小学校 算数

小学校 算数

ひきざん(第1学年)
2012.10.02
小学校 算数 <No.001>
ひきざん(第1学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

ひきざん

2.本時の位置づけ

第2時/9時間

3.本時のねらい

 本時では,「15-8」の計算の仕方を考えるため既習事項を想起し,まず表現方法について(絵・図・言葉・数・式・記号などから1つ,あるいは2つ以上を組み合わせて)選択し,その後,解決方法(15から1こずつ数えて8ひく→数えびき,15から5ひいてさらに3をひく→減々法,15を10と5に分けて10から8をひいて2にし,2と5をたす→減加法 など)の見通しを持ちながら自力解決した。

 表現方法,解決方法(解決の過程)ともに多様な考えが出てくることが予想される。そこで,表現方法は違うが解決の過程が同じであるものを関連づけたり,それぞれの方法についてネーミングしたりすることにより,一つ一つの考えを尊重しながら整理するとともに,次時につながる方法について話し合えるような展開にしたいと考えた。そのために,本時を1時間のところ2時間扱いとし,第1時で自力解決まで,第2時(本時)で話し合い活動から始め,互いの考えについて深め合えるようにした。

4.本時の評価規準

  • 繰り下がりのある減法の計算の仕方を,被減数を10といくつの数として考え,図・式などを使って表現している。
  • 繰り下がりのある減法の計算の仕方を理解している。

5.指導計画・評価規準(全9時間 本時2/9)

学習活動・内容

評価規準



○(十何)-(1位数)で繰り下がる場合の計算の仕方を考える。(減加法,減々法)

・繰り下がりのある減法の計算の仕方を,被減数を10といくつの数として考え,図・式などを使って表現している。【考】
・繰り下がりのある減法の計算の仕方を理解している。【知】

○減加法に適した減法の計算をする。(例 12-7)

・減加法による繰り下がりのある減法の計算ができる。【技】

○減々法に適した減法の計算をする。(例 13-4)

・減々法による繰り下がりのある減法の計算ができる。【技】

○どちらの方法にも適した減法の計算をする。(例 15-7)

・被減数,減数の大きさを判断し,自分に合った方法で減法の計算を考えている。【考】

○減法の場面でのお話づくりをする。

・身の回りから,式に合う場面を見つけ,お話づくりに取り組もうとしている。【関】



○ひき算カードを並べ,きまりを見つける。
○計算カードを使って,繰り下がりのある計算の練習をする。

・ひき算カードの並び方や被減数・減数の変化の仕方から,式を関連づけてみることができる。【考】
・ひき算カードを使って,友だちと練習しようとしている。【関】

○学習内容についての理解を確かなものにする。

6.実践紹介

(1)日々継続して行った指導

①問題解決の各段階においての働きかけ

1.見通しをもつ(方法の見通し,結果の見通し)

・これまでの学習のどれが使えるかを考えるよう声かけする。(ノートを見直す,今まで学習した内容や表現方法,解決方法などを思い出す)
・必要であれば,みんなで思い出したり,ヒントを出したりする。

2.自力解決する

・可能な限り,自力解決の時間を確保する。
・机間指導で子どもの解決方法をできるだけ早く読み取る。
・なかなか考えが思い浮ばない子どもには,半具体物やブロックを操作したり,絵や図などをかいて考えたりするよう指導する。

3.考えについて話し合う

san001_012・ききかた・はなしかたの約束に沿って進める。(表)
・必要に応じて,身近な友だちと解決方法についてペア交流することで,互いの考えを理解できるようにする。
・自力解決やペア交流の時に,指導者もそれぞれの子どもの解決方法を素早く読み取り,クラス全体での話し合いでの構成(発表の順序 など)を考える手立てとする。
・全体の話し合いでは,友だちの考えを他の子が発表したり2人で一緒に発表したりすることで,それぞれの考えを理解できるようにする。
・互いに,「自分の考えや友だちの考えと違っているところ,似ているところ」「自分や友だちの考えでよいと思ったところ」などの視点をもって交流できるようにする。

