小学校 算数
小学校 算数
※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
1.単元名
ひきざん
2.本時の位置づけ
第2時/9時間
3.本時のねらい
本時では,「15-8」の計算の仕方を考えるため既習事項を想起し,まず表現方法について(絵・図・言葉・数・式・記号などから1つ,あるいは2つ以上を組み合わせて)選択し,その後,解決方法(15から1こずつ数えて8ひく→数えびき,15から5ひいてさらに3をひく→減々法,15を10と5に分けて10から8をひいて2にし,2と5をたす→減加法 など)の見通しを持ちながら自力解決した。
表現方法,解決方法(解決の過程)ともに多様な考えが出てくることが予想される。そこで,表現方法は違うが解決の過程が同じであるものを関連づけたり,それぞれの方法についてネーミングしたりすることにより,一つ一つの考えを尊重しながら整理するとともに,次時につながる方法について話し合えるような展開にしたいと考えた。そのために,本時を1時間のところ2時間扱いとし,第1時で自力解決まで,第2時(本時)で話し合い活動から始め,互いの考えについて深め合えるようにした。
4.本時の評価規準
- 繰り下がりのある減法の計算の仕方を,被減数を10といくつの数として考え,図・式などを使って表現している。
- 繰り下がりのある減法の計算の仕方を理解している。
5.指導計画・評価規準(全9時間 本時2/9)
時 |
学習活動・内容 |
評価規準 |
---|---|---|
1 |
○(十何)-(1位数)で繰り下がる場合の計算の仕方を考える。(減加法,減々法) |
・繰り下がりのある減法の計算の仕方を,被減数を10といくつの数として考え,図・式などを使って表現している。【考】 |
3 |
○減加法に適した減法の計算をする。(例 12-7) |
・減加法による繰り下がりのある減法の計算ができる。【技】 |
4 |
○減々法に適した減法の計算をする。(例 13-4) |
・減々法による繰り下がりのある減法の計算ができる。【技】 |
5 |
○どちらの方法にも適した減法の計算をする。(例 15-7) |
・被減数,減数の大きさを判断し,自分に合った方法で減法の計算を考えている。【考】 |
6 |
○減法の場面でのお話づくりをする。 |
・身の回りから,式に合う場面を見つけ,お話づくりに取り組もうとしている。【関】 |
7 |
○ひき算カードを並べ,きまりを見つける。 |
・ひき算カードの並び方や被減数・減数の変化の仕方から,式を関連づけてみることができる。【考】 |
9 |
○学習内容についての理解を確かなものにする。 |
6.実践紹介
(1)日々継続して行った指導
①問題解決の各段階においての働きかけ
1.見通しをもつ(方法の見通し,結果の見通し)
・これまでの学習のどれが使えるかを考えるよう声かけする。(ノートを見直す,今まで学習した内容や表現方法,解決方法などを思い出す)
・必要であれば,みんなで思い出したり,ヒントを出したりする。
2.自力解決する
・可能な限り,自力解決の時間を確保する。
・机間指導で子どもの解決方法をできるだけ早く読み取る。
・なかなか考えが思い浮ばない子どもには,半具体物やブロックを操作したり,絵や図などをかいて考えたりするよう指導する。
3.考えについて話し合う
・ききかた・はなしかたの約束に沿って進める。(表)
・必要に応じて,身近な友だちと解決方法についてペア交流することで,互いの考えを理解できるようにする。
・自力解決やペア交流の時に,指導者もそれぞれの子どもの解決方法を素早く読み取り,クラス全体での話し合いでの構成(発表の順序 など)を考える手立てとする。
・全体の話し合いでは,友だちの考えを他の子が発表したり2人で一緒に発表したりすることで,それぞれの考えを理解できるようにする。
・互いに,「自分の考えや友だちの考えと違っているところ,似ているところ」「自分や友だちの考えでよいと思ったところ」などの視点をもって交流できるようにする。
4.振り返る
・授業の最後には,「今日の学習でわかったこと」「自分や友だちのがんばりについて」「つぎに学習したいこと」などの観点を示すことで,振り返りが書けるようにする。
・自分や友だちのがんばりにふれている発言や,次の学習に生かせるような発言などは大いに認め,クラスで紹介するなどして価値づけていく。
②ノート指導
1.いつも同じ場所に同じ内容をかく。(見開き2ページ)
・日付 タイトル
・問題 →
・見通し →
・めあて →
・自分の考え
・友だちの考え
・まとめ →
・練習問題orふり返り →
2.式や答えだけでなく,言葉や図を用いて,できるだけわかりやすく表現する。
<子どものノート(繰り上がりのあるたし算の第1時⇒第3時)>
(第1時)
(第3時)
(2)授業の展開(全9時間 本時2/9)※下記は,第1時~第2時の展開を掲載しています。
