小学校 社会

小学校 社会

「住みよいくらし」(第4学年)
2021.06.02
小学校 社会 <No.024>
「住みよいくらし」(第4学年)
東京都足立区立西伊興小学校 主幹教諭 高橋宏和

1.単元名

「住みよいくらし」(水はどこから)

2.目標

 私たちの生活に必要な飲料水(水道水)を提供する事業について、供給の仕組みや経路、東京都内外の人々の協力などに着目し、見学・調査したり地図などの資料で調べたりし、それらの事業が果たす役割を考え、表現することを通して、飲料水(水道水)を提供する事業は、安全で安定的に供給できるように進められてきたことや、地域の人々の健康な生活の維持と向上を支えていることを理解できるようにする。私たちの生活に必要な飲料水(水道水)を提供する事業について、学習問題を主体的に調べ、解決しようとするとともに、学習したことを基に、水を大切な資源として捉え、他のライフライン(ガス、電気)の使い方も見直し、有効に利用しようとする態度を養う。

3.評価規準

○社会的事象についての知識・技能
・飲料水を提供する事業について、供給の仕組みや経路、東京都内外の人々の協力などを基に飲料水の供給にかかわる事業は、安全で安定的に供給できるように進められているとともに、それにより、地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解している。
・地域の人々にとって必要な飲料水の供給のための諸活動について、見学、調査したり地図などの資料で調べ、必要な情報を集めて読み取ったり白地図や図表にまとめたりしている。

○社会的な思考についての思考・判断・表現
・ごみの処理の仕組みや再利用の様子、県内外の人々の協力などを基に、ごみの処理や再利用の事業にみられる仕組みや人々の協力関係と地域の人々の生活環境の維持・向上を関連付けて考え、その事業が果たす役割を文章や関係図に表している。
・学習したことを基に、地域の人々の健康や生活環境を守るためにライフライン(水、電気、ガス)等の使い方のきまり等を考え、地域社会の一員として、自分たちができることを考えたり、選択・判断している。

○社会事象に主体的に取り組む態度
・飲料水を供給する事業の仕組みに関心をもち、現在に至るまでにどのように安全で安定的に供給できるよう改善されたのか、予想をもとに学習計画を立て、問題解決の見通しをもって主体的に学習問題を追究・解決しようとしている。
・地域の人々にとって必要な水やライフライン(ガス、電気)などを確保するために、水などを資源として捉え、節水等に向けて地域の一員として自分たちができることを考え、協力しようとしている。

4.本単元の指導にあたって

 本小単元は、内容(2)の「人々の健康や生活環境を支える事業について」に関する内容で構成している。事例としては、ライフラインについて簡単に概要を学習し、飲料水を提供する事業を中心に学習を行う。また、「いかす」段階でガスを供給する事業について取り上げることで、ガスも飲料水と同じように地域の人々の生活の維持と向上(安全・安心)に努めていることを理解することで、節水や節電等の自分たちができることを選択・判断することに繋がると考える。
 単元計画のつかむ段階では、東京水のペットボトルの写真資料を取り扱う。売られている水が、身近な蛇口から出ていることを理解させ、普段飲んでいる水がどこから来ているのか、また、どのようにきれいな水にしているのか疑問をもたせ、学習問題をつくる。水道水源林から蛇口までの資料を見せ、どこを調べれば良いか学習計画を考える。
 そこから、水道水源林、ダムやせき、浄水場、給水所、を調べていく。調べていく中で、水をきれいにする工夫やたくさん送る工夫を学習し、学習問題に対する自分の考えをまとめる。
 「いかす」段階では、ガスを供給する事業について取り上げ、既習の飲料水を供給する事業者との共通点や相違点を見つけることで、水、ガスなどのライフラインは、私たちの生活に欠かせなく、安心・安全に届けられていることを理解する。この学習をすることで次時のライフラインを持続可能にするために自分たちができることを選択・判断する活動がより良く考えられる。

5.単元指導計画(全11時間)

