中学校 社会 地理

中学校 社会 地理

日本の諸地域/九州地方(第2学年)
2023.10.06
中学校 社会 地理 <No.005>
日本の諸地域/九州地方(第2学年)
沖縄県那覇市立鏡原中学校 山内治

1.単元名・教材名

単元名:九州地方ー自然環境をテーマにー
教材名:④自然環境を生かした南西諸島の観光業

2.単元の目標

(1)九州地方の地形や気候などの自然環境に関する特色を理解し、九州地方の自然環境を生かした産業や、防災の取り組みについて、様々な情報を調べまとめることができる。【知識・技能】

(2)九州地方の地域の広がりや結びつき、人々の対応に着目し、特色ある自然環境や産業の様子を多面的・多角的にとらえ考察し、表現できる。【思考・判断・表現】

(3)九州地方について、よりよい社会の実現を視野にそこで見られる課題を主体的に追究する態度を養う。【主体的に学習に取り組む態度】

3.評価規準

知識・技能

思考・判断・表現

主体的に学習に取り組む態度

・九州地方の地形や気候などの自然環境に関する特色を理解し、環境を生かした産業や、防災の取り組みについて様々な情報をもとに、まとめている。

・九州地方の地域の広がりや結びつき人々の対応に着目し、特色ある自然環境や産業の様子を多面的・多角的に捉え、考察し表現している。

・九州地方について見通しを持って学習に取り組み、よりよい社会の実現を視野に課題に主体的に追究しようとしている。

4.単元の指導にあたって

 中学校学習指導要領(地理的分野)における地理的分野の内容は、大項目として「A 世界と日本の地域構成」「B 世界の様々な地域」「C 日本の様々な地域」の3つで構成される。その中で「C 日本の様々な地域」は「世界と日本の地域構成」及び「世界の様々な地域」の学習成果を踏まえ、日本及び日本の諸地域の地域的特色を捉える学習を通して、我が国の国土に関する地理的認識を深めることをねらいとし、さらに「(1)地域調査の手法」、「(2)日本の地域的特色と地域区分」、「(3)日本の諸地域」、「(4)地域の在り方」の4つの中項目で構成されている。
 「(3)日本の諸地域」では、①自然環境を中核とした考察の仕方、②人口や都市・村落を中核とした考察の仕方、③産業を中核とした考察の仕方、④交通や通信を中核とした考察の仕方、⑤その他の事象を中核とした考察の仕方を基にして、空間的相互依存作用や地域などに着目し、主題を設け課題を追究、解決したりする活動を通して、その地域的特色や生じる課題について理解すること、考察の仕方で取り上げた特色ある事象と、それに関連する他の事象やそこで生じる課題を理解すること、また、思考力、判断力、表現力を身に付けること、日本の諸地域において中核となる事象の成立条件を地域の広がりや、結びつき、人々の対応に着目し、他の事象や課題を有機的に関連付け多面的・多角的に考察し表現することとしている。
 このことから本単元では、九州地方を学ぶ考察の仕方として「自然環境」に着目しながら、自然環境がどのように人々の生活や産業に影響を与えているのか関連付け、「問い」を構造化し、多面的・多角的な考察から追究していくことで、自分のことばで論理的な思考力を育めるよう指導した。

5.単元の指導計画

時間

学習のねらい

生徒の活動と内容

評価基準の具体例

 

単元を貫く問い

九州地方では自然環境をどのように生かし、生活しながら環境保全に関わることで、どのような課題があるのでしょうか。

1

学習課題
 九州地方の自然環境や人々の生活には、どのような特色がみられるのでしょうか。

九州地方の自然環境と人々の関わり
(教科書P.166-167)
○九州地方の地形と人口分布
○温暖で雨の多い九州地方の気候

○九州地方の導入として、九州地方のイメージや気候、特産品などの写真やキャプションから、自然環境と人々の結びつきを通して課題に対する興味・関心と学習意欲を高める。
○九州地方の自然環境と人々の生活・産業との関わり、環境保全に関わる課題について追究する事への意欲を高める。

知識・技能
○九州地方の位置や広がり、地形や気候の特色、人々の生活のあらましを理解している。九州地方の地形地図と人口密度の分布図、雨温図と景観写真を関連付けて読み取っている。
主体的に学習に取り組む態度
○単元の追究するテーマに関心を持ち、自然環境と人々の生活・産業との関わり、環境保全に関わる課題の追究に対する意欲を高めている。

2

学習課題
 九州地方の人々の生活は、火山活動や雨の多い気候と、どのようにかかわっているのでしょうか。

自然環境に影響を受ける人々の生活
(教科書P.168-169)
○火山と人々の生活
○火山活動を自然のめぐみとして生かす
○気候と人々の生活

○九州地方の人々の生活が火山活動や台風、梅雨による大雨などの自然環境と密接に関わりながら営まれていることを理解する。
○九州地方の自然環境が及ぼすメリット、デメリット写真や新聞記事などを活用し、多面的、多角的に考察し、表現する。

