中学校 美術
中学校 美術

~教科書「光の表現・光の演出」2.3上P.18~19関連~
※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
BEFORE
教科書「光の表現」の題材を、短時間で予算も抑え、ペットボトルとファンシークレイを使用して制作した。粘土に絵の具を混ぜていろいろな色粘土が出来たが、光が効果的に表現出来ない生徒や、形の工夫が思ったほど出来かった生徒もいた。
AFTER
今回は、ペットボトルの形を見て、微妙に違う面を利用したり、裏から透かしで文字を浮かび上がるように工夫をした生徒もいた。色粘土も透明感のあるものを作ったり、薄くのばすことで光の効果が出るように工夫したり、短時間でよい作品が生まれた。
指導計画
題材名 |
「灯りにこころいやされて」 |
---|---|
時間 |
5時間 |
準備 |
教師:ファンシークレイ(粘土)、ボンド、ペットボトル用はさみ、クリアファイル 、のばし棒 |
学習目標 |
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評価の観点 |
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《活動の様子》
(1)アイデアスケッチ
- 昨年の生徒作品を見せながら、光の演出効果をねらった美しい形を考えていく。また、ペットボトルの限られた形を組み合わせたり、そのままの形を土台として利用し、作りたい形を考えていく。
- DVD「ファンシークレイで作品をつくる」を見せ、薄く伸ばすことで光がよく映えることを指導する。
- 配布したプリント「灯りにこころいやされて」にアイデアスケッチする。形は、身近なものを中心に、動物、建物などから連想し、形を単純化させて、光の効果が上がるように工夫して考える。
(2)ペットボトルの加工
- アイデアスケッチを参考に、作りたい形にあわせたペットボトルを用意させる。1人1~2個準備。
- どのように切って、つないでいくのかも考えてペットボトル用はさみやカッターナイフで切って形を決めていく。
(3)ファンシークレイ(粘土)で形づくり
うすくのばす時は、クリアファイルの中に入れて、のばし棒で押すとよい。(その際、くっつきやすいのでサランラップを中に入れておくと取り出しやすい)
ペットボトルに手で直接薄くのばしたりして形作りをする。出来るだけ薄い色がよいので、少しだけ絵の具を粘土に混ぜてこねるようにして、透明感のある色粘土をつくる。細かい部分はボンドで接着してつける。(色粘土は乾くと思った以上に色が濃くなるので注意する)
時間のあまった生徒は、残った粘土でいろいろなものを作っていた。早速、キーホルダーを作って筆箱につけていた生徒がいた。こちらの方が楽しそうだった!?
生徒の感想より(1)
- 粘土の色をなるべく淡くして、光が通るようにしながら、所々、色を変えてみました。
- ペットボトルの底の、でこぼこ部分を利用しケーキのいちごとクリームをのせた。スポンジ部分にしわが寄ってしまった。気持ちが落ち込んでいるときに, これを見ると癒されるような作品となった。
- 粘土と粘土の境 目がうまく接着しなかった。粘土を厚くつけたので発光できるか心配したけど、光が通ったのでよかったです。
(4)鑑賞
出来上がった各自の作品を並べて、部屋を暗くして鑑賞する。オーロラランプは、8パターンに発光するので、作品に合わせて自分で効果を考えて発光させる。並べたクラス全体の作品を鑑賞後に、プリントに自分の作品と鑑賞した他の生徒の作品を評価してまとめる。
部屋を暗くして発光した作品を鑑賞するときは、細かい部分が見えず、真に発光度合いが重要視されるので、形に工夫の少ない作品の「光の演出度」の評価が高い。
生徒の感想(2) 作品鑑賞後
- 他の人の作品は、いろいろと工夫がされていてよかった。
- 形がよくても分厚く作った作品は、光が漏れていなかった。
- ランプの入れる位置など自分では気づかないような入れ方をしたりしてすごいなあと思った。
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《最後に》
教科書に掲載された題材「光の演出」に昨年度より取り組んでみた。今回はその第2弾。ペットボトルをはさみで切って「耳」をつくった。ペットボトルの中から文字を浮かび上がらせる。ペットボトルの模様をそのまま使う。ペットボトルの上部を切り、大きな口にしてその中にランプを入れる。所々に粘土の厚みを変えて光の効果をねらった作品もあった。このように、生徒の工夫が光った作品が多く出来上がった。また、早く出来た生徒が何人か集まって、余った粘土で自分の作りたいものを作り始めていた。そんな場面を見ると、指導している教師自身も楽しくなってくる。
また、制作後に持った鑑賞会では昨年の生徒に比べると感動は少なかったが、暗闇に灯る光が生徒に少しでも安らぎを与えることができれば嬉しいと感じた。「灯りにこころいやされて」のタイトルどおりに、自宅に持ち帰って机の上に置いて使用してほしいと願うばかりである。
さて、来年はさらにバージョンアップするか、または別の材料を使った「光の演出」にするか考えるのが楽しみとなった。このように、教師をわくわくさせる授業が最近増えつつあって嬉しい限りである。