学び!と美術

学び!と美術

今、改めてどうつきあう? 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 図画工作編」
2023.04.10
学び!と美術 <Vol.128>
今、改めてどうつきあう? 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 図画工作編」
早稲田大学教育・総合科学学術院 教授 大泉義一、美術家/深沢アート研究所 山添joseph勇

山添joseph勇さん大泉義一 先生

 今回は、「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 図画工作編」とのつきあい方についてです。
 「学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者」のお一人である早稲田大学教授の大泉義一先生(※1) と、教育者外からの視点で「学習指導要領解説『図画工作編』をていねいに読む」という配信を行っていた美術家で深沢アート研究所の山添joseph勇さん(※2)から伺ったお話を、4つの視点でお伝えします。
 皆さんも、ぜひ解説を片手にお読みください。
※本記事の中では学習指導要領の本文を「本文」、同解説を「解説」と表記します。
※脚注は対談に同席した編集部にて作成しました。

① 一つ一つの言葉をていねいに読もう

山添:2016年に教科書に関わるようになって初めて学習指導要領の存在に触れました。「解説」は読むたびにいろいろな考えや想いがめぐる、とてもいい本なんですよね。
大泉:「本」って(笑)。読むたびにいろいろな読み方ができるというのは、「解説」の内容を委員で考えあった時にも大切にしたことですね。使っている言葉の意味を規定しすぎないようにしていました。
様々な箇所に山添さんのメモが書かれている 山添:きれいな言葉やいい言葉がたくさんあるんですよ。「光あふれる広場」(p26)(※3)とか。本当はただの「広場」という言葉でいいし、もしくは光あふれない広場でもいいけど、読んだ人が気持ちよくなる、こういう言葉が大切だと思いました。

大泉:これは平成20年度版にもある言葉ですけど、「光あふれる広場」と書かれていれば、先生だったら子どものいる姿が思いうかびますよね。触発されて活動のイメージが広がるような言葉は入れていますね。
山添:技能についてのところで「はさみを使う行為から動きやリズムをつくりだしたり、無心になって用具を使う中から形を見付けたりするなど(略)」(p47)(※4)とあるのもよくて。使い方を学ぶだけじゃなくて、使えるようになるからまた新しいことが思い付くっていうのが、「造形遊び」じゃなくて「絵や立体、工作に表す」の中で書かれるのがいいです。
大泉:これも前からありますね。「技能」は平成20年度版までは「創造的な技能」と呼ばれていたんですが、改訂全体の方針でどの教科も「知識及び技能」に統一することになった。でも「創造的」であることは変わりないので、この説明は残して、山添さんのおっしゃるように、行為や発想・構想との間に往還が起こるようなことが「技能」ですよ、と解説してるんですよね。
山添:これは「本文」の言葉ですが、「情操」(※5)にもすごく感動したんです。「美しいな、きれいだな、いいな」って子どもたちが純粋に思う時の心を「情操」って言っているのかなと。いわゆる「いい作品」とかじゃなくて、子どもたちがストレートに感じる心を指していて、とてもいいと思いました。
 「解説」では一つ一つの言葉をすごく丁寧でやさしく定義していたり、逆にあえて言い切ったりしているところもあってすごく配慮している。ちゃんと議論した上で、説明したりしなかったりしてるんでしょうね。
大泉:説明していないと言えば〔共通事項〕で示されている「イメージ」(※6)ですね。もう少し説明をした方がよいのでは?という議論もあったんですが、一般の人が使う「イメージ」以上でも以下でもない解釈にしておこう、ということになりました。説明されていない言葉については、文字通りの意味で解釈すればいいんですよね。
山添:そういえば、「など」を使っているところも多いですよね。「など」は大切にして読んだ方がいい(笑)。

――大切な指摘です。〔共通事項〕には「形や色など」という言葉がありますが「形や色」と略されていることをたまに耳にすると気になります。『学び!と美術』の125回目(※7)でも書いていただいたように「触った感じ」はとても重要だと思うんですが、「など」に入っているので取りこぼされがちだと感じることも多いです。

大泉:触った感じや材質感(※8)は「など」の例として書かれている。ここを見落とすと図画工作がビジュアルな側面に寄ってしまう。小学生にとっての「触った感じ」はとても重要なんだけどな。
 本文で「など」があったら、「解説」を読んでみる。そこに解説されていることが結構重要だったり、子どもの姿の具体だったりするんです。

