小学校 図画工作

小学校 図画工作

「はなびや」(第3学年)
2014.04.07
小学校 図画工作 <No.032>
「はなびや」(第3学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「はなびや」

2.目 標

○自分だけの美しい花火を想像し、楽しくかこうとする。
○白色との混色から夜空に輝く花火を工夫する。
○リズム感のある表現になるよう色や形を工夫する。
○自分や友だちの作品のよさに気づく。

3.準備(材料・用具)

教師:絵本、黒画用紙、八切画用紙

児童:絵の具、色鉛筆、はさみ、のり

4.評価規準

造形への関心・意欲・態度
○楽しい作品をつくることに進んで取り組もうとしている。

発想や構想の能力
○自分なりに花火をイメージして表現している。

創造的な技能
○表したいことに合わせて絵の具を使い、表し方を工夫している。

鑑賞の能力
○自分や友だちのよさを感じ取り、楽しく鑑賞している。

5.本題材の指導にあたって

[教材について]
 本学級では絵本を読み聞かせることが多く、子どもたちは絵本から想像をふくらませて楽しむことが大好きである。そこで『ねこのはなびや』(渡辺有一著/フレーベル館,2001年)という絵本を選び、導入することにした。「花火」はどの児童も知っているが、大きな打ち上げ花火を経験している児童ばかりではない。どの児童も自分なりの花火を自由に工夫できるように,また絵本の表現やストーリーをともに楽しむために,この本を導入に活用することにした。絵本の内容は白猫組と黒猫組とトラ猫組が、競って花火の技と度胸を見せるというもので、絵本の絵も素敵で大人が見ても引き込まれてしまう。花火の絵の導入にDVDなどの映像を見せることもできるが、その絵本を読み聞かせることでより楽しく自由に自分だけの花火を打ち上げたいという気持ちを高めることができると考えた。花火は形が決まっているわけではないのでどのようにかいてもよいという自由さと安心感をもたせることができ、楽しみながらかくことができる題材だと考える。また、1学期の短時間題材としても活用しやすい。
 絵本の読み聞かせの後は、各自が花火屋になって「どんな花火を打ち上げたいのか」「どんな色の花火にしたいのか」など、自由に意見を出し合い,交流を深めていくとよい。
 表現活動に際しては、パレットに白色を多めに出しておき、使いたい色に白色を少しずつ混ぜながら塗る色を決めていくようにする。しかし実際に黒の画用紙の上に白の絵の具を混ぜた不透明の色を置いていくと、パレットの上の色とは異なってくる。そこで、黒色画用紙の試し紙を用意し、表したい色を試しながら花火の色の美しさを味わわせながら表現させたい。また、筆づかいは主に点描・線描になるので、点や線の色を工夫させるだけでなく、点の大きさや,線の長さ・太さを考えさせたり、花火全体の大きさや色の広がり方など、自分だけの表現として自由に取り組んだりできるように指導していきたい。子どもたちが「花火屋」になりきって、花火を仕上げるときには「花火に命を吹き込むぞ」と願いを込めて火花をかき込み、花火が開いた時の先端の形まで意識させるようにしたい。
 花火を打ち上げている自分を想像しながら空一面に打ち上げた花火がかけたら、普段は下からしか見上げることができない花火を、見てみたいと思う場所や見る角度など自由にかくことができることを知らせ、子どもたちがさらに楽しい花火の場面をつくっていくようにしたい。花火を見ている人たちを色鉛筆でしっかりとかき、人物を切り取って思い思いの場所に貼っていくことで、中学年らしい自由な発想を引き出すと共に表現することの喜びを味わわせたい。

6.題材の指導計画(全4時間)

学習活動の流れ

指導上の留意点、評価方法

第1次

1時間

○『ねこのはなびや』を読んで花火に興味をもつ。
・自分の打ち上げたい花火をイメージする。

○自分が「花火屋」になって、どのような花火を打ち上げるか。どのような色にしたいのかなど、イメージをもてるようにする。

第2次

2時間

○自分の打ち上げたい花火を表現する。
・白を混ぜることで黒画用紙にきれいにかけることを理解する。

○自分のイメージする花火を表現できるようにする。
・大きさなどを工夫するよう助言する。
・友だちのいいところを紹介し自分の表現したい花火のイメージをふくらませることができるよう助言する。

○花火を見ている自分や友だちをかいて貼る。
・楽しそうに見ている自分や友だちをかく。
・色鉛筆で丁寧に色を塗る。
・かいた絵を切って花火を見たい場所に貼る。

○花火を見ている自分や友だちなどのイメージをもてるようにする。
・それぞれのもつイメージを表現できるよう支援する。

○かいた絵を切り取り、自分のイメージに合うように貼ることができるようにする。
・下からだけでなく横や上など自分や友だちなどが見てみたいなと思える場所に貼っていいことを知らせる。

第3次

1時間

○自分や友だちのよさを鑑賞する。
・お互いの表現のよさや工夫を見つける。

○完成した花火を鑑賞する。
・自分や友だちのよいところが見つけられるよう助言する。

7.本時の学習

①目 標
○白色との混色で美しい花火を表現できることに関心をもってかく。
○「花火屋」になって、自分だけの花火をかく。

②学習の展開

太字…教師の投げかけ

主な学習活動・内容

指導の工夫や教師の支援・評価の留意点

自分だけの花火を打ち上げよう!

1.本時のめあてをつかむ

○本時の活動のめあてをもつ。
・「花火屋」としてどのような花火を打ち上げるのか、簡単な言葉でイメージ化する。

○形や大きさなど自分だけの花火が打ち上げられるよう助言する。
・画用紙を縦にするのか、横にするのか。
・花火をどの位置にかくのか など

2.表現活動をする

○花火を打ち上げる。
・大きさも変えてみたり白色の混ぜる量を変えてみたり工夫しながらかく。
・自分のイメージする花火のかき方を考えがら、楽しくかく。
・一つできたら二つ目三つ目と色を考えながら、自分のリズムでかいていく。

○色の混ぜ方や形を工夫できるよう助言する。
・白い色をパレットに多めに出し、試し紙を用いて、白色を加えていきながら色のちょうどよい発色を工夫させる。
・花火の広がり方、どの部分を線で塗るか、点で表現するとよいのかを考えならかく。

3.自分や友だちの工夫しているところを紹介する

○できあがったところまでの鑑賞をする。
・自分や友だちの表現のよいところを見つけ、紹介し合う。

○花火の広がり方や色の混ぜ方、塗り方などに目を向けて意見を交流させる。