小学校 生活

小学校 生活

「え顔 いっぱい 大作せん!」(第2学年)
2013.06.10
小学校 生活 <No.001>
「え顔 いっぱい 大作せん!」(第2学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名/時数・実施時期

え顔 いっぱい 大作せん!
全時間12時間+課外 12月~1月

2.単元のねらい

 本校は,大阪市の南東部に位置し,校区の北の端には,大阪中央卸売市場の一つである東部市場が存在し,周辺にはそれに関わる施設が立ち並んでいる。JR東部市場前駅やJR百済貨物駅があり,全国各地とつながっている。また,国道や市道が複雑に交差し,一日中交通量も多い地域である。校区の南側は,住宅地が多く,子どもたちの憩いの場となる緑地や児童公園も多く見られる。
 生活科の学習では,1学期は「レッツゴ―! 町たんけん」2学期には,「ドキドキわくわくフェスティバル」「人に優しい工夫がいっぱい 天王寺駅たんけん」など体験的な活動を行い,たくさんの人と関わってきた。このような活動を通して,子どもたちは,人と関わる心地よさに気付きつつある。
 本単元では,自分に一番身近な人,「家族」に焦点を当てる。家の仕事を体験することによって,家族の一員であることを自覚し,家族のために役立つ喜びと自信を体感させたいと考え取り組んだ。

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3.単元の目標

○生活への関心・意欲・態度
 家庭での生活について,興味・関心をもち,自分にできる役割をすすんで行い,規則正しく健康に気をつけて生活できるようにする。

○活動や体験についての思考・表現
 家族のことや自分でできることを考え,家庭や家族のことについて調べたことや体験したことをまとめたり表現したりできるようにする。

○身近な環境や自分自身への気付き
 家庭生活において自分のできる仕事を実践する中で,自分も家族の一員であることに気付くとともに,仕事に込められた家族の温かい思いやりに気付くことができるようにする。

4.活動の計画

事前準備
●家庭との連携を大切に
 この単元は,家庭での活動が大変重要になる。そこで,学習のねらいや学習内容を「学年便り」などを通じて,各家庭に知らせておくことが必要である。また,子どもが家庭でできる仕事を見つけ,継続して仕事を行う。その時には,ただ仕事をするだけでなく,仕事の手順を覚えたり,こつをつかんだりすることができるよう家庭での支援もお願いしておく。

●プライバシーに配慮した活動計画を…

日直スピーチ「さいころトーク」お題

日直スピーチ「さいころトーク」お題。

 絵日記や朝の会の日直スピーチから,家庭での子どもの様子を事前に把握しておく。また,家族構成や家庭生活の様子は,各家庭によって異なるので,各々の子どもの置かれている状況を十分に理解しておく必要がある。

5.単元の流れ

活動[時数]

対話に見る活動の様子(子どもの思考の流れ)

1 家で どんなことを して いるのかな?  
[2時間]
●家族と一緒にしたことを絵と文で表現し,伝え合う。
●家の仕事やその仕事をしている人を考え,表にまとめる。
●挑戦したい家の仕事を考える。

『家で,家族の人とどんなことをしているのかな?』
 「お兄ちゃんとボール投げをするよ。」
 「妹の面倒をみたよ。」
 「お母さんと料理をつくったよ。」
 「みんなでお鍋を食べたよ。」
『一番紹介したいことをカードに書こう。』
 「どれにしようかな?」
 「弟と遊んだことにしよう。」
 「お手伝いしたことにしよう。」

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『カードに書いたことを友だちに伝えよう。』
 「家でパンをつくったよ。おいしかったよ。」
 「お父さんとキャッチボールをしました。楽しかったです。」
『友だちの発表を聞いて,どう思いましたか?』
 「○○さんは,包丁が使えるんだ。すごいな。」
 「私も,やってみたいな。」
『家の仕事には,どんな仕事があるかな?』
 「料理,洗濯,買い物,掃除,風呂洗い…。」
『誰がどんな仕事をしているか調べてみよう。』
 「お母さんの仕事がとても多いよ。」

