小学校 算数

小学校 算数

10より おおきい かず(第1学年)
2012.12.25
小学校 算数 <No.009>
10より おおきい かず(第1学年)
福岡県 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「10より おおきい かず」

2.目 標

○10をまとまりにして数えるよさを知り、身の回りの事象の個数を進んでとらえようとする。
○ブロック操作から図表現への活動を通して、20までの数を「10といくつ」という数の見方ができる。
○20までの数の構成(合成・分解)について理解し、数をよんだり、かいたりすることができる。
○20までの数を数の線上に表す活動を通して、大小、順序、系列を理解するとともに、そのよさを感じることができる。

3.評価規準

「関心・意欲・態度」
・身のまわりのものを10のまとまりと端数で数えたり、数を用いて表したりしようとしている。

「数学的な考え方」
・20までの数を「10といくつ」という数の見方でとらえている。

「技能」
・20までの個数を正しく数えたり、数字で表したりすることができる。
・繰り上がりのない(2位数)+(1位数)や繰り下がりのない(2位数)-(1位数)の計算ができる。

「知識・理解」
・20までの数のよみ方、かき方、大小、順序、系列を理解している。

4.本単元の指導にあたって

①教材について
 本単元では、10までの数についての理解に基づいて、20までの数の概念を形成することをねらっている。そして、「10といくつ」といった加法的な構成を加味して、数範囲を100まで拡張するための橋渡しとしている。

②学習過程について
 本単元の指導は、数を10のまとまりと10に満たない端数がいくつととらえる活動を通して、十進位取り記数法の素地的な扱いを、具体物(場面事象・挿絵)→半具体物(ブロック)→数図(○図)→数詞・数字と段階を追って理解するようにしている。数の構成(合成・分解)においても、「10といくつ」の見方を定着させることに重きを置き、ブロックによる算数的活動を中心に行うようにする。また、数の線を使って、数の大小、順序及び数の大きさをとらえさせ、数の概念の理解を深めていく。

③児童の実態
 子どもたちは,これまで「10までの かず」の構成を、具体物(ブロック・おはじき・数え棒など)と数詞を対応させ、意欲的に学習してきている。特に、授業の中で算数的活動を取り入れ、ブロックやおはじきなどの半具体物を用いながら,数える体験を繰り返し積み上げてきた。また、数にかかわる活動を通して、ものの個数・相等・多少などについて理解を深めてきた。

5.単元の指導計画

学習活動及び内容

学習のねらい

子どもの活動と内容

評価規準の具体例

20までのものの個数を既習の操作を生かして10のまとまりをつくり、10といくつという見方で考えて、16や12などの数のよみ方がわかる。

○挿絵にブロックを1対1対応させて数を調べる。
○10のまとまりを線で囲んだりブロックを並べ替えたりする。
○16、12のよみ方を知り、数字をかく。

・身のまわりのものを10のまとまりを線囲みやブロックでつくって数えようとしている。【関】

前時の10といくつのブロック操作を生かして、20までのものの個数を順序よく並べ、端数が1つずつ増えることに気づき、その数のよみ方とかき方がわかる。

○前時を想起して挿絵にブロックを置いて10といくつで表す。 
○10といくつをブロックから○図に置き換えてノートに表す。
○10から20までの数を順番によみながら、数字をかく。

・20までの数をすべてブロックや○図に表し、10といくつという見方でとらえている。【考】


本時

2や5のまとまりの挿絵から、その個数を2ずつ、5ずつにまとめて数えることができて、正しくよんだり、かいたりできる。

○挿絵から10のまとまりをつくったり、生かしたりして数える。
○2や5のまとまりを使って、2とびや5とびで数える。
○20まで順序よく数えて数の線をつくり2や5とびでも数える。

・2ずつ、5ずつにまとめて数えることができ、「じゅういくつ」と表現することができる。【技】

前時までのブロック操作を想起して、「10といくつ」という見方で合成・分解ができる。

○数カードの数だけブロックを10といくつで並べる。
○数カードで10といくつの合成と分解を表し、ノートにかく。

・20までの数を、10のまとまりと端数に分け2数の和で理解している。【知】

20までの数カードや数の線を使って、順序よく並べたり数の線をかいたりし、系列の中の位置が分かる。

○数カードを小さい順に並べたり数の線をつくったりする。
○大小の順や2・5とびに並んだ数の間の数を数の線で考える。

・数の順序や数系列をもとに、抜けている数の見つけ方を数直線で考えている。【考】

20までの数カードの大小の判断を、ブロックや数の線に置き換えて大小の理由を説明することできる。

○数カードを使って、大小の判断をブロックを使って考える。
○数の大きさ比べのカードゲームをして、結果をノートにかく。

・端数の大小で比べる方法を、ブロックや数カードで考えている。【考】

ブロックや○図を使って数の構成に着目して、10といくつの加法や減法の計算の仕方を考える。

○加法や減法の計算の仕方を合成・分解のブロック操作で考える。
○ブロック操作・10と6で16の言葉・式の可逆的に活動する。

・数の合成・分解に着目して10といくつの加法や減法の計算を考えている。【考】

繰り上がりや繰り下がりののない(2位数)±(1位数)の計算ができる。

○場面を既習のブロック操作におきかえ、たし算とひき算の判断をして、式へとつないで計算する。

・(2位数)±(1位数)の計算の仕方を理解している。【知】

6.本時の学習(第3時/全8時)