知識・技能
九州地方の人々の生活が火山活動や温暖な気候と関わりながら営まれていることを理解している。
思考・判断・表現
九州地方の自然環境がもたらすメリット・デメリットを資料から読み取り、多面的・多角的に考察し表現している。

3

学習課題
 九州地方では、自然環境を生かしながら、どのような農林水産業が行われているのでしょうか。

自然環境の特色を生かした農林水産業
(教科書P.170-171)
○九州北部の稲作
○九州南部の畜産業と園芸農業
○過疎化の影響と農業

○九州地方では気候や地形、消費地からの距離などの自然環境を生かすとともに交通の発達、灌漑施設などの整備などにより、北部と南部でそれぞれの特色のある農業が営まれていることを理解する。
○九州地方の北部と南部の農業の特色を生み出したり九州地方の漁業が盛んな理由を自然的条件と社会的条件の両面から考える。

知識・技能
九州地方の南部と北部の農業の特色を理解している。
思考・判断・表現
九州地方の南部と北部、それぞれの農業の特色の理由を地形や気候、交通網や消費地との距離を関連付け考察している。

4
本時

学習課題
 なぜ、南西諸島にはたくさんの観光客がおとずれるのでしょうか。

自然環境を生かした南西諸島の観光業
(教科書P.172-173)
○自然環境を生かした観光業
○沖縄の歴史と独自の文化
○環境保全と観光の両立をめざして

○南西諸島では美しい自然と温暖な気候、大陸との交流により形成された独自の文化によって観光業が発達し、観光業と環境保全の両面をめざした取り組みが行われていることの理解を深める。
○南西諸島で観光業が発展している理由を自然的条件と社会的条件から考える。

知識・技能
南西諸島で観光業が発展している理由と観光業と環境保全の両立をめざした取り組みが行われていることを理解している。
思考・判断・表現
南西諸島で観光業が発展している理由を気候や景観、独自の歴史や文化、交通網の発達などと関連付けて考察している。

5

学習課題
 九州地方の工業は、どのように変化しているのでしょうか。

工業の変化と自然環境の保全
(教科書P.174-175)
○北九州工業地帯の発展と公害
○変わる九州地方の工業
○世界の環境首都をめざす北九州市

○北九州市や水俣市などでは持続可能な社会の実現に向け、公害を克服した経験を生かして先進的な取り組みが行われていることを理解する。
○北九州で盛んな工業が北九州工業地帯を中心とした金属工業や化学工業から、自動車やIC(集積回路)などの機械工業に変わってきていることと、その理由を多面的・多角的に考察し、表現する。

知識・技能
北九州市や水俣市では環境保全のために先進的な取り組みが行われていることを理解している。
思考・判断・表現
九州地方で盛んな工業が金属や化学から機械に変わってきていることと、その理由を多面的・多角的に考察し、表現している。

6.本時の学習(第4時)

目標

  • 南西諸島の自然環境や沖縄県独自の文化の魅力に着目し、観光業が盛んな理由について考える。(思考・判断・表現)
  • 環境と環境保全は両立するか、両立するためにはどうしたらいいのか考える。(主体的に学習に取り組む態度)

時間

学習課題及び内容

学習活動と教師の支援・指導の留意点

資料

導入
5分

自然環境を生かした観光業

○南西諸島のイメージは?
・暖かい、青い海、砂浜、白い砂浜

本時の課題

なぜ、南西諸島にはたくさんの観光客がおとずれるのでしょうか。

教科書
航空会社のポスターやCM

展開
35分

沖縄の歴史と独自の文化

○沖縄県が他府県と比べてどんな特徴があるかペアで相談しよう。
・自然環境(さんご礁の海 台風)、農産業、
独自の文化、首里城(琉球王国)、
世界文化遺産、食文化、中国との交流

教科書
P.173 図4
図3

沖縄の基地と人々

・沖縄県の土地利用から経済効果がある一方で米軍基地による課題があることを理解させる。

 

環境保全と観光の両立をめざして

・北部にテーマパークの建設が予定されているが、そのために自然破壊も懸念されている。

開発と環境保全は両立するのだろうか。
また、両立させるためにはどんな事が必要だろう。

・エコツーリズムは可能か。グループで話し合う。

新聞記事
ネット記事

まとめ
10分

 

・話し合ったことを発表させる。
・自分の考えをワークシートにまとめる。
・南西諸島はその自然環境を生かし観光業や温暖な気候を利用した農業、さらに地理的な要因から中国や東南アジアとの交流から独自の文化が形成されたこと、また開発に伴う環境保全のバランスが課題となっていることを理解させる。

 

7.ワークシート