小学校 図画工作
小学校 図画工作

提示型デジタル教材『みる美術』を使って
※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
1.基礎データ
題材・単元名 |
「見て、感じて、話して」~西洋の絵、日本の絵、比べて~ |
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時間数 |
2時間 |
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題材・単元の |
国内外の美術作品を対話をとおして鑑賞し、主に日本の美術史や歴史の流れ、日本に住む人々のものの捉え方、感じ方に思いを馳せる授業。 |
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授業環境 |
活動環境 |
教室 |
人数 |
教師1名 児童30名 |
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教材や用具 |
教師:みる美術、ノートパソコン、液晶プロジェクタ、スクリーン、ワークシート、児童の絵画作品、マンガやアニメのポスター |
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コンピュータ |
使用デジタル教材 |
提示型デジタル教材『みる美術』 |
OSバージョン |
Windows 7 |
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その他 |
自作ワークシート |
2.活用事例及び展開
①ねらい
国内外の歴史的に重要と考えられている美術作品を対話をとおして鑑賞し、西洋と日本の美術作品を比較しながら、主に日本の美術史や歴史の流れ、日本に住む人々のものの捉え方、感じ方について考え、思いを馳せようとする。
②『みる美術』利用の意図
『みる美術』は日本及び西洋の重要と考えられる美術作品を多く収録し、選択、比較がソフトウェアとして実装されており、容易に使用することができる。
また、比較的高精細な画像データのため、拡大しても鑑賞に堪えうるデータを収録している。
③評価について
美術への関心・意欲・態度
・作品のおもしろさに気づき、気づいたことを言葉で表そうとする
発想や構想の能力
・作品に描かれているものや色や形、友だちの発言から、見つけたり、組みあせたりして、自分なりにおもしろさを感じ取ろうとする。
・作品を比較することで、描かれていたものや描き方の違い、作者の意図などに思いを巡らせようとする。
鑑賞の能力
・作品や友だちの発言から、西洋と日本の作品の相違点を見出し、自分なりに味わおうとする。
④指導計画(総時数:2時間 本時)
学習活動の流れ |
指導上の留意点,評価方法 |
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・西洋と国内の作品を鑑賞し、似ている点、異なる点に気づき、おもしろさに気づく。 |
・楽しく、自由に話せる雰囲気をつくる。 |
※次年度の社会の歴史学習へ連携させる。
3.本時の展開
①目 標
国内外の歴史的に重要と考えられている美術作品を対話をとおして鑑賞し、西洋と日本の美術作品を比較しながら、主に日本の美術史や歴史の流れ、日本に住む人々のものの捉え方、感じ方について考え、思いを馳せようとする。
②『みる美術』を活用した授業の展開
学習活動の流れ |
指導上の留意点、評価方法 |
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導 |
1.めあてを聞き、本時の概要を知る。 |
◇あたたかで自由に話し合える雰囲気作りをしておく。 |
今日の図工で、どんなことをできたらすてきだと思いますか? |
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展 |
2.西洋の作品を鑑賞する。 |
◇アルチンボルドの作品をはじめに見せ、どのようなもので絵が描かれているのか、見ること、発言することに興味が持てるような雰囲気をつくる。 |
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展 |
3.国内の作品を鑑賞する。 |
◇西洋の作品描き方なども想起させながら、輪郭線を使った日本の描き方と塊を面でとらえて描く西洋の描き方の違いに気づくようにさせる。 |
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ま |
4.ふりかえりをする。 |
◇ワークシートを使って、今日気づいたこと、よかったこと、がんばれたこと、うれしかったことなど肯定的内容を言語化していく。 |
【ワークシート】

③指導のポイント
・アルチンボルドや国芳の作品をはじめに観せることで、より楽しんで鑑賞をしていこうとする雰囲気づくりをした。
・『みる美術』西洋美術編と日本美術編を同時に起動させ、必要に応じて行き来し、比較させる。
・自由に気楽に話せる雰囲気をつくり、子どもたちの気づきをつないでいくことに留意する。
・今年度秋に描いた児童の絵画作品、子どもたちの好きな有名なマンガやアニメのポスターを用意することで、自分たちの描き方、自分たちの好きな現在のマンガやアニメの描き方をもとに、名画をより比較しやすくした。
④感想等
『みる美術』は名画と言われる作品を中心に高精細の良質の鑑賞が簡単におこなうことができる。拡大や縮小が容易にできるため、見せたい部分を拡大して見せることができたことはおおきなメリットだった。
西洋編では、子どもたちにとって見たことのある作品、立体感をより感じられる作品、日本編で選択する作品に通じるテーマの作品を選んだ。子どもたちは「見たことあるー!」「きれい!」「本物みたい!」と感想を口にしていった。
続いて日本美術編は、国芳の作品などアルチンボルドの作風に近いものから見せていき、こちらも子どもたちが見たことのありそうな作品を見せていった。
ある程度作品一つ一つを見ていってから、「前見た外国の作品と同じところはあるかな?そして違うところあるかな?」と問いかけをした。すると、似たところには「(人、景色など)同じモチーフが描かれている」というものが多かった。
一方、違いの方では、西洋編で示したもののすべてがヨーロッパのものであるということを伝えた。すると、ヨーロッパと日本、同じ人物や風景、動植物であっても、描かれ方が違うという話を一部の子たちがし始めていった。すると別な子が「(日本の作品の描かれ方は)マンガみたい…」とつぶやいた。するとほかの幾人かの子たちも、その子の気づきに賛同していった。
そこで、教師が「なんでマンガと似ていると思えるのだろう?」と問いかけ直しをしていった。すると子どもたちは輪郭線に気づいていった。
特に今回は、西洋美術編と日本美術編の2つを同時に起動させ、比較しながら鑑賞を進めた。子どもたちが意識することなく使っていた輪郭線は、西洋ではほとんど見られないことに気づき、また日本の絵画の歴史の上に、自分たちの好きなマンガやアニメ、そして自分たちの表現があることにも子どもたち自身の対話の中から気づくことができ、話が展開する実践となった。