高等学校 美術/工芸
高等学校 美術/工芸

1.題材名
未来を描くプログラム「EGAKU」
2.学年
1学年
3.時間数
4時間
※1回4時間のプログラムを、異なるテーマで3回実施する。
4.領域・分野
A表現 (1)絵画・彫刻 ア(ア)(イ) イ(ア)(イ)
B鑑賞 ア(ア)
5.題材設定の理由
本題材は一般社団法人ELABの提供するプログラムである(*1)。自身の内面と向き合い個々の感じ方や考え方を活かしつつ、制作や鑑賞の活動を行い、自己認知や自己肯定へとつなげることを目的としている。また、互いの作品鑑賞を通し多様な価値観を知り、コミュニケーションの基盤となる他者理解を目指している。令和2年度から令和3年度にかけて部活動の生徒がプログラムに複数回参加し、その後の変化や成長の様子から、多くの生徒に体験してもらいたいと考え、令和4年度より授業に導入することとした。
6.準備(材料・用具)
7.目標
- テーマをもとに自己を見つめ、感じたことや考えたことを基に、形体や色彩、構成などについて考え、創造的な表現を行おうとしている。
- 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深めている。
- 自己の内面を探り、テーマから感じ取ったことや考えたことなどを基に表現の創造活動に主体的に取り組むことができる。
- 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組むことができる。
8.評価規準
プログラムの特性上、作品自体の評価は行わない。
発 テーマをもとに自己を見つめ、感じたことや考えたことを基に、形体や色彩、構成などについて考え、創造的な表現を行っている。
鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深めている。
態表 自己の内面を探り、テーマから感じ取ったことや考えたことなどを基に表現の創造活動に主体的に取り組もうとしている。
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。
10.題材の指導計画
1回4時間のプログラムで、テーマをもとにした「創作ワーク」で自己との対話、「鑑賞ワーク」で他者との対話を行い、「自己認知・自己肯定」「他者理解」「主体性」「創造的コミュニケーション力」を高める。本校では3回のプログラムと全体の振り返りの計14時間を実施している。
時 |
主な学習活動 |
【評価の観点】 |
評価規準 |
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知・技 |
思 |
態 |
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1 |
1 前回の振り返り(25分) |
態鑑 |
態鑑 プログラム①の活動を振り返り、自身について気付いた事・感じた事、他者について気付いた事・感じた事、その気づきを今後どう活かすかについて考えた事を自分なりに言語化しようとする。(活動の様子、ワークシート記述) |
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2 制作ワーク(40分) |
発 |
態表 |
技 目的や意図に応じて画材の特性や効果を生かすとともに、表現方法を創意工夫し、主題を追求して創造的に表わしている。(活動の様子、ワークシート記述) |
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3 自分の作品の画像化(10分) |
態鑑 |
態鑑 主体的に作品を鑑賞して、造形要素の働きや全体のイメージ、作風などを理解している。作者の表現について考え、見方や感じ方を深める鑑賞の創造活動に取り組もうとしている。(活動の様子、ワークシート記述) |
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5 片づけ(5分) |
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3 |
6 鑑賞ワーク(10分) |
態鑑 |
態鑑 主体的に作品を鑑賞してテーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(活動の様子、ワークシート記述) |
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7 グループ鑑賞(10分) |
態鑑 |
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(活動の様子、ふせん記述) |
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8 グループ対話鑑賞(35分) |
態鑑 |
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(発言) |
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9 全体での共有(10分) |
態鑑 |
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(発言) |
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10 振り返り(25分) |
態鑑 |
態鑑 プログラム②の活動を振り返り、自身について気付いた事・感じた事、他者について気付いた事・感じた事、その気づきを今後どう活かすかについて考えた事を自分なりに言語化しようとする。(活動の様子、ワークシート記述) |
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11 ワークシートの回収、片づけ(10分) |
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(授業外:題材の終了後) |
鑑 |
鑑 (ワークシート:再確認) |
11.授業を終えて
生徒の振り返りからは、言語化できるようになったことで自身の考えや思いを表現する力が伸びたことや、日常生活においても学びを生かそうとする様子が読み取れる。現段階では美術Ⅰ選択者のみの実施であるが、ゆくゆくは1学年全体での実施を推進していきたい。
「自分の発表する力や言語化能力が高くなり、美術の時間だけでなく日常生活でも自分の成長を感じたことができた。」「気持ちを伝えることが苦手だったが、対話を通して言語化力が身についた。」「今までは作品の完成度やうまさにこだわりすぎていたけど、EGAKUの授業を通して作品に込めた思いが伝わることが一番大事だと思いました。」「今まではただ『すごい』『きれい、上手だ』という感想しか持たなかったことが、『この作品にはどのような空間が広がっているのか』や『作者は何を描きたかったのか』など様々な観点から考えるようになった。」「鑑賞が面白いと思えるようになった。」「誰かに伝わりやすいように言葉を選んで、わかりやすくまとめられる力が付いたかなと思います。日々の会話の中でそれを活かしていきたいなと思います。」「決めつけをせずに鑑賞することで柔軟な視点を持つことができたので、物事を多様な視点から考えることに活かしていきたいと思った。」「相手とは考えていることが違うことがほとんどなので、そういう意見を受け止められるようにしたいと思ったし、自分の想いが伝わるように言葉や絵で表現したいと思った。」(生徒の振り返りより)
*1:一般社団法人ELAB公式ホームページ
福島県立葵高等学校 今期で3年目となる美術の授業での「未来を描くプログラム」を実施(2024.12.05)
https://elab.jp/topics/2024-12-05.html