ICT・Educationバックナンバー
ICT・EducationNo.35 > p30〜31

プロジェクト学習へのアプローチ
プレゼンテーション指導のツボ─4
準備は完璧ですか
─リハーサルでの確認事項─
指導のポイント
 このシリーズでは,5回にわたってプレゼンテーションの指導について考えています。第3回までで,プレゼンテーションの台本が完成しています(ICT・Education No.32〜34に掲載されています。バックナンバーは,日文ネット
http://nichibun.net)でもご覧頂けます)。ここまでで完成させた台本は単なる読み原稿ではなく,経過時間や効果なども記入された進行台本になっているはずです。そして,このような台本があれば,プレゼンテーション本番に向けて,新たに何かを作成すという作業は一応完了しているはずです。
 そこで,今回の第4回目は,本番を迎える前に行うリハーサルについて考えてみたいと思います。リハーサルというと,一般によく「時間があれば事前に実施しておくモノ」という程度のとらえ方をされがちですが,プレゼンテーションの指導においては,決して軽く扱って良いモノではありません。効果的なリハーサルができれば,プレゼンテーションは半ば成功したのも同然です。逆にリハーサル無しで本番を迎えれば,せっかく時間をかけて準備したプレゼンテーションが思い通りに実施できないというケースも考えられます。ちょっとしたミスで全体が台無しになり,努力が水の泡と帰すこともありえます。リハーサルの善し悪しがそのままプレゼンテーションのできに直結していると言っても過言ではありません。可能であればリハーサルとブラッシュアップを繰り返して行うことで,プレゼンテーションの完成度を高めることができます。
リハーサルのめあて
 プレゼンテーションの準備が一応完了し,リハーサルを実施する際に,何のためにリハーサルを行うのかを明確にすることは大変重要です。なぜならば,リハーサルを行う必然性を感じないまま実施しても,十分な効果が期待できないからです。リハーサルのめあては場面や条件によって異なりますが,例えば,以下のようなことを確認することが考えられます。
・読み原稿に問題がないか
・構成に問題がないか
・機材に問題がないか
・声や音やスライドなどのタイミング
・発表者とスタッフの動き
・伝えたいことが理解してもらえそうかどうか
・資料などの準備は万全か
・準備として追加すべきことはないか
 総じて,実際に価値あるプレゼンテーションとして実施できるか総合的に確認するというのが,多くの場合リハーサルの大きなめあてといえるでしょう。単に「本番での緊張を抑制するため」と考えることは,具体的なあめてとはいえません。何をチェックして,ブラッシュアップすべき点が具体的に何かを明確にすることが重要です。
リハーサルに必要なもの
 理想的環境は,本番と同じ状態です。しかし,実際には,リハーサルの際に本番とまったく同じ場所で,同じ機材で,同じ時間で,と,まったく同じ条件で実施できることは稀です。しかし,そのような場合でも,本番を想定していかにリアルに実施するかを工夫しましょう。
 例えば,発表する立ち位置までの移動や礼などの動作確認,スタートの合図やスライドのタイミング調整などは,必ず行う必要があるでしょう。また,計時は必須です。思った通りの経過時間にならない場合は,修正が必要となるからです。
ワークシート「リハーサル内容の確認」
活用場面
 リハーサル実施前。

使用方法
 リハーサルでチェックを行う個人またはグループごとにワークシートを渡す。

ワークシート活用の留意点
1.「内容の選択」
プレゼンテーションを実施するメンバー同士で行う場合は,話し合いながら一枚にまとめるとよい。評価者とプレゼンテーション実施者が異なる場合は,記入後に実施者にあらかじめ内容を示しておくようにする。また,実施者がリハーサルでチェックしてほしいと思う項目も確認して盛り込むようにする。

2.「チェックの分担化」
複数でリハーサルを見てチェックを行う場合は,誰がどの部分のチェックを行うのか,分担をあらかじめ決めて,それを記入しておいても良い。

▲ リハーサル内容の確認
ワークシート「リハーサルチェックシート」
活用場面
 リハーサル実施中に記入,終了後,ブラッシュアップに活用。

使用方法
 記入済みのリハーサルの内容確認ワークシートともにリハーサルでチェックを行う個人またはグループごとにワークシートを渡す。リハーサルは,とりあえずプレゼンテーション全体を通しで行い,時間に余裕があれば気になる部分をやり直す。

ワークシート活用の留意点
1.「ランニングタイムの記録」
計時する係を決めて,プレゼンテーションのポイントになる部分でランニングタイムを記録していくようにする。

1.「問題点の記入」
問題のありそうなところ,修正が必要なところを書き出して,どのように改善したらよいか提案も右の欄に記入する。ただし,本番までのスケジュールも考慮して,時間的に修正が可能であるかは配慮して記入する。その場で修正できそうな点は,部分的にリハーサルをやり直して確認しても良い。

▲ リハーサルチェックシート
さて,いよいよ本番です。次回最終回ではプレゼンテーションの実施と評価について考えてみましょう。
—第5回へつづく—

※ワークシートのデータは,Microsoft Wordで作成したものです。
 ここからダウンロードしてください。(checksheet.doc/35.0KB)
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