小単元名

子どもの意識の流れ

○目標 ●評価

つかむ
ライフラインの概要

1

私たちの生活は、水、電気、ガスをたくさん使っている。ライフライン(水、電気、ガス)がないと生きていけない。

○私たちの生活に、ライフラインが欠かせないこと、に興味・関心をもつ
●ライフラインについて興味・関心をもっている。(学びに向かう態度)
[ノート]

学習問題、学習計画を立てる

2

ペットボトルで売っている水が蛇口から出るなんて知らなかった。蛇口の水がどこから来ているのか調べたい。

○水道の仕組みに着目し、飲料水の大切さから問題を見出し、学習問題、学習計画をつくる。
●学習問題や学習計画を考えることができたか。
(思考・判断・表現)[ノート]

調べる
水道水源林の働き

3

水道水源林が、雨水をきれいにしていることがわかった。

○水道水源林の働きについて理解する。
●水道水源林の働きについて理解することができたか。
(知識・技能)[ノート]

ダム・せきの働き

4

ダムは、水をためて川に流す水を調節していることがわかった。

○ダム・せき林の働きについて理解する。
●ダム・せきの働きについて理解することができたか。
(知識・技能)[ノート]

浄水場の働き

5

浄水場は、水を高度浄水処理できれいにしていることがわかった。

○浄水場の働きについて理解する。
●浄水場の働きについて理解することができたか。
(知識・技能)[ノート]

水道管、給水所の働き

6

水道管が、水漏れしないように点検したり、給水所から水を調節したりしていることがわかった。

○水道管、給水所の働きについて理解する。
●水道管、給水所の働きについて理解することができたか。
(知識・技能)[ノート]

水をきれいにする工夫

7

多くの検査をして、安全な水を届けていることがわかった。

○水を安全に供給する工夫について理解する。
●水を安全に供給する工夫について理解することができたか。
(知識・技能)[ノート]

水をたくさん届ける工夫

8

水をたくさん届けられるように導水路などがあることがわかった。

○安定的に水を供給する工夫について理解する
●安定的に水を供給する工夫について理解することができたか。
(知識・技能)[ノート]

まとめる
学習問題のまとめ

9

水は、安全・安定的に届けられていることがわかった。

○学習問題に対する自分の考えをまとめる。
●学習問題について、自分の言葉で考え、表現することができたか。
(思考・判断・表現)[ノート]

いかす
ガスは、水道と同じように届けられているか調べる。(本時)

10

ガスも水と同じように、安全で安定的に私たちの所に届けられていることがわかった。

○ガスの供給について、飲料水と同様に安全で安定的に供給していることを考えることができる。
●飲料水の学習で獲得した概念(安全性と安定性)をガスの供給において応答・転移し、ガスも安全で、安定的に供給されていることを考えることができたか。
(思考・判断・表現)[ノート]

水、電気、ガスのライフラインを、これからも使うために自分たちができることを考える。

11

ガスや水などのライフラインは、これからも使っていくために私たちが、節水やガスの無駄遣いが無いようにしていきたい。

○ライフラインを今後どのように使うのか考える。
●今後自分たちが使うライフラインがどのように使っていくのか考え、節水等に協力しようとしている。
(思考・判断・表現)[ノート]
(学びに向かう態度)[ノート]

※本単元は、一般社団法人日本ガス協会の授業支援パッケージ(単元オリエンテーション、「飲料水の学習」を生かしてガスについて取り扱った発展的学習「Aプラン」を参考に作成。
(URL)http://www.kyoiku-gas.com/top/index.html
(URL)https://www.gas.or.jp/kyoiku/

6.本時の学習

①目標
 ガスを供給する事業について、飲料水の供給に関する学習で獲得した概念(安全で安定的に供給していること)を活用して具体的な事実を調べ、ガスも飲料水と同様に安全で安定的に供給していることを考えることができる。
※前時(「飲料水」の学習のまとめの時間)には、飲料水を届けるための具体的な工夫 をもとに「安全で安定的に供給していること」を押さえておく。

