中央教育審議会は、新たに「義務教育特別部会」を設置し、現在、次の5 点について調査審議している。
(1) 義務教育の制度・教育内容の在り方について
(2) 国と地方の関係・役割の在り方について
(3) 学校・教育委員会の在り方について
(4) 義務教育に係る費用負担の在り方について
(5) 学校と家庭・地域の関係・役割の在り方について
具体的な調査審議内容の中で、もっとも注目することは、「学級編制の基準の見直し」が検討事項として入ったことである。いわゆる「30 人学級」の検討である。
3年前の文部科学省の見解は、少人数学級編制に対しては、否定的であった。しかし、山形県は、平成14 年度から小学校に、1 学級を21 ~33 人で編制する「教育山形さんさんプラン」をスタートさせた。これは、文部科学省のぎりぎりの判断
によって導入・実施できたものである。
現在までの検討状況では、次のような意見が出されている。
① 学級編制を一律に30 人とすることには疑問である。なぜなら、学級を30人に
すると、教室が足りなくなり、学校施設を見直す必要が出てくる。
② 少人数学級の効果は、定性的な効果がある。学力結果を見ると、少人数学級の
方が結果がよい。
③ 少人数学級における指導上の新たな工夫が必要である。小学校低学年では、
学習上のしつけ指導を行っており、非常に重要である。
④ これまで、日本の教育は現場の情熱によって成果を上げてきた。安上がりで学校を
やっていこうという発想は、捨てるべきである。
(文部科学省・審議会情報より引用)
それぞれ賛否両論があり、今後の中央教育審議会の検討結果による行方が注目される
導入の状況は、3 年間で次のように大きく変わった。
◇ 平成14 年度導入 16 県
◇ 平成15 年度導入 30 道府県
◇ 平成16 年度導入 42 道府県
そして、17 年度には、東京、香川を除く45 道府県で実施しており、少人数学級の世論は形成されたと言っても言い過ぎではないだろう。
しかし、実施状況には、それぞれの自治体によって違いや特
色がある。
その1 つは、学級編制基準の設定の仕方である。
その基準は、ほとんどが30 人前後に設定しており、しかも上限として示している。しかし、山形県の場合は、「21 ~33 人」と明確に上限と下限を切っているのが特色である。その2 つは、導入学年と校種である。
やはり、小学校低学年(1 、2 年生)に導入しているところが最も多く、45 道府県中41 道府県で実施している。小学校3年以上で実施しているのは、22 道府県である。また、中学校だけに導入しているのは、2 県だけであり、そのうちの栃木県は全学年を一律35 人で編成している。