小学校 社会

小学校 社会

「自然災害から人々を守る活動」(第4学年)
2023.02.27
小学校 社会 <No.041>
「自然災害から人々を守る活動」(第4学年)
愛知教育大学附属名古屋小学校 教諭 伊藤圭紀

1.単元名

「自然災害から人々を守る活動」(第4学年)

2.目標

我が国で起こった自然災害について、地図や年表などの資料で調べまとめることを通して、関係機関や地域の人々は、自然災害に対し様々な協力をして対処してきたことや、今後想定される自然災害に対し、様々な備えをしていることを理解できるようにする。
過去に自然災害が発生した際には、人々を守るために関係機関が連携しており、地域の人々も協力して安心してくらせる街づくりをしていることを考えさせる。
自然災害について主体的に問題を解決しようとする態度や、多面的・多角的な思考や理解を通して自然災害に備えようとする心情を養うことができるようにする。

3.評価規準

【知識・技能】

我が国で起こった自然災害やその際に行われた支援や対策について地図や年表などの資料で調べ、関係機関や地域の人々は、自然災害に対し様々な協力をして対処してきたことや、今後想定される自然災害に対し、様々な備えをしていること、それにより現在の生活があることを理解できるようにする。

【思考・判断・表現】

過去に自然災害が発生した際には、人々を守るために関係機関が連携しており、また、地域の人々が協力して安心してくらせる街づくりをしていることを追究し、今後私たちは自然災害についてどのように向き合っていくべきか話し合い、よりよい社会について考えることができるようにする。

【主体的に学習に取り組む態度】

自然災害について主体的に問題を解決しようとする態度や、学習したことを社会生活にいかそうとする態度を養うとともに、多面的・多角的な思考や理解を通して自然災害に備えようとする心情を養うことができるようにする。

4.本単元の指導にあたって

○社会参画するための教材について
・教材…東海豪雨の被害とこれまでの対策の資料、実際の避難所の写真
・授業協力…庄内川河川事務所、名古屋市東区役所防災担当

 現在の子どもたちにとって「自然災害が身近なものか」と問われると、決してそうではないように感じる。子どもたちに「自然災害は危険なものだ」「備えは大切だ」という漠然とした考えはあるが、東日本大震災からも10年以上経っており、災害に対しての危機感は薄いと感じる。災害を身近に感じ危機感をもち、自分事として捉えさせる必要があるのではないか。
 そこで、自分の学校を快適な避難所にする想定から、自然災害を身近なものとして考えられる授業をしようと考えた。そこに区役所の防災担当の方や庄内川河川事務所の方など、専門家を呼ぶことで、安心・安全なくらしが守られていることが実感できるのではないかと想定する。また、最後に「快適な避難所を考える」という課題提示をすることで、自助・公助・共助の三つを的確に学ぶことができると考える。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

1

教材と出合い、問いを生み出す。

○我が国で起こった自然災害とその被害額、防災にかけている金額、大雨の起こった回数の変化のグラフなどの資料から、疑問や気付いたことを書きだす。

2

問いを吟味し、学習問題①を創る。

<問いの前提>
・日本では、これまでにたくさんの自然災害が起こっている。
・自然災害が起こるたびに、お金をかけて対策をしている。

なぜ、日本はたくさんのお金をかけて自然災害の対策をしているのだろう?

3

問いを構成して、追究シートを作る。

○自分が立てた予想を確かめるための道筋を確認する。

4

追究の土台を作る。

○「これまでに起こった災害とその被害、そのときにどのような対策をしたのか?」という問いについて、教科書や資料集で確認したり、インターネットで調べたりする。

5

7

各自で追究する。

○各自でさらに追究を進め、予想を確かめていく。

8

9

学習問題①について意見を書き、話し合う。

<児童のまとめ>
日本はこれまでに阪神・淡路大震災や東日本大震災など、大きな自然災害を経験し、その度に様々な対策を国は行っている。自助・公助・共助について考え、自分の命は自分で守ることを意識する必要がある。

10

区役所で自然災害対策に携わる人の話を聞き、学習問題②を創る。(本時)

○これまでの学習を振り返り、自分たちの住む地域が抱える自然災害に関する課題を確認する。
○自然災害が起こったときに、自分はどう関わるとよいか考える学習問題②を創る。

どうすれば自分たちで快適な避難所をつくることができるか?

11

12

各自でアイデアを考える。

○実際に災害が起こったときに、体育館や学校施設をどのように活用するか、アイデアを考える。

13

区役所の方と一緒に、学習問題②について議論する。

○皆が安心・安全に過ごすことができる避難所について考え、小学生でもできることを確認する。

6.本時の学習

①目標
 災害が起こったときの課題について、この地域での対策を考えている方から話を聞くことで、課題を身近に感じながら、課題解決に向かって学習問題を創ることができるようにする。

②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

1 自然災害が起こった際の課題を確認する。
・自助が十分でない。
・公助に頼りすぎている面がある。
・共助といっても何をすれば良いのか分からない人も多い。

○前時までの学習で得た概念的知識を想起できるようにする。
○私たちが行うべき自助・共助に課題があることを確認するようにしたい。

・前時までの板書

2 避難所の様子の写真を提示して、気付いたことを発表する。
・狭い場所にたくさんの人たちが集まっている。
・学校が避難所になっている。

○学校の体育館や教室が避難所になっている様子から、身近に災害対策が必要となる場面があることに気付くようにしたい。

・写真資料

3 区役所の方から避難所の設置は地域の役割でもあること、小学生としてできることを考えてほしいという課題提示を聞いて、調べたいことや疑問を発表する。
・この地域で災害が起こるとしたら何か。また、必要な物資は何か。
・共助の面で、子どもたちだからこそ協力できることは何かないか。

○私たちの地域でも自然災害が起きる可能性があること、そのときには自分たちが「共助」の役割を果たさなければならないことを意識できるような声がけをする。

・区役所の方からの課題提示

4 学習問題②を創る。

どうすれば自分たちで快適な避難所をつくることができるか?

○これまでに出た疑問や気付いたことからキーワードを抽出して、学習問題②を創るようにする。

5 快適(=安心・安全)な避難所を具体的に考える。
・どれくらいの人たちが来るか想定しよう。
・体育館の区分けを考えよう。
・自分たちができる役割を具体的に考えよう。

○自然災害対策を自分事としてとらえ、自助だけではなく、共助を考えることで、地域とのつながりを考えられるようにしたい。

資料

体育館で避難所の具体を考える区役所防災担当 上條さんのお話