学習活動 |
評価・支援(◆) |
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<第1時>~前時の流れ~ |
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1.前時の学習を振り返る。 |
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T.前の学習ではどんなことをしましたか? |
◆前時の学習を振り返ることで,繰り上がりのあるたし算では,10のかたまりをつくることで解決できたことを思い出せるようにする。 |
2.本時の課題を知り,見通しを持つ。 |
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T.今日は,こんな問題なんだけど,わかるかな? |
◆キーワード(15こ,8こ,あげました,のこっていますか)に着目することで,ひき算の問題であることがわかり,立式できるようにする。 ◆立式後,どのようにして計算のしかたを考えればよいかわかるよう,結果の見通し・方法の見通しそれぞれについてふれる。方法の見通しについては,前単元「たしざん」で10のかたまりにするよさを思い出したり,どのような表現方法が使えるか確認したりすることで,スムーズに自力解決できるようにする。 |
どんぐりを15こひろいました。 |
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T.まずは,どんな式になるかわかる? T.では,式を言ってくれる? |
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☆15-8のけいさんのしかたをかんがえよう。 |
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T.どんな表し方があったかな? |
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3.自力解決をする。 |
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<減加法> ②式で 15を10と5にわける ③さくらんぼ図とことばで <減々法> ⑤式で 8を5と3にわける ⑥さくらんぼ図とことばで |
【数学的な考え方】(ノート) ◆解決方法がわからない子には,まずどの表現方法で考えるのかを選択するよう助言する。(取り組みやすい方法としては,まずブロック操作から)操作したことを,ノートにかくよう声かけする。 ◆机間指導で,それぞれの解決方法を把握し,話し合い活動の構成(発表の順序,発表の仕方など)を考える。 |
<第2時(本時)> |
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4.出てきた考えについて話し合う。 |
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①ブロック図を提示して, T.では,考え方は同じだけど,表し方の違う人いるかな? T.他の表し方で考えた人いる? ~このような流れで話し合いを進める…~ T.じゃあ,自分はちょっと違う考えだと思う人いるかな? T.みんなの考えは,ブロック図・式・言葉・さくらんぼ図など色々な表し方で説明してくれたけど,わける方法はいくつあったかな? |
【数学的な考え方】(発言・態度) ◆なかなか説明できない子どもには,「ブロック操作をする」「友だちと2人で協力して説明する」など,発表の仕方を工夫することで,多くの子どもが活躍できるようにする。 <聞き手> ◆「きくときのやくそく」を確認し,聞く態度・雰囲気づくりをする。 ◆それぞれの考えについて,聞いている子どもが理解できているか,途中で確認しながら話し合いを進める。 |
5.練習問題 13-8 をする。←試す・活用する(時間があれば…) |
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T.色々な考え方,表し方が出てきたけれど,じゃあ,この問題なら,みんなはどの方法でするかな?できそう? |
◆ただ,答えを出すのではなく,話し合いで出てきた考えの中でどれを使うとやりやすいか考えながら解決できるようにする。 |
6.本時の学習を振り返る。 |
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T.今日は,15-8というひき算の計算の仕方について,みんなで考えて,それぞれの考えについて話し合いましたが,今日の学習を振り返って,わかったこと,自分や友だちの考えについて思ったことをかきましょう。 |
◆振り返りの観点を明確にする。 |
【15-8の板書例】
【15-8のノート例】