編集者メモ
・好きな言葉を探して読むと、見え方が変わってくる。
・解説されていない言葉は、字義通りに受け止めればよい。
・「本文」に「など」と書かれているところは、「解説」でしっかりチェック。

② 子どもたちの「あるある」を探してみよう

大泉:学習指導要領は、現場の先生方がつくっているものです。学習指導要領の改訂前には実施状況調査(※9)というのを行います。そこで、子どもたちの学習の実態や先生方の指導の実態を捉えたうえで、「こういう実態だったら、ここを変えてもっと子どもたちがよりよく育つようにしましょう」と考えて次の学習指導要領をつくっていく。なので、どこかで勝手につくられているのではなく、現場の先生方の実践、子どもたちの姿からつくられていくんですよね。改善の方向を子どもたちや現場の先生方に教えてもらいながら考えていくんです。
山添:そういうことって、普通は知らないですよね。
大泉:協力者の会議の時『子ども(の姿)から離れないようにしよう』というのを合言葉のようにしていました。だからこの本には、子どもが豊かに表現や鑑賞の活動に取り組む姿が散りばめられているんですよ。
山添:いつも子どもを見ている先生にとっては「当たり前」と思うようなことが書かれているってことですか。
大泉:そうですね。その「当たり前」が教育においては尊いと思います。先生方の現場に学習指導要領の「真実」があるんです。
山添:へ~「真実」ってなんか重っ。
 そうそう、私が比較的専門とする造形遊びの方の技能では「並べる、つなぐ、積む」に加えて「重ねる、かぶせる、丸める、(中略)たらすなど」(p44)(※10)というように子どもの姿もすごく具体的に書かれていますよね。こういうところもいいなと思うところです。
大泉:ここは今回の改訂で明確化したところですね。授業で見られる子どもの姿からより具体化している。解説で書かれてることは「子どもあるある」なんですよ。
山添:学習指導要領で学ぶんじゃなくて、「ああ分かる分かる」って思って読むといいですね。
大泉:逆引きみたいに子どもの姿を見てから解説を読んで「あー、あるある」って確認する使い方もいいかもしれない。「こんな姿も出てくるはずなのか。だったらこういう活動も……」のように使うのもありですね。
山添:そうやって読むと、学習指導要領に追われるんじゃなくて、子どもの成長をちゃんと見ることができますね。子どもに寄り添える。

編集者メモ
・学習指導要領は、子どもたちの実態を基に改善が図られている。
・なので「解説」で書かれている子どもの姿は、図画工作での「子どもあるある」だと思って読むと、共感的に読んでいくことができる。

③ 逆説表現に注目しよう

山添:「絵や立体、工作に表す」のところには「作品として残したいという意識も生まれてくる」(p27)(※11)とあるんですけど、これも素敵な言葉ですよね。
大泉:造形遊びとの違いを説明するための記述(※12)の中の表現だと思うけど、それでも初めから作品ありきではなくて、子どもに「作品として残したいという意識」があるから作品になるってことを言ってる。
山添:今ので思い出しましたけど、「~ではなく」(※13)とか「一方で」のような逆説的な表現も結構あって、それもなんかいいですよね。工作の説明で「一方、『工作』とは、意図や用途がある程度明確で」(p27)(※14)と書かれているのが好きで。 造形遊び、絵、立体、工作それぞれの距離感もちゃんと示されているんですよね。

――「本文」だけだとこの辺の距離感は分かりにくいですよね。文字通り「解説」で解説している部分ですね。

大泉:目標の(3)に「楽しく豊かな生活」(※15)ってあるじゃないですか。これについて解説してある6行の文章は大切なところなんです。「その生活は図工における児童の学習生活をはじめとして、学校生活、家庭生活、社会生活へと広がりをもつものであり、そのような社会では、一人一人の児童が楽しさや豊かさの実感をもって生きていくことができる」(p16)(※16)。社会が先にあってそこに子どもが合わせるんじゃなくて、子どもたちの豊かさがあって、それが連綿とつながった先に社会が構成されるべきだ、という考えを表明しているんですよね。
山添:ここでも逆説が出てきますね。「物質的な豊かさだけではなく、一人ひとりの児童が楽しいといった心情を抱いたり、充足感を得たりするような、豊かさを実感できる自分の生活のこと」(p16)(※17)って。要は、豊かさとは金では無い!という結構挑戦的で現実的な言葉。こういう書き方があるからこの本が堅く見えないんですよね。