4.振り返る

・授業の最後には,「今日の学習でわかったこと」「自分や友だちのがんばりについて」「つぎに学習したいこと」などの観点を示すことで,振り返りが書けるようにする。
・自分や友だちのがんばりにふれている発言や,次の学習に生かせるような発言などは大いに認め,クラスで紹介するなどして価値づけていく。

san001_02

②ノート指導

san001_031.いつも同じ場所に同じ内容をかく。(見開き2ページ)

・日付 タイトル
・問題 → san001_04
・見通し → san001_05
・めあて → san001_06
・自分の考え
・友だちの考え
・まとめ → san001_07
・練習問題orふり返り → san001_08

2.式や答えだけでなく,言葉や図を用いて,できるだけわかりやすく表現する。

<子どものノート(繰り上がりのあるたし算の第1時⇒第3時)>
(第1時)

san001_091

san001_11

(第3時)

san001_10

(2)授業の展開(全9時間 本時2/9)※下記は,第1時~第2時の展開を掲載しています。

学習活動

評価・支援(◆)

<第1時>~前時の流れ~

 

1.前時の学習を振り返る。

T.前の学習ではどんなことをしましたか?
C.たし算。
T.そうですね。どんなたし算かな?
C.繰り上がりのあるたし算。
T.繰り上がりのあるたし算ではどのような計算の仕方をしましたか?
C.10のかたまりをつくった。
T.なるほど。もう少し詳しく言える?
C.9+3やったら,3から1もらってきて,9と1で10。ほんで,3は1あげて2になったから,10と2で12。
T.前の学習がよくわかっていますね。

◆前時の学習を振り返ることで,繰り上がりのあるたし算では,10のかたまりをつくることで解決できたことを思い出せるようにする。

2.本時の課題を知り,見通しを持つ。

T.今日は,こんな問題なんだけど,わかるかな?

◆キーワード(15こ,8こ,あげました,のこっていますか)に着目することで,ひき算の問題であることがわかり,立式できるようにする。

◆立式後,どのようにして計算のしかたを考えればよいかわかるよう,結果の見通し・方法の見通しそれぞれについてふれる。方法の見通しについては,前単元「たしざん」で10のかたまりにするよさを思い出したり,どのような表現方法が使えるか確認したりすることで,スムーズに自力解決できるようにする。

san001_04 どんぐりを15こひろいました。
8こ,ともだちにあげました。
どんぐりは,いくつのこっていますか。

T.まずは,どんな式になるかわかる?
C.わかる!
T.じゃあ,いつものように,キーワードにしるしをして式をかいてみましょう。

T.では,式を言ってくれる?
C.15-8です。
T.ひき算?どうしてこの式になったか言える?
C.「あげた」ってかいてて,「へる」からひき算。
C.「いくつのこっていますか」ってのこりをきいてるから。
T.なるほど!みんなも同じ?
C.同じ。
T.じゃあ,式はみんなひき算てわかったみたいだけど,15-8って計算できる?
C.できる。
T.どうすればできるのか,自分の考えをかけるかな?

☆15-8のけいさんのしかたをかんがえよう。

T.どんな表し方があったかな?
C.ブロック・図・言葉・数字・記号
T.それでは,自分の考えをノートにかいてみましょう。

3.自力解決をする。

<減加法>
①ブロックとことばで

san001_12_01

②式で

15を10と5にわける
10-8= 2
2+5= 7

③さくらんぼ図とことばで

san001_12_02

<減々法>
④ブロックとことばで

san001_12_03

⑤式で

8を5と3にわける
15-5= 10
10-3= 7

⑥さくらんぼ図とことばで

san001_12_04

【数学的な考え方】(ノート)
A.計算の仕方について多様な表現方法(ブロック・式・さくらんぼ図・言葉など)を使って考えをかくことができる。もしくは,減加法・減々法のどちらでも考えることができる。
B.計算の仕方について,10のかたまりを意識し,図や式などを使って考えをかくことができる。