①目標
○2や5のまとまりの挿絵から、その個数を2ずつ、5ずつにまとめて数えることができて、正しくよんだり、かいたりできる。
○数直線をかいたりよんだりして、数直線上の数の系列(大きい順と小さい順、1ずつ・2ずつ・5ずつ増える)がわかる。

②学習展開

【導 入】
1.既習の10のまとまりといくつを生かし、挿絵の具体物を数え、数字に表す。

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【資料1】導入の子どものノート

(1)10のまとまりのちがいを意識して数える。
 子ども達は、10のまとまりがない挿絵と10のまとまりができている挿絵を数え、○図に表した。
<数えて数字に表す活動の内容>…【資料1】
 10のまとまりがないときは、線で囲んで10のまとまりをつくって数え、○図に表した。
 10のまとまりができているときは、10と端数だけを数え、○図に10のまとまりをわかるようにして表した。
 10のまとまりがない事象とできている事象を比べ、数えるときの10のまとまりのよさについて話し合った。
<ペア・全体の話し合いでの子どもの反応>
 キャンディーは、10のまとまりをつくって数えた。でも、折り紙やクレヨンは、10のまとまりがあったので、ばらだけを数えればよかった。
 10のまとまりがあると、早く簡単に数えられた。(わかりやすい。見ただけでわかる。他)

【写真1】2ずつ・5ずつの挿絵の提示

【写真1】2ずつ・5ずつの挿絵の提示

(2)2ずつ・5ずつのまとまりの場面の挿絵を提示し、めあてをつくる。
 ケーキやおにぎりの2ずつのまとまりになっている挿絵と子どもやりんごの5ずつのまとまりになっている挿絵を提示した。そして、これまで数えた場面とのちがいを考えさせ、めあてをつくった。

めあて
2ずつや5ずつでかぞえて、10のまとまりといくつでかんがえよう。

【展 開】
2.2とびや5とびの数え方を知る。

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【写真2】2・5ずつで数え表した様子

(1)2とびや5とびの数え方を話し合い、挿絵の具体物を2とびや5とびで数える。
<数え方についての子どもの反応>
 ケーキは2こずつ入っていて、おにぎりは2こずつお皿にのっているから「2、4、6、8、10」で数えられる。
 子ども達は5人ずつ手をつないで、りんごは5こずつかごにのっているから「5、10、15」と数えられる。

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【資料2】2ずつ数えてノート

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【資料3】5ずつ数えたノート

 そこで、子ども達は、挿絵に「2、4、6、8、10」と数をかいて、10のまとまりをつくり○図に置き換えて表した。
 子どもの中には、「2、4、6、8、10」を繰り返す子どもが多かった。数名は、「2、4、6、8、10、12、16、18、20」と数える子どもも見られた。そこで、2ずつや5ずつで20まで数えるための【資料4】の挿絵を提示した。

(2)20までの数の線を使って、2ずつや5ずつで繰り返し数えて数の系列を考える。
 まず、ブロック等の動く具体物を使って、指で動かしながら2ずつ数える活動を行った。【写真3】
 次に、【資料4】の数の線の挿絵を提示し、□にあてはまる数字をかいた。2とびや5とびの数字に○で囲んだり、「2とび」や「2ずつ」の言葉を書き込んでいった。

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【写真3】数の線で数える様子

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【資料4】

【終 末】
3.2ずつや5ずつで数えられる場を教室の中で考えさせてまとめる。

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【写真4】2ずつや5ずつの事象を示す様子

 子ども達は、【写真4】のように、開示物を縦に2ずつや横に5ずつで見て数えることを発表できた。

まとめ
・2ずつや5ずつのまとまりをつかえば、わかりやすく、はやくかぞえられる。
・2とびや5とびのかぞえかたは、20までつづけてかぞえるとべんり。

6.実践のまとめ

 具体物(場面事象・挿絵)→半具体 物(ブロック)→数図(○図)→数詞・数字をつなぐ活動が、2とびや5とびの数え方や20までの系列を理解を深めた。
 子ども達の挿絵やブロック操作からの気づきを意識させるために、ペアや全体で自分の言葉で表現したことや各自がノートに書き込ませたことは、自分なりの納得した分かり方につながった。