高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

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(高等学校 美術/工芸)

「尖底深鉢 押型文(せんていふかばち おしがたもん)土器」
2012.03.01
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.033>
「尖底深鉢 押型文(せんていふかばち おしがたもん)土器」
「工芸Ⅰ」P.2掲載 長岡市立科学博物館蔵 長岡市馬高(うまたか)縄文館展示

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出土地:卯ノ木(うのき)遺跡(新潟県中魚沼郡津南町)/時期:縄文時代早期(約9,000年前)/高さ:23cm

 今から約12,000年前に始まる縄文時代には、日本列島の各地でさまざまな土器がつくられました。土器は粘土をこねて容器の形をつくり、それを焼いて水に溶けないように化学変化させたもので、この発明により縄文人たちは生活技術を大きく発展させます。
 縄文時代早期の中ごろになると、棒に楕円形や山形などの意匠を彫り込み、器面に回転させて押し付けた押型文土器が東日本の各地で流行しました。この種の土器は、長野県を中心とする中部高地方面の影響を受けたもので、新潟県内では、特に信濃川上流域や上越地方の妙高山麓(さんろく)周辺で発見されています。
 信濃川上流域に位置する卯ノ木遺跡からは、山形と楕円形の二つのパターンの文様を、交互に施した深鉢が出土しました。縄文時代早期に特有な尖(とが)り底につくられています。おそらく炉の中に埋めこんで煮炊きに使ったものでしょう。この時期の土器には、完全な形に復元できるものがきわめて少ないこともあって、この尖底深鉢は押型文土器文化を代表する貴重な資料となっています。

(長岡市立科学博物館学芸係長/馬高縄文館館長 小熊博史)

■長岡市馬高縄文館ico_link

  • 所在地 新潟県長岡市関原町1丁目3060-1
  • TEL 0258-46-0601
  • 休館日 毎週月曜日(休日の場合はその翌日)および12/28~1/4

<展覧会情報>

  • 企画展「縄文土器の変遷」
  • 2011年11月19日(土)~2012年3月20日(火・祝)まで

展覧会概要
国指定重要文化財の小瀬ヶ沢(こせがさわ)洞窟、室谷(むろや)洞窟遺跡出土品ほか、縄文時代につくられたさまざまな土器の優品などを、長岡市立科学博物館考古部門の所蔵資料を時期別に紹介します。今回紹介した「尖底深鉢 押型文土器」も、この期間に限って展示・公開中です。

<次回展覧会予定>

  • 企画展「縄文石器の変遷」
  • 2012年4月14日(土)~7月8日(日)(予定)

その他、詳細は長岡市馬高縄文館Webサイトico_linkでご覧ください。