社会科FAX情報
(小学校 社会)

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(小学校 社会)

地図指導のために ほか
2009.04.01
社会科FAX情報(小学校 社会) <No.74>
地図指導のために ほか

桜前線北上の季節となりました。先生方にはご健勝で新年度を迎えられたことと存じます。本年度は,新教育課程への移行の年です。何かとご苦労の多い年かと思いますが,本紙面で,少しでも先生方のお手伝いをさせていただきたいと思っております
FAX情報74号をお届けいたします。学習指導のお役に立てば幸いです。

■地図指導のために

3学年では,学校付近を探検させながら地図指導を行う授業が始まります。弊社の教師用指導書にも地図指導のヒント等が掲載されておりますが,指導書とは異なった角度からのヒントを提供させていただきます。

●街の案内図をチェックする
 地図のいちばんの役割は,未知の場所への道案内です。しかし,街のあちこちに表示してある案内用の地図は必ずしもわかりやすいとは限りません。どうなっていればわかりやすいでしょうか。街角のマップウォッチングをして,わかりやすい案内図とわかりにくい案内図の差がどこにあるかを考えてみましょう。地図の向き,目印となるものの表示のしかたの違い,あるいは,文字の大きさや色の使い方の違い,ということもあるかもしれません。
子どもたちに自宅と学校のあいだの地図を描かせるようなときには,マップウォッチングで得たヒントを示すと,思いがけずわかりやすい地図を描いてくれるかもしれません。

●地図の向き
 地図は北を上に描く,という約束があります。しかし,どんな場合でもそうしなければいけないということはありません。
持ち歩く地図なら,カーナビゲーションの画面のように,進行方向と地図上の道路の向きが一致するように向きを変えればすみますが,案内板はそうはいきません。災害時の避難場所を示す地図を街角で見かけることがありますが,自治体によっては,地図をどこに置くかをあらかじめ考え,その位置を基準にして,つくられているものもあります。地図が置かれている道路と,地図上の道路が平行に描かれているので,自分がどちら方向に進んだらいいかが,容易にわかります。
子どもに道案内の地図を描かせるような場合は,スタート地点を地図の下,目的地を上にしたほうが,描きやすいし,それを持って歩く人にとってもわかりやすいものです。

●省略の度合い
 地図の大きな特徴は,縮小されていることです。従って,どうしても実際のようすを省略して描くことになります。この省略が過ぎると,実際と違いすぎて,道案内用にはなりませんし,詳しすぎると,煩雑となってわかりにくくなってしまいます。
目印さえはっきりしていれば,かなり省略しても,現地との照合はしやすいものです。ほどほどに,ということでしょうか。
(参考:田代博・星野朗『地図のことがわかる事典』日本実業出版社)

■ドングリを食べてみよう

6学年で,狩猟・採集の時代=縄文時代をあつかうことになりました。
少々古い本ですが,『朝日ジュニアブック やってみよう 社会科の自由研究』(1990年)に,ドングリの食べ方が掲載されています。通常の授業では無理でしょうが,書名通りに自由研究として,あるいは総合的な学習の中で取り上げることができると思いますので,この本により,ドングリを食べるためのおおまかな手順を紹介します。
なお,インターネットで「どんぐり クッキー」をキーワードとして検索しますと,写真入りのレシピがいくつも見られますので,手順の詳細はそちらを御覧になるとよろしいかと思います。

●ドングリとは
 ドングリというのはナラ,ブナ,クヌギ,カシなどの実の総称です。クリやクルミと違って,私たちがふだんドングリを食べることはほとんどありません。アクとよばれる毒が含まれており,アクを取り除かなければ食べられないからです。このアク抜きのために,日本では昔から「水さらし」「加熱」という方法がとられてきました。

●ドングリを食べられるようにする手順

  1. 乾燥する:ドングリをたくさん拾い集め,ザルや紙の箱に入れて,天日で1か月ほど干します。
  2. 外皮を取る:石皿と石槌に使えそうな自然の石を探します。石皿の上にドングリをのせて石の槌でたたき,皮を取ります。
  3. 荒くくだく:外皮が取れた実をあらくくだき,木綿の布袋に入れます。
  4. 水でさらす(アク抜き):ドングリを入れた布袋を,水を入れたバケツにひたします。少したつと,水がアクのために黄色から茶色に染まります。バケツに入れる水道の水を細く出したままにするか,何度もこまめに水をかえてアクを抜きます。2~3日して,水がきれいになったら,袋から実を取り出します。
  5. 乾燥する:ザルに実をあけ,日当たりのよいところで,約1週間干します。
  6. 製粉する:もし石うすがあればひきかたを教わってやってみましょう。石うすがなければ,すり鉢に少しずつ入れて,すりこぎで押しつぶしてから,すります。
  7. 粉をこね,丸める:ボウルに粉をとり,水を少しずつ入れて耳たぶぐらいのやわらかさにこねます。それを小さいだんごにし,さらに,火の通りをよくするために手のひらでつぶして,厚めのせんべいの形にします。
  8. 蒸す:湯気のたった蒸し器に,だんごを数個ずつ並べて入れます。10分もすると,甘く香ばしいにおいがしてきます。30分弱で,食べられるようになります。