小学校 図画工作
小学校 図画工作

1.題材名
「ふぞく小のへんてこたいそう」工作に表す
2.目標
- 「KOMA KOMA×日文
」(*1)アプリ等を利用してアニメーションをつくるときの感覚や行為を通して、形や色などに気付く。
- 「KOMA KOMA×日文」に十分になれるとともに、手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に表し方を工夫して表す。
- 形や色などを基に、自分のイメージをもつ。
- 絵本『へんてこたいそう』(*2)を見て感じたことから表したいことを見付け、好きな形や色を選んだり、いろいろな形や色を考えたりしながら、どのように表すかについて考える。
- 自他の作品の造形的な面白さや楽しさなどについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。
- 楽しく『へんてこたいそう』を見て感じたことからアニメーションに表す活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しい生活を創造しようとする。
3.評価規準
- 「KOMA KOMA×日文」アプリ等を利用してアニメーションをつくるときの感覚や行為を通して、形や色などに気付いている。
- 「KOMA KOMA×日文」に十分になれるとともに、手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に表し方を工夫して表している。
- 形や色などを基に、自分のイメージをもちながら、絵本『へんてこたいそう』を見て感じたことから表したいことを見付け、好きな形や色を選んだり、いろいろな形や色を考えたりしながら、どのように表すかについて考えている。
- 形や色などを基に、自分のイメージをもちながら、自他の作品の造形的な面白さや楽しさなどについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。
- 互いの表現の違いや面白さや楽しさを味わい、主体的に活動に取り組もうとしている。
4.題材について
GIGAスクール構想の実現が前倒しで進んだため、令和2年度中に1人1台端末の整備が整い、コンピュータを学習に用いる場面が増えた。しかし、急激な整備であったため、導入段階である低学年を対象とした実践はまだ多くないように感じる。また、使うことだけで終わってしまい、教科の見方・考え方に迫るような実践は多くないと考える。そのような状況の中で、ICT活用能力と図画工作科で身に付ける資質・能力を相関的に高めるため授業デザインを意図し、本題材を設定した。
子どもたちはカメラ機能を使用したことはあるが、絵を動かすということは初めてだったので、主に「KOMA KOMA×日文」アプリの扱いについては丁寧に指導するようにした。動かせるようになってからは、何度もやり直したり、よりよくするために考える時間を確保したりする時間を設定した。また、友人と交流する中で表現の深められるようにすることを意図して、できた作品は「Microsoft Teams」(*3)にアップロードして共有したり、ペアで協力しながら撮影したりするなどして、交流場面が増えるように工夫した。イメージしたことが具現化できるように、一人一人に合わせた具体的な指導・支援をするように留意した。
5.準備物
6.指導計画(全2時間)
(1)『へんてこたいそう』を鑑賞したことからイメージを広げ、学校のいろいろな場所にあるマークを、簡単なアニメーションの仕組みを生かして、工夫して動かすことを楽しむ。(1.5時間)
(2)完成したマークを展示し、交流しながら鑑賞する。(0.5時間)
7.活動の様子
導入では、絵本『へんてこたいそう』の読み聞かせをした。絵本の中に出てくるマークの動きをまねしながら、興味深く聞く様子が印象的だった。
その後、学校の中にあるいろいろなマークを探しに行き、タブレット端末を使用して撮影した。改めていろいろなマークがあることに気付くことができた。
●マーク探しの探検
教室に戻った後、「KOMA KOMA×日文」アプリを使用してマークを動かすための方法を指導した。指導の際には、「KOMA KOMA×日文」アプリの画面をミラーリングで大型モニターに映し、どのように行うかを具体的に指導した。
その後、自分の撮影してきたマークの中から動かしたいものを選び、どのような動かし方をするか考えながら絵に表した。トレーシングペーパーを半分に折り、最初は下の方に絵をかき、次にトレーシングペーパーを重ねて下の絵をすかしながら、動いた姿をかいた。何度もめくって重ねてを繰り返しながら、イメージに合う動きになるように工夫して表していた。
●イメージに合うように工夫して表現
トレーシングペーパーに絵をかいた後、「KOMA KOMA×日文」アプリを利用して撮影した。イメージした動きになったか確かめながら何度も撮影する様子が見られた。撮影機能はとてもシンプルなので、低学年の児童でもアプリの操作がスムーズにできていた。動く時間を調整するために、同じ絵を二回撮影する方法なども使いながら工夫していて表す様子も見られた。
できた作品は、「MicrosoftTeams」上にアップロードして見合えるようにした。自分の作品についての感想を書き込んだり、他の児童の作品にリアクションしたりしながら交流し、互いの作品の違いや面白さ・楽しさなどに気付く様子が見られた。「KOMA KOMA×日文」アプリは作品がGIFアニメで保存されるので、アップロードする際にも使い勝手がよかった。
完成した作品を広く鑑賞してもらえるようにするため、クラウド上に作品のデータを入れ、リンクをQRコードで作成し、モデルにしたマークの近くに展示した。タブレット端末を持参してQRコードを読み込むと、動くマークが画面に表示され、それを実際のマークを見ながら鑑賞すると、あたかも実際のマークも動いているような感じになり、ARのような鑑賞を体験できた。
●QRコードを使用した展示
鑑賞の後、学習を振り返った子どもたちの意見としては以下のようなものが挙げられた。
・工夫して絵を動かすのが面白かった。
・タブレットを使うと、今までできないようなことができて楽しかった。
・簡単な仕組みでできたのがすごいと思った。
・友だちの作品も面白かった。いいところは真似してみたい。
・もっといろいろなマークを動かしてみたい。
造形的な見方・考え方を働かせながら意欲的に活動することを通して、満足のいく活動になったという様子が見られた。他の学年の児童も作品を鑑賞して「面白かった」「自分たちでもやってみたい」と感想を伝えてくれた。広く鑑賞の機会をつくったことも学習効果を上げるために効果的であったように思う。
実践で使用したコマ撮りアニメーション制作アプリ「KOMA KOMA×日文」や、そのほかのアニメーション作品については、こちらのWebサイトでご確認ください。
https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/?utm_source=cs046
*1:https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/app/
簡単にアニメーションをつくれるアプリ。パソコンやタブレット上で使用できる。
*2:新井洋行『へんてこたいそう』2021 小峰書店
https://www.komineshoten.co.jp/special/hentekotaiso/
*3:「MicrosoftTeams」とは、Microsoftが提供するグループチャットのソフトウェアである。プロジェクト別あるいは個人間でさまざまなやりとりができる。テキストチャットだけでなく、Skypeを使った通話やビデオチャットも可能である。また、Word、Excel、PowerPointなどの文書ファイルをMicrosoft Teams内で直接開いて操作できる。
※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。