編集者メモ
・「解説」には「~ではなく」や「一方」といった、逆説的な表現が結構ある。
・そう表現されているところには意味があるので、「~ではなく」「一方」前後の対比をしっかり読む。

④ 書かれていないことに思いをはせよう

山添:目標の「つくりだす喜びを味わう」(※18)ってとてもいい言葉だけど、ものづくりや作品には苦しさや、見られたくないっていうような一面もあると思うんです。そういうことは書かれていない。
山添さん所有。喜びを味わうの箇所に「苦しみ」と書かれている 大泉:これは教育全般に言えることだと思うんだけど、成功的なことしか見せない傾向はありますよね。実際の子どもたちのことを考えると、90分の授業でずっと集中してるわけでもないし、上手くいかないことや、形に残らなかったこともあると思うんですが、そういうところをすべて示し切るのは難しい。やはり子どもの実態が第一です。
山添:「つくりだす喜び」の横に「苦しみ」ってメモを衝動的に書いちゃっていましたよ(笑)その「苦しさ」が美しくないかというとそんなこともないですしね。
大泉:つくりだす過程でいろいろなことが起こる。そういうものをひっくるめての「つくりだす喜び」なんだって言わないといけないですね。
山添:「解説」の最初にある総説の改訂の経緯なんかには結構しんどい未来予想図が書かれてるんですけどね(笑)。実際の授業の中には、苦しい絵をかく子もいると思うんです。でもその子がその絵をかいたというのは、そういう表現をだせる空間になっていたってこと。そういう時期を過ごすから健全になっていける子どももいると思います。
大泉:学習指導要領で示す言葉の限界も知りながら読まないといけないですね。さっきも言いましたけど、現場の方に真実があるというのをしっかり踏まえておくことが大事ですね。

――「よさ」に気づいたということは「よくなさ」にも気づいてるってことなんでしょうけど、「両方を記述しきるのは現実的には不可能ですよね。

大泉:例えば「よさや美しさ」は一気に捉えられるわけではなくて「ああでもないこうでもない」という失敗を含む探索や試行錯誤を通じて捉えられるものですからね。「つくり、つくりかえ、つくる」(p10など)(※19)には、そのようにいろいろやっていいんだよ、というメッセージも込められているんです。

――「つくり、つくりかえ、つくる」は「広くとらえれば図画工作科の学びそのもの」(p27)(※20)って書いてますしね。

大泉:造形遊びに限らず、図画工作の学習全体でこういう姿を大切にしたい、ということで加えられた一文ですね。
山添:造形遊びは本当によくできた分野だと思っていて。本当は形にならなくても活動の中で力が育っていればそれでいいんだけど、そういうこともなかなか示されないですよね。
 造形遊びって本当に難しくて。子どものどこを大切にするかで変わりますよね。「解説」で具体的に示されている部分だけに引っ張られすぎると、整えてしまうんですよね。リラックスして鼻歌交じりにするぐらいが本当はいいと思います。結果的に表現になっちゃった、というぐらいが大事だと思うんですけど。
大泉:学習指導要領の「言葉だけ」にまじめに向き合うほど、形や色などの造形的側面にこだわってしまうかもしれない。そこに示し切れていない子どもの姿って、当たり前だけどたくさんあるから、そのことを踏まえておかないといけないですね。活動の最後に形に残っていなくても、活動の中で資質・能力が働いていたら学習としては成立しているんです。

――「感覚や行為」(※21)の「行為」ってそういうことですよね。

大泉:もちろん、子どもの一つ一つの行為まで教師が規定して指導するってことじゃなくて、子どものあらゆる行為には資質・能力の発揮が表れているから、大切に見てあげましょう、ってことですよね。「解説」で示している「あるある」は子どもの行為を制限するものじゃなくて、ほんの一例。むしろここに書ききれていないものが、先生方の目の前にたくさんある。繰り返しますが、何より学習指導要領の真実は教育現場にある、と思いながら読んでほしいですね。
山添:「本文」だけだと全然頭に入ってこないけど、「解説」は豊かな言葉で書かれているから読んでて楽しいんです。けどこれを読んで、目の前にいるその時々の子どもに教師としてほぼ毎日接し、さらに子どもたちの6年間の成長を意識して判断して授業をしてると思うと、やっぱ先生たちはすごいですよね。

