高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
2014.03.03
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.055特別号>
森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
①「マリリン・モンロー」アンディ・ウォーホル作
「高校美術1」P.33掲載 「Art and You 創造の世界へ」P.57掲載
②「キャンベル・スープI 」アンディ・ウォーホル作
「Art and You 創造の世界へ」P.57掲載
①「マリリン・モンロー(マリリン)」

①「マリリン・モンロー(マリリン)」 紙にスクリーンプリント/91.4×91.4 cm /1967 アンディ・ウォーホル美術館蔵
© 2014 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York Marilyn Monroe™; Rights of Publicity and Persona Rights: The Estate of Marilyn Monroe, LLC marilynmonroe.com

 アンディ・ウォーホルは、1920年代のアメリカに生まれ、消費社会と大衆文化の時代を背景に活躍した20世紀後半を代表する作家の一人です。1950年代に商業デザイナー/イラストレーターとして成功を収めた彼は、1960年頃からアーティスト活動を開始しました。おりしもアメリカは大衆文化花盛りの時代です。ウォーホルは大量生産や大量消費される商品やタレントなどのイメージを作品として制作し、ポップ・アートの旗手として頭角を表していきます。
 ここで紹介する「マリリン・モンロー(マリリン)」や「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」は彼の代表作と言われる作品です。スクリーンプリント(シルクスクリーン)の技法を用いて量産されたこれらの作品は、世界中のさまざまな美術館に所蔵されており、大量消費者社会におけるイメージの反復を象徴的に表現しています。マリリン・モンローの作品は、彼女の死に触発されて制作されたと言われており、版が同じで、色の違うバージョンが多く存在します。また、キャンベル・スープをモチーフとして選んだきっかけは、自分が毎日食べるものだからとのことです。この展覧会にはこの二点と同様に、イメージの反復を用いた作品が数多く展示されています。そこからはウォーホルの一貫したテーマが感じ取れるでしょう。

②「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」

②「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」 紙にスクリーンプリント/88.9×58.7 cm/1968アンディ・ウォーホル美術館蔵
© 2014 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York

 ウォーホルはニューヨークの東47丁目231番地にあったスタジオ(通称ファクトリー)で作品制作を行っていました。そこは当時のニューヨークアンダーグラウンド・カルチャーのサロンでもあり、ミュージシャンやモデル、アーティストなど、さまざまな人間が出入りしていたことが知られています。そのファクトリーの内装の一部を美術館の中に再現しているのも、今回の展示の特徴です。また、ウォーホルは坂本龍一のポートレイトなど、日本人をモチーフとした作品をいくつか手掛けています。そういった作品から当時の文化的な交流を感じ取ることができるのも、この展覧会の魅力の一つと言えるでしょう。

※今回紹介する作品は厳密には教科書掲載作品と同じものではありませんが、シルクスクリーンで大量生産された同じシリーズの作品です。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • 森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
  • 2014年2月1日(土)~5月6日(火)

展覧会概要

  • 初期から晩年までのウォーホルの作品と資料を包括的に紹介する、日本では過去最大級の回顧展です。作品と資料をあわせて約700点を展示、作家の主要シリーズをほぼ網羅しつつ、日本初公開の作品も多数展示しています。

森美術館ico_link

  • 所在地 東京都港区六本木6−10−1 六本木ヒルズ森タワー 53F
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 会期中は無休

<次回展覧会予定>

  • 「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」
  • 2014年5月31日(土)~8月31日(日)

その他、詳細は森美術館ico_linkでご覧ください。