小学校 算数

小学校 算数

図形の面積:面積の求め方を考えよう(第5学年)
2012.11.12
小学校 算数 <No.007>
図形の面積:面積の求め方を考えよう(第5学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「図形の面積:面積の求め方を考えよう」

2.本時の位置づけ

本時 第10時/全14時間

3.本時のねらい

 本単元は、図形を分解したり合成したりする具体的な操作(等積変形や倍積変形)を通して,平行四辺形、三角形、台形、ひし形の面積の求め方を考え、それらの公式をつくるとともに、その公式を用いて面積を求めることができるようにすることがねらいである。
 台形の面積を求める時間としては、前時と本時の2時間を使う。前時では、台形を等積変形や倍積変形して平行四辺形や三角形に帰着させ、面積を求めていく。本時では、前時の中から平行四辺形を用いた倍積変形の考え方をもとにして、どの部分の長さが必要なのかを明確にしながら公式を導くことが大切である。
 この2時間では、既習の考えや経験をもとに台形の面積の求め方を考えたり,公式をつくったりする過程を重視したりすることで、自らの力で新しい公式を導き出せるんだということを体験させたい。このことを通して、その後に学習するひし形や一般四角形、不定形の面積、また、円の面積など、新しい図形に出会っても既習の図形の求積方法を基にして自分の力で解決できるのではないかという意欲につながると考えられる。

4.本時の評価規準

○数学的な考え方
平行四辺形を用いた倍積台形をもとにして、面積を求めるために必要な長さはどこになるのかを考え、公式をつくる。
○知識・理解
台形の求積公式の意味が分かる。

5.単元の指導計画

主な学習内容

○花壇など身の回りのいろいろな形の面積が求められるかを考える。

○平行四辺形の面積の求め方を考える。

○平行四辺形の面積を求める公式をつくる。

○高さが外側にある平行四辺形の面積を求める。
○平行四辺形の面積と,底辺と高さの関係について考える。

○三角形の面積の求め方を考える。

○三角形の面積を求める公式をつくる。

○高さが外側にある三角形の面積を求める。

○三角形の面積と,底辺と高さの関係について考える。

○台形の面積の求め方を考える。

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本時

○平行四辺形を用いた倍積変形の方法をもとに、台形の面積を求める公式をつくる。

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○ひし形の面積の求め方を考える。
○ひし形の面積を求める公式をつくる。

12

○一般四角形の面積の求め方を考える。

13

○方眼を使って不定形の面積を求める。

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○練習問題や発展問題をして、学習の定着をはかる。

6.実践紹介

(1) 前時の指導
 前時は、図のような問題場面から、台形の面積の求め方を図や式を使って説明できることがねらいとなる。このとき、1つの式でまとめて記述するという視点が必要である。これは、本時に公式へと導く際に重要な指導である。すべての考え方の式を1つにできなくても、特に、下図「イ」の平行四辺形を用いた倍積変形の考え方の式は、必ず1つの式で表すようにしておきたい。

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(2) 本時の指導

学習活動

指導のポイント

1.台形の面積を求める公式を考えるという学習課題に気づく

(1)本時の学習課題を気づく。

・前時の終末に児童に伝えたように、本時は「台形の面積を求める公式を考えよう」という学習課題であることを確認する。

(2)前時の考えのうち、平行四辺形を用いた倍積変形の方法を利用することを知る。

・前時に考えた方法すべてから公式を導けないことはないが、方法によっては式を変形しなければならないこともある。式の変形は児童によっては困難な課題であり、混乱を招くことが考えられる。そこで、前時に考えた方法の中から、平行四辺形を用いた倍積変形の方法をもとにして考えていくことを知らせることで学習課題を焦点化し、公式へと導きやすいようにする。

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2.台形の面積を求める公式をつくる見通しをもつ

(1)台形の面積を求める公式をつくる見通しをもち、必要と思われる部分の長さに記号をつける。

・平行四辺形や三角形の公式をつくった経験と台形の面積を求めた経験をもとにして、公式にはどの部分の長さが必要かを考えさせる。このとき、上底と下底にあたる部分の長さが必要であることは、前時の学習から推測するであろう。「高さ」についても必要になることに気づくであろう。また、高さについては、前時の学習でも平行四辺形に倍積変形し、そこで「高さ」という用語が発表の中で出されることになる。そこで、「高さ」の用語は、用いてよいことにする。斜めの辺の長さについての発表についても取り上げるが、必要か必要でないかは、解決後に話し合うようにする。

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3.見通しにしたがって公式を考える

(1)台形の面積を求める公式を考える。

・前時の図や式をもとにしながら、公式を考えさせる。このとき、前時に1つの式にまとめた方法があったことを、必要に応じて助言する。

(2)考えた公式を発表し話し合う。

・(①+③)×高さ÷2になっていることを確認する。
・(①+③)や(③+①)とは、どちらも変形した平行四辺形の底辺の長さにあたることを確認する。
・高さは、平行な2辺の間の垂線の長さであることを確認する。
・②や④の長さは必要なかったことを確認する。

(3)「上底」「下底」の用語を知り、公式にまとめる。

・①,③にあたる部分の名前を、「上底」「下底」ということを知らせると共に、長さの長短ではなく、どちらか一方を上底、どちらか一方を下底ということを確認する。

台形では、平行な2つの辺のいっぽうを「上底」、もういっぽうを「下底」といいます。また、上底と下底の間の垂直な直線の長さを「高さ」といいます。

・台形の面積を求める公式として「(上底+下底)×高さ÷2」にまとめられることをおさえる。

4.チャレンジ問題を解決し、学習内容を活かす

(1)別の台形でも、公式が適用できるかどうかを確かめながら、チャレンジ問題をする。

・1辺が高さになっている場合や不安定な位置におかれている場合や高さが図の外側にある場合の問題をすることで、公式の定着や活用を図る。

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(2)次時の課題を知る。

・ひし形の面積の求め方や公式を考えるという課題をつかませる。