小学校 算数

小学校 算数

体積・直方体と立方体のかさを表そう(第5学年)
2012.11.05
小学校 算数 <No.006>
体積・直方体と立方体のかさを表そう(第5学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「体積・直方体と立方体のかさを表そう」

2.本時の位置づけ

5/11

3.ねらい

考えさせたいこと

工夫や手だて

●複合立体の体積を、多様な方法で求める。

●体積の多様な求め方の中から、一番適した方法を選ぶ。

【教具】
 分割・変形・倍積など、複合立体の体積を求める方法を見取り図という2次元の中で想像するのではなく、上質紙で作成した具体物を用いた3次元的にイメージしやすいようにする。その際、みんなで話し合いができるような掲示用と、児童が手にとった時、量感がわかるような実寸大の立体を用意する。

【必要な長さを押さえる】
 求積方法の見通しがたち、実際に式を立てる際、中には提示されていない長さに戸惑う児童もいる。わからない長さは、提示されている長さの和や差で求められることができることに気づかせる。このようなゆさぶりや、話し合いを通して大切なことを押さえるようにする。

【アニメーションを有効利用する】
 本時での問題場面では、提示する体積の各辺の数値を工夫しているので、多種多様な解決方法で求積することができる。しかし、最終的には、分割・変形・倍積の中から「適した方法を選ぶ力」を身につけさせたい。したがって、児童が考え出した求積の方法を振り返る際に、アニメーションを用いてさらに考えを確かめさせる。そして、活かす段階では、問題場面とは異なった種類の複合図形を提示し、「簡潔・明瞭・的確」にできる方法を、本時に考え出した様々な解決方法から選べるようにしたい。

身につけさせたい力

工夫や手だて

●自分の考えを伝える力

【ノート指導から】
 自分の考えをわかってもらおうと思ったら、まず、自分自身が考えを整理できなければならない。そのための大きな手だてがノートである。必ず段階をふむようにし、言葉は少なく、式や図ですっきりとまとめるように指導する。
 本時の場合、①解決方法②式を立てるために必要な数値③式と答えである。必要であれば、吹き出しを入れるなど、児童それぞれに工夫したノート作りができるように指導する。

【わかりやすく伝える】
 本時のような、多様な考えを子どもたち自身で共有し、深めるためには、自分の考えをわかりやすく伝える力が必要である。発表ボードには2色使いで図と式をわかりやすくかくようにし、ノートの①②③に沿った順序立てた説明をさせる。そして、説明の途中で数値を書き込んだり、指差したりするタイミングなど、児童一人一人に自分なりの発表の工夫をさせる。学び合いの場を設定することで、疑問点や類似点、相違点などを子どもたち同士が練り上げるような支援が必要である。

4.本時の評価規準

○数学的な考え方
複合した立体を、2つの直方体の和や差ととらえたり、変形して既習の形になおしたり、体積を2倍ととらえたりしようとしている。
○技能
複合した立体の体積を求めることができる。

5.単元指導計画(全11時間)


学習内容

学習活動


○かさの大きさ比べをする。 

・直接比較や間接比較、任意単位で比較し、かさの大きさを比べる方法を考える。 










○どちらがどれだけ大きいかを考える。(直方体と立方体を比べる)
○体積の意味、体積の単位「cm3」を知る。

・体積も単位となる体積をもとに数値化できることを考える。
・体積の意味と単位「cm3」を理解する。

○直方体、立方体の体積を計算で求める方法を考える。

・体積の求め方を考える。
・直方体や立方体の求積公式の意味を理解する。

○体積の求積公式を適用する。
○直方体の高さと体積の関係を調べる。

・単位のちがう長さの体積を、求積公式を使って求める。
・直方体の高さと体積の関係を説明する。


本時

○複合図形の体積の求め方を考える。

・複合した立体の体積の求め方を考える。
・複合した立体を、2つの直方体の和や差ととらえる。








○体積の単位「m3」を知る。
○m3とcm3の単位の相互関係を調べる。
○1m3の大きさを感じとる。

・1m3の大きさを理解している。(知)
・m3とcm3の単位の相互関係を理解する。
・1m3の立方体の大きさを体感して、その量感を理解する。

○辺の長さが小数で表された直方体の体積を求める。

・辺の長さが小数で表された直方体の体積を求めることができ、理解する。








○入れものに入るかさを求める。
○内のり、容積の意味を知る。

・内のり、容積の意味や容積の求め方を理解する。

○水のかさの単位と体積の単位との関係を調べる。
○1Lのかさの入れものをつくる。

・体積の単位の相互関係を理解する。
・いろいろな1Lのかさの入れものをつくる。


10

○身の回りのものの体積や容積を調べる。

・身の回りのものの体積や容積を調べる。
・身の回りのものの縦、横、高さをはかり、公式を使って体積を求める。



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○学習内容の理解を深める。

・学習内容の定着を図る。

6.実践紹介

 

学習活動

指導上の留意点



1.複合した立体の体積を求めるという問題に出会う

①前時を振り返る。

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・「たて×横×高さ」「一辺×一辺×一辺」という式の意味を振り返った後に、複合立体に出会わせる。
・複合した立体でも、体積を求められることを辺の長さを順に提示することで意識づけるようにする。

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2.既習事項を用いて問題を解決していくことに気づく

①本時のめあてを確認する。

・直方体や立方体に帰着することで、問題を解決できることに気づかせる。



3.複合した立体の体積の求め方を考える

①見通しをもつ。

②自分で考える。

・何とかして直方体や立方体に変形できないかという観点から、解決の見通しを持たせるようにする。
・見通しに沿って、自分の考えを図や式を使ってノートにまとめる。

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4.図や式を用いて、考え方を発表し、本時の学習を振り返る

①発表しあう。

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②まとめる。

・発表ボードにかき込む図や式、色使いなどを工夫し、みんなにわかりやすく伝わるような説明の仕方を考えさせる。
・立体の体積を、直方体や立方体をもとにして、工夫して求めることができたことを振り返る。
・求め方はいろいろあるが、答えは全て同じであることを押さえる。



5.本時での学習事項を活かし、立体の体積を求める

①本時の学習を活かして、工夫して求めることができないか、考える。

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②電子黒板に、様々な立体を提示し、イメージ化を図ることにより、本時の学習を活かして求める方法を考える。

・表に問題、裏に答えをプリントしておき、1つの問題が解決できたら次の問題へ主体的に進むように、教室の前の机にプリントを順に配置しておく。

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・素早く解決するには、どんな方法が適しているかを考え、話し合わせるようにする。