読み物プラス

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豊かな情操を養うことをめざして!
2013.11.01
読み物プラス <Vol.02>
豊かな情操を養うことをめざして!
まなびと+(プラス) vol.1より
前東京都教職員研修センター 東京教師道場 芸術(図画工作・美術)組教授 松井一雄

「造形遊び」って何?―最も根源的な表現

 右の2枚の写真は、材料を基にした造形遊びの活動です。上は低学年で、机の上を中心に簡単にできる表現を工夫しています。下は高学年で、水の中での様々な面白さ、美しさを見付ける活動です。子どもたちは発達の段階に応じ、自由に発想し、楽しく活動を進めています。
 特に、低学年における造形遊びは、今後の造形活動の基礎になります。学習指導要領では、A表現(1)に造形遊びという言葉が明記され、具体的な活動として「並べたり、つないだり、積んだりするなど体全体を働かせてつくること」と示されています。造形遊びが求めていることは、子どもが自分の感性に従い、材料に出合い、自分に合った方法を見付けて思いを表現していくことにあります。特に、表現の結果としての作品ができることを求めている訳ではありません。例え技術的な面が不十分でも、自分の思いを表現できる最も根源的な方法なので、造形的な創造活動の基礎づくりに大きな意義があると思います。

「造形遊び」の課題と新しいアイデア

 これまで私は、いろいろな学校で実践された様々な造形遊びを見てきました。多くの活動では、子どもの発想・構想、表現などの面で題材の目標を達成して大きな成果を挙げていると思いますが、同時に、下記のような課題も挙がっています。
(1)多くの先生方は、造形遊びの意義を理論として理解していても、展覧会など発表の場を考えて、必ずしも結果としての作品を求めていない造形遊びの活動より、きちんと作品として残るA表現(2)の題材を重視している傾向があるようです。
(2)様々な要素を盛り込み、体育館や校庭で大掛かりな活動を行った場合、実際に取り組んだ先生方は、下記のような現実的で具体的な問題点を挙げています。

①子どもの安全指導などの管理面を考えた時、他の先生に支援をどのように依頼したらよいだろうか。
②グループ活動の中で個人の評価はどうしたらよいだろうか。
③片付けを考えると、活動時間を十分に確保できるだろうか。
④大量に使う材料や用具の確保、及び活動後はどのように再利用もしくは処分したらよいだろうか。

 これらの課題の解決を目指して、東京都江戸川区立平井西小学校 大道博敏主幹教諭は、学習指導要領のねらいを踏まえて、独自の『机上で簡単にできる造形遊び』を実践しています。発想の転換であり、興味深い取り組みであると考え、紹介いたします。

→「まなびとプラス vol.1」全編は、当サイトの機関誌・教育情報「まなびとプラス」にて公開中です!