②本時の展開

主な発問・指示/予想される子どもの反応

*資料 ・指導上の留意点 ◎評価

(1)水の勉強で、最後に2つのキーワードでまとめましたね。それは何でしたか。
・「安全と安定」です。
・「安心して」と「いつでも」でした。

*まとめのノート(飲み水)
・キーワードごとに具体的な事実を発表させてもよい。
・「安全」→「安心して」、「安定」→「い つでも」と言い換えてもよい。
・「つかむ」(ライフラインの概要)で 扱った「ガス」を思い起こさせ、今日 の課題(左記枠内)を板書する。

(2)この単元のはじめに、ライフラインには飲み水のほかに電気とガスもあることを学びました。「安全と安定」は、ガスについても言えるのでしょうか。

ガスも水と同じように、安全で安定的に届けられているのだろうか。

・ガスも同じことが言えると思う。
・ガスには言えないのではないか。
・どちらとも言えない。

・「言える」「言えない」「わからない」などの選択肢で意思決定させる。

(3)資料(イラスト)を見て、ガスがどのように届けられているかを確認しましょう。

*資料「飲み水・ガスが届くまで」(イラスト)

(4)ガスを届けるための仕事や施設に○印を付けましょう。

<作 業>

・ここでは、水を例にダムまでたどり、ガスについて考えさせ、家からLNG受入基地までを簡単にたどる程度でよい。

(5)イラストのどこに○を付けましたか。
・(例)港のタンク、ガス管、ガス工事、コントロール室など

(6)資料「ガスを届ける工夫」の写真や説明文を見て、ガスを届けるための仕事や施設を「安全(安心して)」と「安定(いつでも)」に仲間分けしましょう。

<作 業>

・資料の文を読み取らせるときには、書かれていること(事実)だけでなく、それがなぜ「安全」や「安定」と結びつくのか、理由を考えさせ、説明させるようにする。

・子どもの発表を受けて、①~⑧のカードを黒板に掲示していく。発言にないものは教師が提示する。

*資料「ガスを届ける工夫」

(7)まず、ガスを「安全」に届けるためにどのような工夫をしていますか。
・ガス器具の点検をする。
・大きな地震のときには、ガスが自動で止まるようになっている。
・交代しながら、24時間体制で見守っている。
・ガスもれがわかるように、においを付けているなど。

・「24時間体制」や「ガス管の工事」など、安全性と安定性の両者に関連しているものがあることに気づかせる。

(8)次に、ガスを「安定的」に届けるためにどのような工夫をしていますか。
・原料の天然ガスを外国から運んでくる。
・ガスを一時的にタンクに蓄えている。
・24時間体制で見守っている。
・地震で壊れないように、ゆれに強いガス管に取り替えているなど。

(9)今日の課題について、わかったことをまとめましょう。
<課題に対する考え>
・(例)飲み水の勉強で学んだ「安全と安定」は、初めは言えないと思っていたが、調べてみると、ガスの供給でも同じように言えることがわかった。
<理 由>
・(例)ガスを安全に届けるためににおいをつけたり、地震が起きてもこわれにくいガス管に替えたりしている。また、ガスを安定して届けるために、ガスホルダーに一時的に貯めたり、24時間体制で見守ったりしているから。

・まとめさせるときには、本時の課題を改めて確認させる。ここでは、「安全性と安定性」がガスについても言えるのか、言えないのか、本時の始めの考えと比べて最終の考え(結論)を書いてから、その理由や根拠を書かせるようにする。

◎飲料水の学習で獲得した概念(安定性と安全性)をガスの供給において応用・転移することができたかどうかを評価する。
(思考・判断・表現)ノート

7.板書

8.資料

飲み水・ガスが届くまでガスを届ける工夫

※資料は、一般社団法人日本ガス協会の授業支援パッケージ(無償)を利用。
(URL)http://www.kyoiku-gas.com/top/index.html
(URL)https://www.gas.or.jp/kyoiku/