ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.47 > p30〜p31

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2.情報モラル
日々の情報科の授業で,先生たちが直面するちょっとした問題にアプローチして,その解決方法を考えるコーナーです。今回は,情報モラルにまつわる問題です。
 情報教育の大きな柱の一つとして「情報モラル」に関する指導があります。特に近年,この指導については,より重要性が増してきているといえます。情報社会を生き抜く知恵として,また,さまざまなトラブルを回避する術として情報モラルの指導は欠かせないものとなってきました。
事例 B先生の場合
単元名:実際のできごとから情報モラルを考えよう
●B先生の考えた授業プランは…

 インターネットや携帯電話など,生徒たちは日常的にネットワークを活用しながら生活している。そんな日々の生活の中でもネットワークに潜む危険に脅かされることは多々あるはずだ。ここはひとつ,さまざまなトラブル事例の中でも,特に劇的なものをチョイスして紹介し,危機感を持って情報モラルのことを考えさせるように仕向けよう。新聞や雑誌の記事,ネットワークでのニュース検索で数件の記事が見つかった。生徒たちはショックを受けるだろうが,その後,情報モラルについて真剣に考えてくれるだろう。



●実際の授業では…

 個人情報の取り扱いの注意点など,情報モラルの中でもネットワーク活用にかかわって,どのようなリスクがあるのかを説明した。その後,過去に実際に起こったインターネットや携帯電話によるトラブルについて,新聞の記事やネット配信のニュースなどから抜粋し,印刷して配布。記事を読んで,その感想と,自分自身が経験したことのあるトラブルがあれば,その内容も書くように指示した。
 しかし,まじめに取り組まない生徒もいる一方で,深刻な顔をしてふさぎこむ生徒も現れた。



このケースの問題点は…

 生徒たちの実態を把握することができていなかったといえる。大人が考える以上に,子どもたちの中にインターネットや携帯電話は浸透してきており,多くの独特なコミュニティーが形成されている。したがって,マスコミで報道されているようなインターネットや携帯電話の表層的なトラブルについては,いくら衝撃的な内容であっても,生徒たちには既知の事実であったり,違う世界の話であると捉えられたりすることがある。いたずらに恐怖心をあおり,ことの重大性だけを説いたところで,生徒たちに考えるきっかけを与えたことにはならないのである。

改善方法

1.事前にアンケートをとるなどして,生徒のネット利用の現状を把握して,それに見合った内容に変更する。過去にトラブルに巻き込まれた事例がないかも調べておくとよい。それをもとに,授業で使用する素材を決定する。

2.過去の体験からトラウマになっている生徒がいる場合もある。また,危ない経験を武勇伝のように自慢げに面白おかしく語る生徒が出てくる可能性もある。興味本位でトラブル事例を受け止めてしまわないように,提示する前にきちんと説明し,理解させておく必要がある。

3.生徒一人ひとりが,想定できるトラブルとその対処方法について自ら考えて解決方法を提案させるようにする。グループワークで簡単なディスカッションを行わせると,多くの生徒に発言の機会を与えることができる。

そのほかに考えられる類似のトラブル

*学校で設定しているセキュリティーをかいくぐり,教育上不適切なページを見たり,個人情報を発信したりする生徒たちがいる。
*あるクラスで行った授業の内容を生徒同士で知らせあっており,授業を開始した時点ですでに生徒たちに「ネタばれ」状態になっている。

 生徒たちの中には,普段からネットワークを利用していて,高度な知識やスキルを持った者がいる可能性があります。こういう生徒たちにこそ,情報モラルの大切さをしっかり認識させる必要があります。


チェックリスト
●生徒たちが普段インターネットや携帯電話をどのくらい利用しているか,知っていますか?
・ インターネット
1日    〜     分くらい
・ 携帯電話
1日    〜     分くらい
・ 使用料
1カ月    〜     円くらい

●以下のサービスを全体のうち何人くらいの生徒が利用しているか,把握していますか?
・ 携帯メール
全体の         人くらい
・ ネットショッピング
全体の         人くらい
・ SNS
全体の         人くらい
・ ブログ
全体の         人くらい
・ プロフ
全体の         人くらい
・ 音楽配信
全体の         人くらい
・ 携帯オンラインゲーム
全体の         人くらい
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