◆解決方法がわからない子には,まずどの表現方法で考えるのかを選択するよう助言する。(取り組みやすい方法としては,まずブロック操作から)操作したことを,ノートにかくよう声かけする。

◆机間指導で,それぞれの解決方法を把握し,話し合い活動の構成(発表の順序,発表の仕方など)を考える。

<第2時(本時)>

 

4.出てきた考えについて話し合う。

①ブロック図を提示して,
T.この考え方と同じだなと思う人いる?
C.(何人かの子どもが)同じです。
T.じゃあ,だれかこの考えを説明してくれる人いるかな?
C.(ブロックを操作しながら)これは,ブロックを使って考えました。まず,15を10と5にわけます。10から8をひくと,2になります。この2とさっきの5をあわせると7になります。
T.なるほど。今の説明わかる?もう一度聞きたい人いる?

T.では,考え方は同じだけど,表し方の違う人いるかな?
②式を提示して,
C.私は,式で考えました。まず15を10と5にわけて(15-5=10),10から8をひきます(10-8=2)。この2とさっきわけた5をたします(2+5=7)。
T.さっきのブロックの説明とくらべて同じところある?
C.(説明する)

T.他の表し方で考えた人いる?
③さくらんぼ図を提示して,
C.(説明はブロック図や式の子どもとほぼ同じだと予想される)
T.この図の意味わかる?

~このような流れで話し合いを進める…~

T.じゃあ,自分はちょっと違う考えだと思う人いるかな?
(減々法④⑤⑥の考えについて,減加法と同様に進める。)

T.みんなの考えは,ブロック図・式・言葉・さくらんぼ図など色々な表し方で説明してくれたけど,わける方法はいくつあったかな?
C.2つです。
T.じゃあ,それぞれの方法に名前をつけるとしたら?
C.<減加法>⇒ひくたすほう,ひいてたして法 など。<減々法>⇒ひくひくほう,ひいてひいて法 など。
T.今日は,15-8の計算の仕方を考えたけれど,答えはいくつになったのかな?
C.7です。

【数学的な考え方】(発言・態度)
<話し手>
A.出てきた考えについて,ブロックを操作したり,図を使ったりしながら,わかりやすく説明することができる。
B.出てきた考えについて,説明することができる。

◆なかなか説明できない子どもには,「ブロック操作をする」「友だちと2人で協力して説明する」など,発表の仕方を工夫することで,多くの子どもが活躍できるようにする。

<聞き手>
A.自分の考えと比較したり,それぞれの考えの共通点や相違点を見つけながら,説明を聞くことができる。
B.それぞれの考えについて,理解しながら聞くことができる。

◆「きくときのやくそく」を確認し,聞く態度・雰囲気づくりをする。

◆それぞれの考えについて,聞いている子どもが理解できているか,途中で確認しながら話し合いを進める。

5.練習問題 13-8 をする。←試す・活用する(時間があれば…)

T.色々な考え方,表し方が出てきたけれど,じゃあ,この問題なら,みんなはどの方法でするかな?できそう?
C.できる。
T.じゃあやってみましょう。

◆ただ,答えを出すのではなく,話し合いで出てきた考えの中でどれを使うとやりやすいか考えながら解決できるようにする。

6.本時の学習を振り返る。

T.今日は,15-8というひき算の計算の仕方について,みんなで考えて,それぞれの考えについて話し合いましたが,今日の学習を振り返って,わかったこと,自分や友だちの考えについて思ったことをかきましょう。

◆振り返りの観点を明確にする。
○今日の学習でわかったこと
○出てきた考えについて
・自分の考え
・友だちの考え
○次してみたいこと   
など

【15-8の板書例】

san001_13

【15-8のノート例】

san001_14