小学校 社会

小学校 社会

「情報をつくり、伝える」(第5学年)
2022.12.21
小学校 社会 <No.039>
「情報をつくり、伝える」(第5学年)
京都府宇治市立南部小学校 教諭 八木武志

1.単元名

「情報をつくり、伝える」(第5学年)

2.目標

 「情報社会」の進展や「Society5.0」への移行に関心をもち、情報化した社会の様子と国民生活とのかかわりについて調査したり、資料を活用したりして、情報化の進展が国民生活に大きな影響を及ぼしていることや、情報の有効な活用が大切であることについて考え、表現する。
 大量の情報や情報通信技術の活用について、新聞を事例に、情報の送り手と受け手の立場から多角的に考え、受け手として正しく判断することや送り手として責任をもつことが大切であることに気付き、表現する。

3.評価規準

【知識・技能】

情報の種類、情報の活用のしかたなどについて、文書資料や映像などの資料で調べ、必要な情報を集め、読み取り、産業における情報活用の現状を理解している。
放送、新聞などの情報産業は、国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解している。

【思考・判断・表現】

情報の種類、情報の活用のしかたなどに着目し、問いを見出し、産業における情報活用の現状について考え、表現している。

【主体的に学習に取り組む態度】

国民生活と情報との関わりについて、予想や学習計画を立て、振り返ったり見直したりする中で、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
学習したことをもとに、産業と国民の立場から多角的に考え、情報化の進展に伴う国民生活の向上について考えようとしている。

4.本単元の指導にあたって

 本単元では、限られた時間の中で効率よく学習することができるように、全時間分のワークシートを作成・利用した。これは2020年3月、コロナ禍による全国一斉休校が行われた際に用意したものである。そのため、同様のワークシートは全単元分を用意し、作成にあたっては下記3点を工夫した。

①形式
 語句の整理、図表や写真などの活用、ナンバリングの設定など、見やすさや分かりやすさを追求したり、一目で一時間の授業の流れを把握することができるように、各ワークシートの形式を統一したりと、児童が学びやすくなる工夫をした。児童が考えたことや気付いたことを、表現するまでの時間を確保するために、試行錯誤した。

②自学自習への対応
 授業用のワークシートとして作成したが、休校期間中や普段の家庭学習のための学習課題として、個別学習にも活用することができるように、1時間の学習内容(教科書1見開き分)をワークシート1枚にまとめた。授業においても、単元の学習課題や補足説明のために、タブレット端末を活用する機会を設けることで、一人一人の気付きや、疑問について探究する学習ができるようにワークシートを構成した。

③「3観点評価」の評価材料
 「思考・判断・表現」と「主体的に学習に取り組む態度」の評価を考慮し、ポートフォリオ形式のワークシートに仕上げた。自分の予想や考えを要点ごとにまとめ、考えの変化や新たな気付きなどを視覚化することができるように、いくつかのワークシートに「考えてみよう」の欄を確保し、児童の気付きや考えを記述させた。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

評価規準の具体例

1

生活の中での情報活用に関心をもち、くらしの中で手に入れている「情報」について考える。

・教科書の図版を例に、生活の中で「情報」を手に入れている方法について出し合う。
・くらしの中で手に入れている「情報」について考え、意見や考えを交流する。

【思考・判断・表現】
生活の中の「情報」について関心をもち、自分の考えや意見をまとめている。
(発言・ワークシート)
【主体的に学習に取り組む態度】
本単元で学習する課題について考え、自分の予想と、深めていきたい学習内容についてまとめている。
(ノート)

2

様々なメディアの特徴について調べることで、情報の伝え手に関心を持ち、身近な新聞社を取り上げ、学習問題や予想をもち、学習計画を立てる。

・主なメディアの特徴(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)、メディアの特徴をまとめながら、気付きや疑問を出し合う。
・学習問題『新聞社はどのように情報を集めて、新聞をつくり、わたしたちのもとへとどけているのだろう』ついて、自分の予想をまとめる。

【知識・技能】
メディアが、国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解している。
(ワークシート・ノート)
【主体的に学習に取り組む態度】
学習問題について、自分の予想や考えをまとめ、学習計画を立てている。
(ノート)

