5.具体的授業内容 |
(1)「Word基礎」
その年に入学してきた生徒のスキルを見るのと,ワードプロセッサで何ができるのか基本的なことを取り扱います。この中で公文書の書式やワードアート・クリップアートも取り扱います。
入力に関してはほぼ全員がローマ字入力可能な状態でしたが,クラスで数名ブラインドタッチができている反面,1本指でキーを探しながら入力している生徒もおり,スキルはかなりバラバラであると言ってよいでしょう。授業中の「早打ち」練習は行ないませんが,ゲーム感覚でできるフリーソフトをインストールしており,授業前などにできるようにしています。
またWindowsやWordの基礎として入力したデータを保存するためのフォルダも作成させ,「名前を付けて保存」や「上書き保存」をさせます。なお,フォルダは個人用としては個々の機器(D:ドライブ)に,課題提出用としてはネットワークドライブにおき,デスクトップ上にショートカットを作成させています。
(2)「インターネット実習」
アンケートの結果,中学校時代にパソコンの授業はあったがインターネットで遊んでいただけという生徒が少なからずいました。したがって接続方法とマナーを中心に授業を行ないます。
検索エンジンのYahooなどから目的の事柄を検索することはそれなりにできているので,実践的な例として,他の学校までの交通機関や所要時間や場所を調べる方法を説明しました。これにより本校生徒は部活動で他の学校に行くことがよくあるので,教師に目的校への行き方を尋ねることなく自分たちで行くことができるようになったはずです。
(3)「メール実習」
大阪府立高校では基本的にSKY社のSkyMenuを管理運営用ソフトとしてインストールしており,その中にあるWebMailを使用しています。使い勝手はあまりよくありませんが現在固定プロファイルなので,使用PCが変わってもメールを見ることができるようにOutlookExpressは使用せずにこちらを使用しています。
この回では電子メールの受信・送信・返信について学習しました。生徒達は携帯電話のメールは日常から使用してかなり慣れてはいますが,現状のままで社会に出た場合,会社等で得意先にメールを送るとなると,かなり先方に失礼な思いをさせてしまうであろうから,その送信方法などを説明します。
この実習以降毎回その回の授業で学習する内容を事前にメールで送信しておくので,生徒はメールを見るだけでその日の授業を自学自習することも可能になっています。この方法を用いることにより,授業に欠席した生徒でも後日授業時間に関係なく,図書館などでも前回の授業で何を行なったかを知ることができます。また,そのメールを自宅のPCなどに転送して家庭学習を行なうことも可能です。
この方法は大阪府情報教育研究会での発表の中であり,非常に有効であると思われたので早速取り入れさせていただきました。
なお,生徒には正しいメールの返信ができるようになるまで何度でも返信練習をやり直させ,それができて初めてメールの外部発信を可能にしました。
(4)「Word 演習1」
本校では毎年4月下旬から5月上旬にかけて遠足があります。ここ数年は神戸市の阪急仁川自然植物園でバーベキューを実施しており,そのイメージを持っている状態で『翌年の新入生が同じようなことをするとして,生徒対象のチラシをA4サイズで作成せよ。目的地は同じでもいいし,変えてもよい。日程も自分で考えなさい。ただし予算は2000円で学年費から拠出する。』という課題を与えました。この演習1ではあえて「何を入れなさい」という指示は出さず,とりあえずやってみよとしました。
(5)「相互評価1」
Word演習1で作成したクラス内の課題をすべて閲覧し,評価シート(Excelでテンプレートを作成してある)にそれぞれ10点満点の採点とコメントを記載させます。
このテンプレートはメールの添付ファイルで送付します。なお添付ファイルとしてもう一つHello.htmというファイルを添付しています。添付ファイルを扱ったことの生徒は勝手にこれを開いたりしますが,このHello.htmはこちらで作成した擬似コンピュータウィルスです。

▲Hello.htm
ここで電子メールの添付ファイルの開き方と保存方法を学習しますが,それ以前に添付ファイルがあった場合,容易に開けたりせずに,開く前に誰から送られてきたか,拡張子はどうなっているかなど,どのようなことに注意を払うべきかということも指導します。
さらにここではWindowsでは最大のメリットであるマルチスクリーンの使い方も学習し,フォルダ,作品,評価シートの3画面を同時に表示させ,作業を効率化する方法も学習します。
(6)「Word 演習2」
ここで初めて教師から「このチラシを作成する際,何が必要なのか」と助言を行ないます。これに加えて「相互評価1」で生徒が入力したもののコメント部分のみを集めて印刷したものも返却して,それらも参考にして修正をさせます。また,メールの送信方法でCCやBCCの違いもトピックとして学習しました。
(7)「Excel 基礎」
Excelで小遣い帳を作成させます。ここでは計算式・合計・平均・グラフ作成のみを指導します。
(8)「相互評価2」
「相互評価1」で入力させた得点は,やたらと同じ得点(高得点が多かった)が並んでいたりしていますので,差をつけさせることを指導します。そのためにどれかに基準をおいて,それに対しての優劣をつけてはどうかなどを助言しました。
またコメントに関しても「よかった」とか「普通」などがよくありましたので,「何がどうである」というように主語と述語で文章を作りなさい,と指導しました。特に「普通」など個人によって価値観の異なるような抽象的な記述のコメントに対しては「どんな基準をもってそうなのか明確にしなさい」と助言しました。
(9)「コンピュータグラフィックス演習」
1.事前に用意しておいた校章の線画に4種類の色塗りをさせてペイントに慣れさせます。
2.各自オリジナルのロゴを作成します。自分のクラブのマークを作成した生徒が多かったように思いました。
3.GIFアニメーションを作ります。このときに保存形式の違いや拡張子のことも学習します。
まず1で作成したBITMAP形式をGIF形式に変換させます。次にフリーソフトを用いてアニメーションを作成させます。それができた者はさらに独自のアニメーションを作成させました。
このあたりで個人フォルダは様々なデータでいっぱいになってきているので,サブフォルダを作成してフォルダ内のデータ整理をさせます。
それぞれの課題の演習量ですが,「授業中ではややしんどいかな」というレベルに設定しています。授業中に完成しなかった生徒に対し,早朝・昼休み・放課後にLAN教室を開放しており,多い時には100名近い生徒が来て順番待ちになったりしています。
1学期の授業は以上ですが,授業でやったことと関連して,「画像の保存形式についてレポートせよ。特にBMP,JPG,GIF形式 についてはその違いを述べること」という課題を夏休みの宿題にしました。 |
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