高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝
2012.06.01
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.037特別号 教科書の作品に出会える展覧会>
マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝
●「笑う少年」 フランス・ハルス作  現行「高校美術1」オリエンテーション(P.05)掲載 マウリッツハイス美術館蔵 ●「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」 ヨハネス・フェルメール作  現行「高校美術1」表紙掲載 マウリッツハイス美術館蔵

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「笑う少年」 油彩/板/直径(最大)30.4cm/1625頃

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「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」 油彩/キャンヴァス/44.5×39cm/1665頃

 17世紀オランダは、「黄金時代」と呼ばれるほど多くの優れた画家を生み出しました。フランス・ハルスとフェルメールは、まさにこの時代に活躍した画家です。
 ハルスの「笑う少年」は、屈託のない笑顔が描かれた魅力的な作品です。素早い筆遣いで描かれたくしゃくしゃの髪や、勢いよく描かれた白い襟など、表情に合わせた生き生きとした描写が全体にあふれています。ハルスは肖像画を得意とし、同時代の人々からも高い評価を受けました。
 フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」は、振り返ってこちらを向く少女の一瞬の表情が捉えられています。高価なウルトラマリンで描かれた青いターバンは、当時の少女が普段から身につけていたものではないことから、本作品が肖像画のように特定の人物に似せて描かれたものではないことがわかります。少女の耳には、鈍く輝く非常に大きな真珠が飾られています。この作品が描かれた頃、真珠が大流行していました。本物なのか、ガラスにニスを塗った模造品なのか、画家が創造力を駆使して描いたのかは定かではありません。また、作品の左上にフェルメールの署名が見えますでしょうか。あまりにも有名な作品ですが、デジタルの画面や印刷した紙面では見えにくい部分もあります。色彩や筆跡なども本物でぜひ確認してみてください。
 オランダのデルフトで活躍したフェルメールの作品は、現在では世界中で30数点しかありません。穏やかな光の入る室内の女性を描いた静かな作品がよく知られ、特に日本では絶大な人気を誇る画家です。「真珠の耳飾りの少女」はフェルメールの作品の中でも、世界で最も有名な1点と言えるでしょう。

(東京都美術館事業係学芸員 大橋菜都子)

<展覧会情報>

  • マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝
  • 2012年6月30日(土)~9月17日(月・祝)
    巡回:神戸市立博物館 2012年9月29日(土)~2013年1月6日(日)
  • 休室日:月曜日(ただし7月2・16日、9月17日は開室。7月17日は休室)

展覧会概要

  • 本展では、17世紀のオランダやフランドル絵画の世界的コレクションで知られるオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館から、フェルメールやレンブラントなど、西洋絵画の巨匠たちの名品約50点を紹介します。

■東京都美術館ico_link

  • 所在地 東京都台東区上野公園8-36
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)

<同時期開催の展覧会>

  • 「Arts&Life:生きるための家」展
  • 「東京都美術館ものがたり」展
  • 2012年7月15日(日)~9月30日(日)

その他、詳細は東京都美術館Webサイトico_linkでご覧ください。