ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.3 > p17

交流
インターネット時代の交流
早稲田大学本庄高等学院 半田 亨
t-handa@nn.iij4u.or.jp
http://www.waseda.ac.jp/honjo/honjo/index.html

 本学院では現在,1年生必修の数学A(2単位)において情報リテラシーを習得させている。その中の「メール」の一環として,昨年から慶應湘南藤沢と南山国際高校で行われていた「連歌」の交流に希望者を参加させた。それぞれの学校から数名ずつで1グループを組み,そのグループ内でメーリングリストを作る。各自がメールを開けたときに対句と近況をReの形で付けていき,どんどん句が積み重なっていく。実際の期間は11月の一月間だけでその後,クリスマスカードか年賀状をメールで送って終了となる。各グループの交流の様子は監督教員にすべて送られてくるので,逐次見てマナーに反するメールやルールがよく分かっていない場合などはその都度当人にメールで指導できる。記憶では3度くらい失礼な言葉を流した者がいたが指導され,その後はなかったようである。数学Aの授業の最後にアンケートをとったが,この交流については(男子校なので女子と交流できることもあって)概ね好評で,現在でもメール交流を続けている者がいるようである。

  他に,本校では英語の選択授業で海外の中学とメールの交流をしている。また,「交流」ではないが,「卒業論文」という制度がありその資料集めに国内外の研究施設や有識者にメールを出して問い合わせている者もいるようである。

  ネットワークの利用として,語学やHRにおける「交流」は考えやすいテーマである。一口に「交流」といっても,継続の苦労は並大抵なものではないらしく,「双方の交流にかける意識のギャップ」や「時差」により,メールが順調に行き来しないことの方が多いとの事である。しかし,こうした当事者の苦労はそろそろ終わりを告げなくてはいけないのではないかと私は思っている。

  パソコンやネットワークは生徒にとって,従来の学校環境では得られなかったような経験を提供してくれる。例えばコラボレーションや自由研究である。それも,他校や海外の知らない人間と一緒に作業をすることができる。しかし,これを限られた授業時間に行うということは生徒の可能性を閉じ込めかねない。色々なきっかけを授業やHRで与えるとしても,それ以降は生徒の自由な活動や努力に任せる。「生徒の色々な個性を育てる」空気が漂っている,パソコンとネットワークは学校をそんな環境に変化させていくと思う。こんな環境の中では,単にメールのやり取りをする「交流」ではもったいないし生徒もすぐに飽きてしまう。これからは,メール交流自身も珍しいものではなくなってしまうからである。一つの目標を持ってコラボレーションを行うことが生徒のモチベーションを高め,達成感を持たせることにつながる。このレベルがこれからの「交流」であると思う。

  いずれにせよ,パソコンとネットワークは教育の閉塞している状況を打破する一つのキーであることは間違いない。

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