小学校 図画工作

小学校 図画工作

「ここに咲く花」(第6学年)
2024.03.08
小学校 図画工作 <No.056>
「ここに咲く花」(第6学年)
東京都荒川区立赤土小学校 中島綾子

1.題材名

ここに咲く花

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

6~7時間

5.準備物

児童: 絵の具セット
教師: 共用絵の具、液体粘土(タルク+ボンド+水)、黄ボール紙、ボンド、コンテ・パステル

6.題材設定の理由

 6年生の4月は、最高学年としての1年間に期待を膨らませていたり、まだふわふわと落ち着かない気持ちだったりする時期でもある。この時期の子どもたちの気持ちに沿った題材を設定することによって、今この時期だからこその自分の思いを引き出し、表現する過程でそれがより具体的なものとなり、造形表現を通して児童が自分の気持ちと向き合えるのではないかと考えた。
 題材名「ここに咲く花」の「ここ」とは、この1年間でその時々の自分がいる場所や状況、「花」は自分のことである。花は人の心を明るくする存在でもあったり、どんな場所でも力強く咲いていたりする。子どもたちには花を絵に表すことを通して、今までの自分の成長を振り返ったり、どんなことを大切にして1年間を過ごしたいかを考えたりしながら、花と自分のイメージとを重ねてどう表すか考えていく。また、黄ボール紙をやぶってから再構成して自分画用紙をつくったり、液体粘土を使ったりして身体の感覚を伴いながらかいていけるようにした。新たに表す方法の幅を広げたり、今まで使った方法を使ったりしながら、一から自分の手でつくり上げていく感覚をもち、自分なりの表し方を追求してほしい。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  •  自分の感覚や行為を通して、支持体の形や絵の具の感じや色の特徴を理解する。
  •  自分の表したい感じに合わせて、液体粘土や絵の具などの材料や用具を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  •  支持体の形や絵の具の色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、考えたこと、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  •  花や周りの様子の形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的に自分の姿を花のイメージと重ねて表現する活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  •  自分の感覚や行為を通して、支持体の形や絵の具の感じや色の特徴を理解している。
  •  自分の表したい感じに合わせて、液体粘土や絵の具などの材料や用具を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  •  支持体の形や絵の具の色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、考えたこと、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
  •  花や周りの様子の形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい主体的に自分の姿を花のイメージと重ねながら表現する学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画(全7時間)

活動について知る。自分の支持体をつくる。(90分)
液体粘土や絵の具などでかく。(90分)
絵の具やコンテなどを重ねるなどして仕上げる。(90分)
題名を付ける。作品を鑑賞し合い、振り返りをする。(45分)

10.指導の手立て

  • 実態に合わせてワークシートをつくるなどして、花から受けるイメージについて話し合ったり、自分の今までの成長や自分のこれからの1年間についてイメージをもったりできると、自分の気持ちを絵に表そうとする意欲や表したいイメージにもつながりやすくなる。
  • 液体粘土でかく際には、手のひらでかいたり引っかいたりなど様々な表現方法ができることに気付けるようにするとよい。
  • 絵の具と液体粘土は混ぜて使ってもよいが、白と混ざり似たような色調になるので、乾燥したあとに重ねたときの色合いの感じの違いにも注目するよう促し、自分の表したい感じに合わせて試行錯誤できるようにする。

11.児童の様子

 黄ボール紙を破く行為が楽しそうであり、絵をかくことに苦手意識のある児童も心を解放することにもつながったように思う。液体粘土を何度も重ねて形を変えたり、場所によって盛り上げたりするなど、かきながら試行錯誤していた。

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/