形 forme
(図画工作・美術)

形 forme
(図画工作・美術)

図工で感じた「ものに興味を持つ」ことの大切さ
2010.06.01
形 forme(図画工作・美術) <No.292>
図工で感じた「ものに興味を持つ」ことの大切さ
巻頭のことば より
料理創作ユニット Goma 遠藤順子

形forme No.292表紙

 小さい頃から絵を描いたり物をつくったりすることが好きでした。好きな科目だけ力を注いで、嫌いな科目は放っておくタイプだったので、図工や美術は熱心に取り組んでいた記憶があります。今思うと好きだった理由には図工や美術の先生が全般的に面白い人が多かったこともあったかもしれません。これは、「好き」と「キライ」がはっきりしてる子どもにとっては結構重要で、図工に限らず、好きな先生がいる科目というのは何だか成績もよかった気がします(笑)。その中でも印象に残っている先生の授業は、教科書を使わず、まず「素材」を見せ、それで好きなものをつくらせるといったものでした。本来なら先に見せるはずの教科書は後に見せるのです。私たちはまず自由に素材に触れ、作品に取り組み、それから教科書の中の世界に入る。ちょっとした順番のちがいですが、それだけで教科書の中の作品がぐっと自分の世界と近くなり、教科書を読むことが楽しくなった。興味を持つスタートは、自らとの接点を感じることから始まるのかもしれません。
 「興味を持つこと・実感すること」が重要だということは、仕事をしていてもよく感じます。例えば子どもたちとのものづくりワークショップ。工作でも料理でも、子どもたちは実際に素材に触れて、感じて、つくることでその作品に対して興味がどんどん湧くし、何より自分がつくったものに対してとても愛着が湧くようです。ある日の食のワークショップ時、「僕これキライだから食べないよ」と言ってた子が試食の時に「キライ」なものを笑顔で食べてたのを見た時は「自分の手でつくる」ことの大事さを改めて教えられました。体験することで、自分の価値観(好きキライ)さえ変えてしまうようなパワーがあるってことですから!
 「食」とものづくりの仕事をしていて思うのは、きっかけづくりをしたいということ。私たちの活動を通して、食への興味、つくることへの興味を持ってもらえたらとても嬉しい。図工の授業で感じた「ものへの興味を持つ」スタートを、自分たちの活動の中で生まれさせることができるようになったら素晴らしいなと思うのです。

プロフィール
 1998年にアラキミカ、遠藤順子、中村亮子の3人で結成した料理創作ユニット。日常の楽しいことや嬉しいことを「食」というテーマで表現し、様々な形にして製造中。現在の活動としては、料理、雑貨デザイン・製作を単行本や雑誌などの媒体で発表する他、近年で美術館などでのものづくりワークショップにも力を入れている。
 2002年からは、フランスでフードや雑貨の展覧会を開催したりと海外での活動も視野に入れたり、2006年にはNHK教育テレビで食育番組のコーナーを持つなど、活動の幅を広げている。近著に「Gomaのてづくり歳時記」(講談社刊)。
料理創作ユニット Goma|ゴマWebサイトico_link