小学校 算数

小学校 算数

直方体と立方体(第4学年)
2023.01.17
小学校 算数 <No.021>
直方体と立方体(第4学年)
大阪府門真市立古川橋小学校 教諭 前田明日香

1.単元名

「直方体と立方体」(第4学年)

2.単元の目標

 直方体、立方体の意味や性質、平面上や空間にあるものの位置の表し方を理解し、立体図形の構成要素や位置関係に着目して、直方体や立方体の特徴や性質をとらえるとともに、考えた過程を振り返り、学習したことを生活や今後の学習に活用しようとする態度を養う。

3.評価規準

【知識・技能】
 直方体、立方体の意味や性質を理解し、直方体や立方体の見取図や展開図をかいたり、平面や空間の位置を表したりすることができる。

【思考・判断・表現】
 構成要素や位置関係に着目して、直方体や立方体の特徴や性質を考えている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 直方体や立方体がどのような性質を活用しているかを考え、そのよさに気づいている。

4.本単元の指導にあたって

 本単元は、まず、5種類の色板から箱を作るという、箱作りの体験から始める。できた箱を2つのグループに分け、なぜそのように分けたかを理由づけながら、直方体・立方体の意味を明確にしていく。そして、構成要素である頂点、辺、面の数や形を考察することや、縦、横、高さの3つの辺に長さで大きさが決まることを体験しながら思考するようにしたい。具体物で意味を明確にした後、デジタル教材やプリントを用いて、2次元でも理解できるよう進めていく。
 次に、直方体や立方体の見取図と展開図をかいたり、構成したり、構成した箱を切り開いたりする活動につないでいる。また、直方体や立方体の展開図は、何種類もあることに気づかせるようにしている。
 そして、直方体を構成する辺や面に着目させ、垂直・平行といった空間における位置関係を考察するとともに、教室などの身の回りのものの位置関係にも目を向けるような活動も取り上げ、算数と子どもたちの生活をつなぐようにしている。これらの一連の学習によって直方体、立方体の意味理解が深められる。
 さらに、平面上の位置の表し方を発展させて、空間にあるものの位置の表し方をとらえていくようにしている。

5.単元の指導計画

学習のねらい

おもな学習内容

1

なかま分けを通して面の形に着目させ、直方体や立方体の意味を理解する。

・色板を使って、箱づくりをする。
・箱の形について調べ、なかま分けをする。
・直方体、立方体の意味を知る。

具体物
デジタル教材

2

直方体や立方体の頂点や辺、面の数や形に着目して、それぞれの特徴や性質を理解する。

・直方体、立方体の頂点、辺、面の数や形について調べる。
・平面の意味を知る。

具体物
デジタル教材

3

見取り図の意味を理解し、直方体や立方体の性質に着目して、いろいろな見取り図をかけるようになる。

・直方体、立方体の見取図をかく。

デジタル教材

4

直方体の性質に着目していろいろな展開図を考える。

・直方体の展開図をかき、それらの箱を作る。

5

立方体の性質に着目していろいろな展開図を考える。

・立方体の展開図をかき、それらの箱を作る。

6

三角定規を使い、面について垂直の関係や平行の関係を調べ、直方体の面の垂直や平行の関係について理解する。

・直方体の面と面の垂直・平行の関係を調べる。

デジタル教材

7

三角定規を使い、辺について垂直の関係や平行の関係を調べ、直方体の辺の垂直や平行の関係について理解する。

・直方体の辺と辺の垂直・平行の関係を調べる。

デジタル教材

8

これまで学習した面と面、辺と辺の関係をもとに、面と辺の垂直、平行の関係を調べ、直方体の面と辺の垂直や平行の関係について理解する。

・直方体の面と辺の垂直・平行の関係を調べる。
・教室の中で、垂直と平行の関係になっている辺や面を探す。

デジタル教材

9
本時

平面における位置を決める要素(基準点、方向、距離)に着目し、その位置を数を用いて表現できるようにする。

・絵地図に示された建物の位置の表し方を考える。

デジタル教材

10

空間における位置を決める要素(基準点、方向、距離)に着目し、その位置を数を用いて表現できるようにする。

・絵地図に示された展望台の位置の表し方を考える。

デジタル教材

11

たしかめポイント

6.本時の学習

①ねらい
 平面における位置を決める要素(基準点、方向、距離)に着目し、その位置を数を用いて表現できるようにする。

②指導の実際
(1)導入(課題把握・解決の見通し)

