ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.47 > p32

コンピュータ教育のバグ
生徒の様子はホームページでご覧下さい
—情報発信と個人情報の保護—
 「ホームページ(home page)」の本来の意味は,ブラウザを起動しインターネットを利用して閲覧する最初のページのことである。しかし,日本では誤用の方が一般化してしまい,今ではインターネット上のページの総称として,Webページと同義で使われるケースが多い。
 ホームページという語は,英語としても存在しているので,キャッチボール,テレビゲーム,ノートパソコンといった和製英語とは少々趣は違う。日本での誤用という点では,キーホルダーやサンドバッグやトランプといった語と同類といえるだろう。
インターネットで情報発信
 さて,その学校「ホームページ」である。インターネットの黎明期には,学校行事や課外活動での生徒たちの表情などを画像で載せたり,生徒のいろいろな作品や成果を実名入りで公開したり,授業の様子をかなり詳細にレポートしたりと,学校のさまざまな様子を積極的に発信しているものがたくさんあった。もっとも,黎明期といっても,これはほんの十数年前の話である。
 それからほんのわずかの間に,日本全国のほとんどの学校が自らの「ホームページ」を開設するに至っている。ところが,個人情報の保護,学校の安全確保というような意識が高まるにつれて,善し悪しは別として,発信できる情報の自由度は格段に狭まった。今では,生徒たちの顔をアップで写した画像や,生徒の実名などを掲載している学校「ホームページ」なんて,滅多にお目にかかれない。仮に,そのような情報を公開しようとすれば,保護者の許諾なども必要だし,著作権の処理も必要だ。そして,Webサイトの管理者としては自校の生徒の安全確保に,十分に配慮することも要求される。ということで,「生徒の実際の様子は,インターネットでご覧下さい」とは,なかなか言いにくい状況になってきているのが事実である。つまり,単に文字や数値のデータだけを羅列しているものが多くなってきているといえる。
 情報ならば何でも垂れ流せばよいというものではないが,公式に発信できる情報の自由度が少なく,学校「ホームページ」では有効な情報が得られないというのでは,かなりの労力を必要として運用されているページの存在意義自体も怪しくなってくるのではないだろうか。
いったい何を発信すべきなのか
 「個人情報をむやみに発信してしまわないように気をつけよう」だとか,「インターネットへ何か書き込むときは他人のプライバシーを侵さないようにしよう」だとか,こういう部分も情報モラルに関わる内容として,情報科あたりでは授業でも取り上げることになる。授業でも取り扱う内容なのだから,学校の公式な情報発信の場である学校「ホームページ」においては,個人情報の保護などについては細心の注意を払ってケアすべき部分ではある。
 ではあるが,これを配慮した上で,いかにして活き活きとした情報を,学校現場のリアルタイムを,発信できるのだろうか。なかなか難しい。ではいっそ,学校個別の情報発信は止めてしまうというのもアリなのだろうか。しかし,学校の「ホームページ」が存在しないというのも,世間体が悪い。「あの学校はホームページもないんですってよ」なんていう声が聞こえてきそうだ。どうにもわからないので,どうすればよいものか,インターネットに投稿して,質問でもしてみようか。
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