――教科書をつくる時もこれを目指せばいい、という感じになってしまいがちですが、「解説」を含めてこの学習指導要領からどれくらい子どもの姿を豊かに想像できるか、というのが大切ですね。本日はありがとうございました。

編集者メモ
・「解説」は「あるある」だけど、書ききれていない子どもの姿もたくさんある。
・書かれていることを現実の授業に戻す時(教科書をつくる時)には、書かれていないことにも思いをはせることが大切。
・学習指導要領の「真実」は教育現場にある!

大泉 義一(おおいずみ・よしいち)
早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授
東京生まれ。博士(教育学)東京学芸大学教育学研究科。
都内公立中学校教諭、東京学芸大学附属小学校文部科学教諭、北海道教育大学准教授、横浜国立大学准教授を経て2019年より現職。美術科教育学会副代表理事。専門は、美術教育、デザイン教育、ワークショップ論。
主著に『子どものデザイン その原理と実践』(単著、日本文教出版、2017)、『美術教育学の歴史から:美術教育学叢書(2)』(共著、学術研究出版、2019)、「造形ワークショップの評価に関する実践研究:〈実践デザイン=評価デザイン〉と〈日常生活への延長〉」(単著、『美術教育学研究』第47号、大学美術教育学会、2015)など。
2011年に、学生とともに取り組んでいるワークショップ・プロジェクト『アートツール・キャラバン』で第5回キッズデザイン賞(フューチャーアクション部門)受賞、2013年には、教育現場との連携に基づく図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する研究で第10回美術教育学賞受賞。
大泉義一研究室ホームページ:http://www7b.biglobe.ne.jp/~oizumi-labo/

山添joseph勇(やまぞえ・じょせふ・いさむ)
美術家/深沢アート研究所
東京造形大学絵画科卒/静岡福祉大学非常勤講師。
インスタレーションや空間、平面、立体、映像などの作品を制作や、現代アートを基軸としたこども造形教室やこども造形ワークショップの企画・実施などを主な活動とする。
<活動略歴>食と現代美術(BankART1929、2005~2021)/造形プログラム提供(CANVAS、吉本興業など(2004~)) / 横浜市民ギャラリーあざみ野『夏のこどもぎゃりぃ』(2006~2008)/十和田市現代美術館『親子のためのスクール』(2017)/ SONYプログラミング教育キット教育プログラム開発KOOV(2019)/BankARTSchool子ども造形ワークショップ(2004~)/KAATキッズサマーパーティー(2018、2019)/受賞:キッズワークショップアワード最優秀賞(2020)/令和二年度版図画工作教科書共同著者
著書『こどもがたのしくつくるはじめてのこうさく』(高橋書店刊)/ころころコース世界〇〇旅行へん(コクヨ)など。
『深沢アート研究所』は、カブ(アーティスト・緑化研究者)と山添joseph勇のコンビによる、現代アート・子ども造形・緑化の研究などを主な活動とするアーティストユニット(2003~)。

