高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)
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ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションは、銅版画家の浜口陽三の作品を主に収蔵・展示する美術館です。夏の企画展「浜口陽三と波多野華涯 ―匂い立つ黒と黒―」では、教科書にも掲載されている、浜口陽三の《西瓜》を見ることができます。作品の魅力や、展覧会の注目ポイントについて、主任学芸員の神林菜穂子さんにお話をうかがいました。
《西瓜》の黒や赤の色彩を、手触りを楽しむように見てください。特に黒い部分、背景はただの暗闇ではなく、静けさや柔らかさを感じさせる、深い黒です。目を凝らして見ると、上から三分の一のところに、もっと濃い帯状の黒があるのが見えてくると思います。これは何でしょう。西瓜を浮かび上がらせるような黒い闇の中には、こまかな光が満ちています。浜口の作品は多くの油絵のように主題や主張があって訴えかけるのではなく、一つの世界を見せていると思ってください。
銅版画の中でも、メゾチントは深みのある表現です。見る人がその世界に入り、自由に感じ取って下さい。浜口の作品を見ている皆様が感じ取れるものは、見えているものだけではありません。静けさや時のとまったような雰囲気など、どこか感覚的なものもあります。そして、黒なのにあたたかみがあり、落ち着けて、穏やかな感覚をもたらします。
メゾチントの表現は繊細すぎるため、印刷ではお伝えしきれない部分もあります。実際の作品に近づいて見ると、彫るためにかけた時間が波長のように体で感じ取れる、そのような作品です。
自分が選んだ作品を、自分だけの感覚や想像力で味わってください。浜口が表現する、静かで落ち着いた時の流れを感じることが出来るでしょう。
展覧会情報
会期:2024年6月11日(火)~8月18日(日)
会場:ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション
公式サイト:https://www.yamasa.com/musee/
休館日:月曜日、(ただし7/15,8/12は開館)、7/16(火)、8/13(火)
開館時間:11:00~17:00(土日祝は10:00~)、最終入館16:30
(ナイトミュージアム)会期中の第1・3金曜日は20:00まで開館、最終入館19:30(6/21,7/5,7/19,8/2,8/16)
観覧料:大人:600円 大学・高校生:400円 中学生以下無料
- 令和5年度版「高校生の美術2」p31.
西瓜[カラーメゾチント/24×55cm]
1981 ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション蔵[東京都]
浜口陽三[和歌山県・1909~2000]