ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.32 > p30〜p31

プロジェクト学習へのアプローチ
プレゼンテーション指導のツボ─1
伝えたいことは何ですか
─テーマの決定と要点の洗い出し─
この実習で利用するサンプルデータ(MicrosoftExcelファイル)は,こちらからダウンロードしてください。
『プロジェクト学習へのアプローチ』とは
 情報を,調べて・まとめて・伝える。小学校,中学校の学習で,さまざまな情報教育に関する指導が行われるようになりました。高等学校で,教科「情報」を学ぶ段階までに,生徒たちの多くは相応のコンピュータ操作スキルやインターネットの利用方法を習得してくるようになりました。従って,小学校から中学校を経て高等学校へ至る情報教育の展開では,その段階に応じて情報活用能力を活かした,より主体的でアグレッシブな学習活動が求められているといえるでしょう。
 その答えのひとつとして,実習の形態をプロジェクト学習による取り組みにする方法があります。「プロジェクト学習というと,指導が難しそうで,時間もかかるのでは」この種の課題を解決すべく,毎回ひとつのポイントに絞ってプロジェクト学習の一場面で使えるような指導方法と展開例をご紹介したいと思います。
プレゼンテーションの指導のツボ
 今回のシリーズでは,5回にわたってプレゼンテーションの指導について考えてみたいと思います。プレゼンテーションの指導は,一般的には何かのプロジェクトの発表や報告の際に実施されることが多いでしょう。プレゼンテーションだけを切り離して指導している例は少数といえます。そのため,ややもすると「発表さえこなせばよい」というイメージになってしまいがちです。しかし,プレゼンテーション指導の目的は,単に発表させるだけではなく,プレゼンテーションを通じて「伝える力」を育てることです。では,どのような展開でプレゼンテーションの指導を行えばよいのでしょうか。そこで,プレゼンテーション指導の中でポイントになると考えられる場面をご紹介していきます。そして,その場面で活用できるワークシートを提案してます。
指導のポイント
 さて,第1回目は,どんなプレゼンテーションを実施するのかを考える段階についてのポイントです。何をプレゼンテーションで伝えるのか,テーマを決めたらそれに即した具体的な項目をリストアップしていく必要があります。プレゼンテーション指導の導入の部分にあたります。ここで,方向を誤ってしまうと,何とかプレゼンテーションは実施できても,良い学びが得られません。取り組みの第一歩として,プレゼンテーション全体のイメージを確認させるようにしましょう。グループで実施する場合には,特にこの作業が重要です。あてもなく調査研究を始めたり,「何とかなるだろう」と安易に台本を書き始めてから調査研究の活動が追随したりというような状況もありがちですが,こんな方法はお勧めできません。これは,時間を省略できるようで,実は途中で行き詰まることによるロスタイムが必ず発生するからです。
 イメージを確認することのさらなる重要性は,できあがりのイメージとそのために必要な素材とを確認できるということです。どんな項目を盛り込んだ発表になるのか,そのために必要な素材は何なのかを明らかにすることができるのです。これをもって,全体のスケジュールを作ったり,役割を分担したりする際に,必要なデータとすることもできます。
ワークシート「イメージツリー」
活用場面
 プレゼンテーションのテーマが決定して,内容を考え始めるとき

使用方法
  プレゼンテーションを行う個人またはグループごとにワークシートを渡して,紙の真ん中に,まずテーマ を記入する。テーマから順に連想される項目,思いついた項目を自由に書き込ませる。コンピュータが使 用できる環境であれば,図形とテキストを書き込めるソフトウェアを利用して,データ入力していくことも可 能である。

ワークシート活用の留意点
1.自由な発想を促すようにする。
あまり例示を挙げすぎると似通った項目が出過ぎてしまう場合があるので,例示する場合は最小限にとどめるようにする。また,ワークシートに書いたことすべてをプレゼンテーションに盛り込むわけではないということを理解させておき,とりあえずは思いつくことをできるだけたくさん自由に書かせる。


2.ある程度の時間を確保する。
発想するためにはそれ相応の時間は必要である。授業時間内で難しい場合は,期限を決めて課題にしても良い。持ち帰らせて,友人や家族に手伝ってもらって書かせるという方法も考えられる。ある程度の数の項目が記入できることが最重要なので,そのために適切な時間を与えるよう配慮する。


3.できあがりを分析する。
できあがったイメージツリーを見て,いろい
ろな分析を試みるようにさせる。例えば,資
料集めが必要な項目だけ印をつけてみる,な
ど。

できあがったイメージツリーを使って,次のステップはプレゼンテーションの構成を考えてみましょう。

—第二回へつづく—





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