小学校 書写(国語)

小学校 書写(国語)

「文字の歴史を探ろう」(第6学年)
2014.06.16
小学校 書写(国語) <No.006>
「文字の歴史を探ろう」(第6学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「文字の歴史を探ろう」

2.目 標

○文字の成り立ちについて知り,漢字に興味を持つ。
○昔の文字を石に彫り,自分だけの印を作る。

3.評価規準

関心・意欲・態度
○文字の成り立ちについて進んで知ろうとしている。
○自分の名前の漢字の成り立ちについて進んで知ろうとしている。

思考・判断・表現
○文字の組み立て方や字形を整えて作品を作ろうとしている。

技能
○辞書を活用し,自分の気に入った文字を選ぶことができる。
○選んだ文字をバランスよく並べることができる。

知識・理解
○篆刻がどのようなものかを知ることができている。
○文字がどのようにして生まれたかを理解している。

4.本単元の指導にあたって

①児童について
 児童はこれまでに多くの漢字を習ってきている。一年生の頃は新しい漢字を知ることに喜びを感じ,何でも漢字で書いてみようと意欲的に取り組んでいた。しかし,学年が上がるにつれ,覚える漢字も増え,新しい漢字を知る喜びを感じている児童もいるが,単に多くの回数を書いて覚えなければならないと苦痛を感じる児童もいる。なかなか既習の漢字が定着せず,文章を書かせると平仮名だらけの文章になってしまう児童もいる。そこで,漢字に興味を持てるような指導が必要である。

②教材について
 篆刻とは,石や木などに文字を彫ることである。本単元では,石に文字を彫る。自分がこれまで慣れ親しみ,今後も使っていく名前を彫ることで,文字に興味を持つことのきっかけの一つになると考える。できた作品は半永久的に使えるものであり,書写の作品や図工の作品,自分の証明に押すなど様々な活用が考えられる。材料の石は中国で採れる青田石・寿山石・巴林石など産地によって様々なものがあるが,最近産出されている遼寧石などやわらかい石で彫ると比較的簡単に彫ることができる。篆刻には「篆書」という文字が使われることが多い。文字の成り立ちは甲骨文字に始まり,金文,篆書と続く。店の看板などでデザインとして目にすることはあっても,普段用いることのない文字である。
 文字を彫る際には,印刀を用いる。彫刻刀でも代用可能ではあるが,彫りやすさの観点から印刀を用いた方がよい。

③指導について
 まず,文字に興味を持たせたい。そのため,最古の文字である亀の甲羅や牛・馬の肩甲骨に彫られた甲骨文字を見せることから始める。児童はこれまでに象形文字について学んできたが,甲骨文字はほとんどが象形文字である。クイズ形式で児童に見せ,興味を持たせる。また,辞書から自分の名前の文字を探し,普段使っている文字がどのようなものからできたのかを知ることで興味を持たせたい。文字を彫る際には怪我に十分注意する。石を持つ方の手には軍手をはめるようにするなど,工夫が必要である。また,逆字を石に書かなくてはいけない。トレーシングペーパーなど薄い紙を用い,裏返したものを写しとる方法や鏡に文字を写して確かめる方法がある。

5.本時の学習

①目 標
○自分の名前の印を作ろう。

②学習展開 ※準備物の資料2~4は、表の下に掲載しています。

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

準備物

1.文字の成り立ちについて知る。
・甲骨文字について知る。

○甲骨文字を見せ,何に彫られたものか想像できるようにする。
・使用した写真は亀の甲羅(内側)に彫られたもの。他には牛や馬の肩甲骨に彫られたものもある。

・資料1(甲骨文字の写真)

・クイズに答える。

○甲骨文字クイズをする。
・象形文字がほとんどである。

・資料2(甲骨文字クイズ)

2.篆刻について知る。
・篆刻は,石に文字を彫ることであるということを知る。

○甲骨文字から現代の文字になるまでの過程に篆書があり,それを石に彫ることを知らせる。

3.本時のめあてを知る。

○自分の印を作ることを知らせる。

自分の名前の印を作ろう。

4.自分の名前の文字を辞書で調べる。
・名前の一字を選ぶ。

○名前の一字を選び,辞書で調べるよう助言する。

・辞書

5.印稿を作る。
・いくつかのデザインを描く。

○実際の大きさでデザインするようにする。
○いくつかのデザインを描いてみるよう助言する。

・デザインをする紙

6.印面に布字する。
・一番気に入ったデザインのものを墨で石に書く。

○トレーシングペーパーを裏側から見ながら,墨で逆字を石に書くよう助言する。
○失敗した場合は,その部分を墨で塗りつぶし,訂正するようにする。

・トレーシングペーパー
・石
・墨(朱墨も)

7.自分の名前を彫る。
・印刀と石を実際に持ち,側面に彫る練習をする。
・印面の名前の文字を彫る。
・彫り終えたら,試し押しをする。
・彫り残しのあるところを補刀し,押印する。

○写真を見せながら,印刀と石の持ち方を教える。
○側面に「×」,「○」を彫る。
・直線と曲線を彫る練習をし,文字を彫る際に生かすようにする。
・曲線を彫るときにも直線的に彫るように助言する。
○石に持つ方の手に軍手をはめ,怪我をしないようにする。
○押すときは,薄い雑誌一冊分程の堅さのところで押すようにする。
○石の周りも削るよう助言する。

・資料3(手順)
・印刀
・資料4(線を彫る時の注意点)
・軍手(雑巾)
・薄い雑誌
・印泥(朱肉)

【資料2】

【資料3】

【資料4】

線を彫る時の注意点