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『このままでいいのかな?』
 「自分にできそうなものもあるよ。」
『どの仕事ができそうかな? 考えてみよう。』
 「洗濯たたみなら,ぼくにもできるかな。」
 「食器も洗ってみたいな。」
 「お風呂洗いも楽しそう。」

2 家の しごとに チャレンジ!  
[課外 2週間]
●仕事の手順やこつを見つける。

『家の仕事にチャレンジしよう。』
 「一人でできるようになったよ。」 
 「家の人に,ほめられたよ。」
 「友だちにも見せたいな。」

3 しごと名人 大作せん!  
[3時間]
●チャレンジした仕事を紹介する方法を考える。
●同じ仕事をチャレンジした友だちと交流する。

『友だちに紹介する方法を考えよう』
 「服をたたむところを見てもらおう。」
 「順番を言って,見ている人にたたんでもらうのもいいね。」
 「こつはカードに書いておこう。」

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『同じ仕事の仲間で集まって,紹介する練習をしよう。』
 「同じ洗濯たたみでも,○○さんとたたむ方法がちがうよ。」
 「○○さんのこつは,分かりやすいな。」 

4 名人わざを しょうかいし合おう  
[2時間]
●チャレンジした仕事を紹介する。

『名人技を紹介しよう。』
 「○○さんは,お米をひと粒もこぼさなかったよ。丁寧だな。」
 「○○さんのたたみ方は,洋服屋さんみたいに速い。」
 「○○さんの食器洗いは,キュッキュッと音が鳴ったよ。」

5 「ありがとう」を とどけよう  
[1時間]
●家族へ感謝の手紙を書く。

『家の人に感謝の手紙を書こう。』
 「いつも,ありがとう。」
 「これからは,自分のできることは自分でするよ。」

6.評価について

①気付きを価値付け,意欲や自信につなぐ

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 小さい妹の面倒をみて,泣かさないように起こす。こぼさないように口に入れる。という気付きに,指導者が「面倒をみるためのこつがたくさんあるね」と価値付けることによって,大きな意欲や自信につなげる。

②新たな課題発見につなぐ

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 野菜を切るお手伝いで,お母さんの言う通りに切れて,活動の結果に満足している子どもに,「次は,いろいろな形に切れるようにがんばってね。」とコメントする。そうすることによって,どんな切り方があるのかな? 次は,違う切り方にチャレンジしようという新たな課題につなげる。

③活動の活性化につなぐ
 解決法が分からず,困っている子どもには,具体的な方法をいくつか示して選択させたり,グループの友だちと協同的な学びを促したりして,活動の活性化につなげる。
例)絵にかく,文字で書く,やって見せる,どれが分かりやすいかな?
  他の方法がないか,グループで話し合ってみよう。

7.教師の手立て

●学習カードでつなぐ

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 体験的な活動のやりっぱなしではなく,感動や共感,発見,気付きなどを自分の言葉で書けるように,その日の活動に応じて,学習カードを用意した。学習カードに書くことによって,伝えたい「人・もの・こと」を整理することにつながる。書いた学習カードは,教室に掲示し,学級全体で友だちの気付きや思いを共有することにした。どのように書けばよいか分からない子どもへのヒントにもなった。また,指導者も子どもの気付きや思いを把握し,次時への支援の手立てとして活用することができた。

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 今回使用した学習カードでは,「○○さんのすごいところは」という枠を設けることによって,互いのよさを認め合える場となった。カードに登場した子どもは,次時への意欲が高まり,今度は自分が友だちのよさを見つけようとする姿が見られた。このように,学習カードに自分の思いや友だちのよさを書くことにより,活動そのものを豊かに進展させ,深化へと導いた。さらに,相手との心をつなぐことにもなった。

●板書でつなぐ

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 家の仕事の名人技について紹介し合う場面では,仕事ぶりが3つの視点(ていねい,きれい,はやい)で分類することができた。仕事内容は違っても,どれも家族を思う気持ちが込められており,「家族のために」「家族が喜ぶように」という言葉でまとめることができた。