 子どもたちが楽しみながら、必要感をもって表し方を考えられるように、導入では、AクラスとBクラスに分かれて行う。

問題
 下の図は、ある町の絵地図です。しかし、建物の名前がかいてあるところと、かいていないところがあります。AクラスとBクラスで協力してこの地図を完成させましょう。
Aクラスには、学校の位置が記されています。
Bクラスには、テレビとうの位置が記されています。
 駅の位置をもとにすると、どのように表せばよいですか。できるたけわかりやすく簡単に表しましょう。

(A)(B)

めあて 平面上にあるものの位置の表し方を考えよう。

Bクラスでの実践例

(課題把握・見通しの段階)
以下の4つのポイントをおさえられるよう、話し合いを進めていく。

駅の位置…もとになる位置
東西南北を使う
1マスが100m
できるだけわかりやすく、簡単に

(実際の様子)

T:この問題で聞かれていることは何ですか。
C:駅の位置をもとにすると、テレビとうの位置はどのように表せばよいですかです。
T:どうやって表せばいいですか。絵地図の中に使えそうなものはありますか。
C:1マス100mは使えそうです。
C:左右を使えばいいと思います。
C:方角がかいてあるから使えそうです。
C:東西南北を使えばいいかもね。
C:でも、どこの場所からスタートするかによって変わるけど、どうしたらいいかな。
C:駅の位置をもとにするとってかいてあるから、駅からスタートすればいいと思います。
T:では、実際に駅の位置をもとにした、テレビとうの位置を表してみましょう。できるだけわかりやすく簡単にを意識して解決しましょう。

(2)解決の段階
 見通しの話し合いの後、一人で解決をする。

(3)練り上げの段階
 解決したものを発表し、できるだけわかりやすく伝えるためには何がいいのかを考え、答えをしぼっていく。

(解決①)
東に6歩進んで、北に4歩進む。

(解決②)
まず、北に400m進みます。向きを変えて東に600m進みます。

(解決③)
北400m、東に600m

(解決④)
東600m、北に400m

C:どれも位置は、わかりやすいと思います。
C:でも、解決①の6歩と4歩は、距離がかかれていないからわかりにくいし、人によって歩幅が違うから、mの方がいいと思います。
C:できるだけわかりやすく表すと、解決③か④が短くてわかりやすいと思います。
C:じゃあ、③か④ですね。
C:北の方が先にかいている人が多いから、解決③でいこう。

(4)発表
 1つの教室に集まり、練り上げた答えを言って、もう1チームの子がデジタル教材の人形を動かす。(両チーム)

C:今からBクラスの考えを発表します。
C:言います。テレビ塔の位置は、(北400m、東600m)です。
C:おぉ~、人形動いてる!すごいわかりやすい!!(Aクラス)
C:テレビ塔の位置がわかった!!

C:今からAクラスの考えを発表します。
C:学校の位置は、(東200m、北500m)です。
C:北と東が入れ替わってるけど、わかりやすい。
C:どっちが前でもいいんかな。

 ここで、位置を表す時は、Xの方向(東の方向)から表す決まりがあることを確認した。

(5)まとめ
 平面における位置を決める時は、もとになる位置から(方向と距離)を使うと表現できる。

(6)ためす
 一人の子が前に出て、デジタル教材の人形を動かし、人形の位置をどのように表すのかを考えた。

(7)指導を終えて
 本時の学習では、実際に位置がわかっていないもう一つのクラスに対し、どのように伝えたらいいのかという必要感を持って学習に臨むことができた。子どもたちは、意欲的に考え、自分たちでわかりやすく簡単に伝えるには、できるだけ短く表すことが大切であるということを導きだすことができた。
 また、デジタル教材の人形を使う時は、ゲームのような画面が出てきたので、子どもたちの目がキラキラと輝いていた。実際に人形が動くことによって、位置を決める要素(基準点、方向、距離)をより簡単に理解することができていた。一度だけだともったいないので、(6)のためすでもデジタル教材を使うことにした。人形が動くので、ためすの問題も子どもたちの方から「何問もやりたい」といい、楽しんで学習することができた。普段はなかなか手を挙げられない児童も、デジタル教材を活用することによって意欲的に取り組めていたのが、よかったでのはないかと思う。
 学習指導が終了した後の休み時間も、自分たちで電子黒板を触りながら問題を出し合っている姿がほほえましく感じた。