※1:平成20年の改訂の際には「小学校学習指導要領解説図画工作編作成協力者」のお一人。
※2: 第1回:A表現(1)(2)の(ア)造形あそびをする活動の内容 https://youtu.be/WKxzkkv_yjw(p26、p39-p40、p44-p45、p62-p63、p67-p68、p85-p86、p90-p91)
第2回:A表現(1)(2)の(イ)絵や立体、工作に表す活動の内容 https://youtu.be/x_24rT6vFJk(p27-p28、p41-p42、p46-p47、p64-p65、p69-p70、p87-p88、p92-p93)
第3回:B鑑賞の活動の内容「見方・感じ方」https://youtu.be/vBx8F5ScFiU(p31-p32、p50-p51、p73-p74、p96-p97)
第4回:A表現(1)(2)とB鑑賞を通しての共通事項(ア)(イ)https://youtu.be/_EcI4IaArV8(p32-p34、p54-p55、p77-p78、p100-p101)
第5回:図画工作科の目標 https://youtu.be/39AYVKAD2yY(p09-p16)
第6回:道徳と幼稚園教育要領と中学校美術の目標(ねらい)と内容 https://youtu.be/s5AvGtcDjDA(p160-p163、p175-p179、p150-p153)
※3:学習指導要領(平成29年告示)解説「図画工作編」p26。平成20年告示の学習指導要領解説(以下平成20年版)ではp20。
※4:前掲書p47。平成20年版ではp37。
※5:教科の目標(3)「つくりだす喜びを味わうとともに、感性を育み、楽しく豊かな生活を創造しようとする態度を養い、豊かな情操を培う」。解説は前掲書p16。「美しい物や優れたものに接して感動する、情感豊かな心をいい、情緒などに比べて更に複雑な感情を指すものとされている。」とあり、更に「よさや美しさなどのよりよい価値に向かう傾向をもつ意思や心情と深く関わっている。それは、一時的なものではなく、持続的に働くものであり、教育によって高めることで、豊かな人間性等を育むことになる。」と解説されている。
目標の(3)は指導する事項と直接対応していないが、非常に重要なことが記述されている。
※6:前掲書p33、55、78、101。いずれの箇所でも「イメージとは、児童が心の中につくりだす像や全体的な感じ、又は、心に思い浮かべる情景や姿などのこと」と記述されており、発達の段階に合わせた変化などへの言及はない。平成20年版ではp26。
※7:学び!と美術 <Vol.125> 触ることから始まる 群馬大学共同教育学部 教授 林耕史 https://www.nichibun-g.co.jp/data/web-magazine/manabito/art/art125/
※8:前掲書p54。第1学年及び第2学年の目標の〔共通事項〕についての解説の中で、「形、線、色、触った感じなど」として記されており、その後にさらに具体的な子どもの姿の例が記述されている。ちなみに平成20年版の第1学年及び第2学年の内容における〔共通事項〕の記述では「形、線、色、質感など」(p41)。
※9:学習指導要領実施状況調査。国立教育政策研究所の教育課程研究センターが実施する、実際の教育現場において、学習指導要領で示されたことがどのように実現されているかを調査するもの。
平成20年告示の学習指導要領についての調査は平成24年度、25年度に実施された。
※10:前掲書p44。「他にも、重ねる、かぶせる、丸める、破る、巻く、つるす、潜り込む、垂らす、などが考えられるが(略)」。「本文」で「並べる、つなぐ、積む」を取り上げて示している理由についても示されている。なお平成20年版では「重ねる~」以降の記述はなく、対談で述べられているように今回の改訂でより具体的な表記になっている。
※11:前掲書p27。平成20年版では「作品と呼べるようになる」(p22)。「解説」の文章の追記や削除は公開されるわけではないためこうした変化は気付きにくいが、より子どもの心情に寄り添った重要な変化だろう。
※12:前掲書p21では「『造形遊びをする』は、結果的に作品になることもあるが、初めから作品をつくることを目的としない」とある。つまり造形遊びをする活動の中で「作品」になること自体は否定されていない。が、作品にならなくても「資質・能力」が発揮されていればよいということ。
※13:前掲書を検索すると「ではなく」は総説を含めて39か所。「一方」は7か所。
※14:前掲書p27。「絵や立体」との違いについて記述されている。
※15:脚注(※5)参照。
※16:前掲書p16。
※17:前掲書p16「物質的な豊かさだけではなく(略)」として逆説表現が使われている。一般に「豊かさ」というと「物質的な豊かさ」をイメージしてしまうことに対する警鐘か。
※18:脚注(※5)参照。
※19:前掲書p10、26、40、63、75、86、106。主に造形遊びをする活動の中で使用されているが、p10は教科の目標(1)について、p106は主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善についての記述の中で使用されており、対談中でも言及されたように、図画工作の学びを貫く子どもたちの姿と言えそうである。なお平成20年版ではA表現(1)造形遊びをする活動についての解説の中で一度使用されている。
※20:前掲書p27。
※21:教科の目標(1)「(前略)造形的な視点について自分の感覚や行為を通して理解するとともに(後略)」。平成20年版では目標に記述はなく〔共通事項〕(1)アに「自分の感覚や活動を通して(後略)」と記述されている。