体積の求め方を考え、説明する。
※デジタル教科書

6

・大きな直方体の体積を求める。
・体積の単位「m³」を知る。

・体積を表す大きな単位があることに気づく。
・既習学習からm³を知る。

7

・「m³」と「cm³」の単位の相互関係を調べる。
【Hello!Math】
・1m³の大きさを感じとる活動に取り組む。

・1m³を1cm³で表す。(具体物)
・単位換算の問題を解く。
・1m³の実物を体感する。

8

・入れものにはいるかさの求め方を調べる。
・内のり、容積の意味を知る。

・いくつかの入れものをみて体積と容積の違いを知る。(入れものの厚み)
・内のりを知り、入れものの容積を求める。

9

・水のかさの体積の関係を調べる。
・体積の単位とその関係をまとめる。

・かさと体積の間に関係があることを知る。
・Lとcm³、cm³とmL、1m³とLの関係を調べる。
・図をつかってかさと体積の相互関係をまとめる。

10

【Hello!Math】
・身の回りのものの体積や容積を調べる。
・1Lのかさの入れものをつくる。

・ロッカー、筆箱、立体など身の回りのものの体積・容積を調べる。
・体積か容積か・見積もり・実測して計算する。

11

【Hello!Math】
・身の回りのものの体積や容積を調べる。
・1Lのかさの入れものをつくる。

・厚紙で容積が1Lの入れものをつくる。
・展開図

12

たしかめポイント
・学習内容についての理解を確かなものにする。

6.本時の学習

①ねらい
 本時は4年生で学習した「面積」の既習内容を活用して、複合図形の体積を求めることをねらいとする。「2つの直方体に分けて考える」「大きな直方体ととらえて、欠けた部分を引く」などの方法は面積の求積時の工夫とほぼ同じである。複合図形の中に工夫して直方体や立方体を見いだし、前時までの求積公式も使って求めるようにする。どのように図形を分けるか、どのように求めたのか、など、解決までのプロセスを式や言葉、図などを使って説明することで思考力・判断力・表現力を育てたい。

②指導の実際(4、5時)
<導入>
①前時の復習…
 直方体、立方体の体積の求め方(公式)の復習。
②めあてと問題を確認…
 ここで立体の形を確認。
 前時と違い形が入り組んでいること。
 4年の「面積」でよく似た形の面積を求めたこと。
③今日のポイントを整理…
 公式を使うこと。
 立体の形を変えて求めてもよいこと。
④見通しを立てる…
 ここでペア学習。
 見通しを立てられなかった子は友だちの意見を書いてもよい。
 〔子どもたちの反応〕
 面積の時と同じように公式を使って求められる。
 全体からないところをひく。
 2つの直方体に分けてあとでたす。
 体積は求められる。
⑤自力解決…
 まずはデジタル教科書の画面に、どのような工夫をして体積を求めるかかき込む。

 次に、その画面を見ながら、ノートに言葉や式で求める過程を書く。

 それから、画面やノートを使って、「どのように求めたか」を伝え合う。

 最後に「体積の求め方」を全体で共有し、振り返りを書く(まとめ)。

7.指導を終えて

 デジタル教科書は、普段の授業でも使っているので、子どもたちにはなじみのあるツールである。だから、それがタブレットでも使えることを伝えると「おぉっ」と、それだけで子どもたちの興味を引き付けたようである。普段教師が映して使用しているので、見慣れているのか、立ち上げや操作も案外スムーズであった。
 今回は図形なので、デジタル教科書の「いろいろとかき込める」特性をいかすことができた。ノートにかく時に色分けをするとなると、何本も色鉛筆を用意して使わなければならない。それがデジタル教科書だと、画面のなかで操作が完了するので、子どもたちはどんどんかき込むなど、意欲につながっていた。自力解決の場面では、画面を見ながらかき進めていた。
 ペア学習では、「すぐにかいたり消したりできる」特性がいかされていた。自力解決の時は簡略してかき込んでいても、それでは友だちには伝わりにくいと感じるとすぐに消して丁寧にかき込むようなこともあった。また画面にかきながら「ここが3cmだから……」と説明している子どももいた。学力が高い子どもより低い子ども、よく発言する子どもより発言の苦手な子ども(ほとんど手を上げない子ども)がいきいきと説明している姿が印象的だった。
 今回初めて子どもたちがデジタル教科書を使ったが、意外に操作できていたことと意欲的に取り組めていたことがとてもよかった。普段の授業でも教科書の図やそれを印刷してノートにはるなどして考えるようにしているが、苦手な子どもは取り組みにくいようだった。デジタル教科書は画質もよく、かき込みなども簡単なので、単元やねらいに応じて使うとよいと感じた。