ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.13 > p24

コンピュータ教育のバグ
そっとのぞいてみてごらん
−インターネット利用上の大問題−

 どこでもドアをご存知だろうか。ドラえもんが四次元ポケットから取り出す道具で,このドアを通って,世界中どこへでも行けてしまうという便利なもの。ところが主人公ののび太クンは,時々あろうことか将来の妻でもあるガールフレンドの源しずかちゃんが入浴中のお風呂に行ってしまう。水戸黄門の由美かおるもびっくりのお約束パターンである。

  どこでもドア=インターネット,源家の浴室=アダルトサイトと置き換えてみるといかがだろうか。モラルやマナーに反することはわかっていても,手軽にアクセスできるし,ちょっとのぞいてみたいし…

インターネット上の有害サイト
 学校の授業でインターネットを利用させるかどうかという議論には,未だに賛否両論が百出している。特に,ネットに潜む闇の部分についてどのように対処していくのかということについては,意見のわかれるところだ。たとえば,いわゆる有害サイトの問題を考えてみても,インターネットの利用に反対を唱える方は,「授業中にもしも,ふしだらなページにアクセスして表示してしまったらどうするの。学校でそんなもの見せたとなったら,寝た子を起こしてしまったということで,大問題よ!」とおっしゃる。一方で,積極的にインターネットを利用して授業をしていこうと思っておられる方々には,「インターネットを利用する際のモラルやマナーも指導事項のうち。見るべきでないものを見ないように指導するのが,教師の仕事さ。」というようなご意見が多い。

  いずれの考え方も一理あるといえる。学校の端末でアダルトサイトにアクセスするのを容認するわけにはいかない。しかし,利用に極端な制限をかけてしまっては,せっかくの世界に拡がるネットワークなのに,その有効性を殺してしまうことになりかねない。ということで,インターネットの有害サイトにアクセスさせないようにフィルターソフトを導入してみたりするのだが,これもまた,完璧なものは存在しないので,見るべきでないページを完全に排除できないし,逆に授業で利用したいサイトにアクセスを拒否されてしまうという事態も起こってくる。
リスクとリターン
 そもそも日本では,リスクを自分で背負って物事にあたるということはあまり好まれないようである。銀行にお金を預けて,利息がつかないとか元本が返金されないなんてことや,加入した生命保険の会社がぶっつぶれてしまうなんてことは考えもしていない。もし,そういうリスクが現実となって迫ってきたときには,「どうしてくれるんだ」というような,責任転嫁的な叫びしかあげられない。だから,社会の中の温室のような学校という場所で,リスクのあることをやろうというのは,それこそ槍玉にあがってしまって,袋叩きというような感じになってしまう。

  しかし,このインターネットの有害サイトの問題にしても,本質を抜きにして,臭いものにフタをする方式で,フィルターソフトだけに頼るとか,インターネットそのものを利用させないとか,要するにその存在自体を闇に葬るような指導方針だけで対応していていいものだろうか。やはり,教えるべきは教え,戒めるべきは戒める必要があるのではないか。むしろ問題なのは,教室にコンピュータがあってインターネットにアクセスできるから,無計画にとにかく自由に使わせているうちに,収集がつかなくなってしまって,誰が生徒か先生か,というような状況に陥ってしまうことなのではないか。
前へ    
目次に戻る
上に戻る