3

新聞紙面の構成や記事の内容を調べることを通して、新聞社がどのように紙面づくりを行っているのかについて関心を持ち、情報の集め方について考える。

・教科書資料の「新聞にのっている情報」を調べ、その情報の集め方について考え、予想を立てる。

【思考・判断・表現】
情報の収集や選択など、新聞ができるまでに関わる疑問をもち、表現している。
(発言・ノート)

4

新聞社では、取材記者が様々な情報を収集し、取材して記事を書いていることを理解する。

・教科書本文及び資料をもとに、情報の集め方について調べる。

【知識・技能】
取材記者が、社会でどのような出来事が起きているのか情報を集め、取材して記事を書いていることを理解している。
(ワークシート・発言・ノート)

5

新聞ができるまでを調べることで、新聞社が正確な情報を早く読者に届けるために、収集した情報を選択・加工して紙面をつくり、届けていることを理解する。

・新聞が配達されるまでの流れや編集局のしくみについて、情報の集め方と伝え方について調べる。
・新聞の情報の伝え方について、タブレット端末を活用しながら、気付いたことを出し合う。

【知識・技能】
正確な情報を早く読者へ届けるために、多くの人が関わって新聞が作られていることを理解している。
(ワークシート・発言)

6

複数の新聞記事の比較や、捏造記事、報道被害に関する資料を調べることで、新聞社は情報を選択し、意図をもって伝えていること、マスメディアによる情報発信によって社会やわたしたちに大きな影響を及ぼしていることを理解する。

・○月△日の4社の新聞記事を比較し、気付いたことや疑問を出し合う。
・マスメディアによる報道被害について調べ、これからの情報との関わり方について、自分の考えをまとめる。

【知識・技能】
マスメディアによる情報発信は、社会に大きな影響を及ぼすことや、報道被害を受ける人たちが出ることもあることとともに、まれに捏造した情報があることを理解している。
(ワークシート・発言)

7

これまでの学習を振り返り、マスメディアの情報をどのように受け止めればよいかを話し合う中で、個人でも情報発信ができることや、世界中の人たちと情報を瞬時に交流することができるようになっていることを捉えるとともに、さらに考えたい問題や予想をもち、学習計画を立てる。

・教科書の本文や資料をもとに、情報の受け止め方や、生かし方について調べる。
・さらに考えたい問題『情報社会のなかで、わたしたちは、どのように情報と関わっていけばよいのだろう。』について自分の考えをまとめる。

【思考・判断・表現】
インターネットの利用拡大や情報通信機器の急速な広まりによって、情報の発信や交流は個人でも行われるようになったことから、情報の扱いについて、さらに考えたい問題や予想をまとめている。
(ワークシート・ノート)
【主体的に学習に取り組む態度】
情報の扱いについて、さらに考えたい問題や予想をもち、学習計画を立てている。
(ノート)

8

情報社会についての様々な問題から、これからの情報の扱い方について、自分の考えを表現する。

・家庭学習としてインターネットの利用の仕方について、家族から聞き取りを行う。
・家庭学習のアンケートやタブレット端末を活用しながら、情報社会が発展したことによって起きている問題や、インターネットを利用するときに、困ったことについて自分の考えをまとめ、交流する。
・これからインターネットを利用する際の注意すべきことについて、自分の考えをまとめ、交流する。

【思考・判断・表現】
これからインターネットを使う際に情報をどのように取り扱えばよいのか、自分の考えを表現している。
(ワークシート・ノート)
【主体的に学習に取り組む態度】
自分の予想や考えを振り返りながら、本単元での学習を通して、気付いたことや分かったことを振り返るとともに、これからインターネットを使う際の情報の扱い方について、自分の考えをまとめている。
(ワークシート・ノート)

参考資料 自作ワークシート(指導者用)

※使用図版;平成27年度版『小学社会5年下』P.48-49 「くらしのなかにあるさまざまな情報」より
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※使用図版;令和2年度版『小学社会5年』P.190 「おもなメディアの特ちょう」より
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