図画工作科でのICT活用アイデア

図画工作科でのICT活用アイデア

Padletで共有する「学びのポートフォリオ」
2022.04.12
図画工作科でのICT活用アイデア <第4回>
Padletで共有する「学びのポートフォリオ」
兵庫県尼崎市立上坂部小学校教諭 河野愉平(こうの・ゆうへい)

 今回は、Padlet(パドレット)というツールを使って、図画工作の授業での学びを記録し、ほかの児童と共有する実践を紹介します。

Padletについて

Padletとは?

 1つの画面に、複数人で文字を書いたり写真を貼り付けたりできる、掲示板のようなオンラインツールです。
 以下のWebサイトから、無料ですぐに利用できます。学校や企業向けの有料プランもあります。

https://ja.padlet.com/

 また、App Store/Google Playからアプリをインストールして利用することも可能です。

Padletでできること

 Padletは、教育現場に向けてつくられた、直感的かつ使いやすいツールです。教員がボード(掲示板)をつくり、児童を招待することで利用できます。
 児童一人一人が、授業での気付きを書いたり作品の写真を貼り付けたりすることで、他者の学びを見ることができるクラスのポートフォリオとなり、学びを共有することができます。

今回の活動での設定について

「シェルフ」のボードを使う

 Padletのボードには、7種類のテンプレートが用意されています。
 情報を並べたり連結させたりできる「キャンバス」、地図上に情報を追加できる「マップ」など、目的に合わせて選択することができます。
 今回は、縦の列に情報を追加していくことができる「シェルフ」のボードを使いました。

縦の列に児童一人一人の名前をつける

 「シェルフ」のボードに、児童一人一人の名前を付けた列をつくっていきます。
 縦の列は「セクション」と呼ばれます。この「セクション」の下に、情報を追加していくことができます。
 児童は、自分の名前がついている「セクション」に振り返りを書いていきます。その際、新しい振り返りが一番上に表示されるように設定しました。

プライバシーの設定をする

 個人情報の漏洩を防ぐために、ボードを共有する範囲を設定します。
 「プライバシー設定」から「シークレット」を選択し、ボードを共有した相手だけがアクセスできるようにします。今回は、クラスの児童にだけボードを共有し、そのクラスの児童だけが利用できるようにしました。
 その際、「書き込み」の権限を付けて設定することで、児童が振り返りを書けるようにします。

 また、

  • ほかの児童の振り返りに「コメント」ができるかどうか
  • 「いいね」などの「リアクション」ができるかどうか

などを設定することも可能です。今回は、学び合いの効果を期待し、両方ともできるように設定しました。

授業での活用方法

ミラクル! ミラーステージ(5・6上p.38-39)

 鏡の面白さを生かして、試しながら、様々な材料で立体に表す活動です。
 1次では、鏡の面白さや不思議さに触れる造形遊びの要素が強い活動をしました。この活動で鏡のもつ特徴などをクラス全体で共有し、整理していきます。
 2次では、その鏡の特徴を生かして、自分でテーマを決め、立体に表す活動を行います。

授業ごとの振り返りで、自己調整力を育む

 この題材では、毎回の授業の振り返りを、児童がPadletで記録していきました。ボードに、写真、学んだ内容や感想を追加していくことで、自分の学びをメタ認知するポートフォリオができあがっていきます。このように、児童が活動を振り返り、次時の活動へとつなげていくことで、学びの自己調整力を育むことができると考えます。

ほかの児童と学びを共有し、活動に生かす

 「シェルフ」のボードでは、ほかの児童の振り返りは横に表示され、ほかの児童がどのような活動をしているのか、リアルタイムで見ることができます。児童のよい気付きをほかの児童に知らせることで、振り返りの質も向上し、図工の学びも共有できます。

形が動く 絵が動く(5・6上p.18-19)

 コマ撮りアニメーションの仕組みを生かして、工夫しながら、楽しい動きや変化を表現する活動です。
 コマ撮りアニメーション制作アプリ「KOMA KOMA×日文」を活用し、身の回りのものを生かしてアニメーションを製作しました。

動きのある作品を鑑賞しやすく

 Padletは、写真やテキストだけでなく、動画やアニメーションを共有することができます。
 「KOMA KOMA×日文」の書き出し形式であるGIFファイルにも対応しているので、作品が動いている状態で、簡単に共有することができます。

コメント機能で、感じたことを伝え合う機会を用意する

 ほかの児童の投稿に対して、コメントをつけることができるよう設定しました。
 コメント機能を活用することで、児童はお互いの学びを相互評価でき、自己肯定感や学習意欲を高めることができます。意見の交換ができる機会や環境を整えることは、協働的な学びを保障することにつながり、児童の個別の学びを深めることにもなると考えます。