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ICT・EducationNo.3 > p18

交流
身近な国際交流
愛知県立中村高等学校 古井 雅子
mfurui@tcp-ip.or.jp

 外国との交流は電子メールで比較的簡単に実現できるようになったが,直接会って話しをするのは難しい。ビデオ会議も通信環境次第で簡単とは言えない。そんな中で直接会う機会を設けられるように,日本在住の外国からの留学生との交流を進めてきた。

  愛知県立中村高校の英語部は,98年から東海スクールネット研究会(http://www.schoolnet.or.jp/)が主催した自律的広域学習環境の創造(インターネットを通して高校生の活動や学びの場を設け,インターネット上に活動を発表して行く)のプロジェクトに参加している。98年5月にこのプロジェクトで生徒が日常的に他校の生徒と電子メールでディスカッションできるようにメイリングリストを設けた。その一つが国際交流のexchange mailinglistという名称で,日本の大学(院)の留学生(中国,台湾,タイ,バングラデシュ等)にも参加してもらった。留学生には日本語か英語で書いてもらった。 夏休みにこの研究会がインターネットの研修合宿を京田辺市野外活動センターで実施し,この自律的学習環境の活動のオフラインミーティングを兼ねて,留学生との交流会を計画。タイ,バングラデシュ,台湾の3名が参加してくださった。交流会では各国のことばや生活以外にビザ取得や日本滞在の苦労も話してもらった。秋以降,メイリングリストは日本の生徒の質問に留学生が答えるという形で続いた。英語部では11月の「高校生の集い」で他の地域の高校生にその内容を紹介した。

交流会の様子
▲交流会の様子

  99年春休みにバングラデシュの留学生,ウディンさんを招いて本場のカレーを作って頂いた。ウディンさんがイスラム教のやり方で処理された肉とスパイスを持参され,英語部の生徒は日本のものも食べてもらおうと巻き寿司を作った。

  当日の様子はデジカメで撮り,作り方をメモし,ホームページにまとめることにした。40分ほど煮こみ,口に入れるとスパイスの香りがフワッと広がるカレーができた。右手での食べ方を教えてもらって本場のカレーをいただき,食後にはバングラデシュの様子を英語で話してもらった。高校生は日本以上に勉強していること,洪水が起きやすく上下水道の不足で衛生の問題があり,自分は都市工学を研究しているが,国に帰ったらそれを活かして現状を変えたい,という話しをされた。生徒は「本場のカレーを作ってもらっただけでなく直接バングラデシュの話しが聞けて本当によかった。」とお礼を語った。

  その後英語部の生徒は英語のお礼メールをだし,Mr.Uddin's Curry ホームページを作成。またビザについて調べ,名古屋入国管理局の方に面会して質問したり,他の留学生に電子メールでアンケートを御願いし,活動を広げている。

  Exchange mailinglistからはじまって,インターネットと直接体験で得がたい経験をしている。世界の人達と協調していくために何ができるか考え,行動していけるように,今後も,生徒の活動の機会を設けていきたい。

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