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小学生時代に培うコミュニケーションの重要性
2009.02.20
生活&総合navi(生活・総合) <生活&総合教室 Vol.54>
小学生時代に培うコミュニケーションの重要性
い~め~る より
末木 佐知

生活&総合教室54

 わたしは昨年の4月から渋谷区恵比寿で私立の学童保育を始めました。公立の学童保育が6時までしかないのでそれ以降にも預かり,学童保育中に基礎学力をフォローアップする塾機能を備えたものです。そこで,重要視しているのが,必ず帰りは親御さんにお迎えにきていただき,家で一人でいる時間をつくらせないということです。

 小学生は練習すればお留守番はできます。しかし,学校の宿題をしても適当に「こなせばいい」状態。後は,お菓子を食べて,テレビを見たりDSをしたり・・・。一人で有意義な時間をすごしているようで,その時間になれてしまう恐ろしさは「人とのコミュニケーション」が不足してしまうということです。昔と今との『かぎっこ』の大きな違いは近所の目があるかないかです。一人の時間は実は楽です。それを知ってしまうと「ひきこもり」「キレる子」になりかねません。小学生にとって大切なことは,勉強よりも遊び,友だちとのかかわりをもつ時間です。それが現代社会ではなかなかもつことができなくなっているのが現状です。
 今,わたしの周りの子を見回しても毎日が習い事や塾でスケジュールはぎっしり。高学年になるとさらに中学受験に備えて勉強づけ。いつ,コミュニケーションを体感し人とかかわりをもつことができるのでしょうか?唯一学校がその役割を果たせる場所です。

 学力調査やゆとり教育の弊害で学力が落ちているということを世論的には懸念の傾向です。「ゆとり教育」を見直す方向ですが,総合的な学習のような,団体で行動し,何かをなし遂げる体験や考える力。それらは今の小学生にとって一番大切なことだと思うのです。
 学力をあげるためにDSを使用した英語の授業をしている学校がテレビで取り上げられていましたが,ゲーム感覚で確かに単語などは覚えてしまうと思います。しかし,英語こそコミュニケーションツールです。単語をたくさん知らなくても発音が悪くても人と話をしたい,コミュニケーションを取りたいと思えば,英語が話せなくても人はコミュニケーションが取れるのです。テストの点数,たくさん覚えることを重要視して,人間としての基本を忘れてしまってはいませんか?
 学力向上ではなく,人間力向上をめざせるような教育を,自信をもって進めていきたいと思います。

末木佐知

末木佐知

横浜市生まれ。ジャーナリスト。学童保育「こどもみらい塾」代表。
学習院女子短大卒業後,三菱商事に入社。
退社後に一流企業OL500人以上を取りまとめ,「丸の内OL研究所」設立。女性のネットワークを構築する。
自らも結婚・離婚・起業・高齢出産,未婚ママなどを経験し,認定子育てアドバイザーの資格取得。「小学校受験」ジャーナリストでは第一人者。子育てと仕事を両立しながら,子育てから女性問題まで幅広いジャンルで,講演・執筆活動を中心に,企画・情報発信などをしている。
2008年4月に渋谷区恵比寿に放課後の滞在型カリキュラムスクール「こどもみらい塾」をオープン。