高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)
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関連作品「サグラダ・ファミリア聖堂」アントニ・ガウディ作「Art and You 創造の世界へ」P.92-93掲載
「〈井上雄彦 最後の漫画展〉ポスター原画」井上雄彦作「Art and You 創造の世界へ」P.73掲載
スペイン出身の建築家アントニ・ガウディ(1852-1926)の設計資料や手掛けた建築物と、漫画家井上雄彦(1967-)がガウディの生涯をテーマに描き出した漫画や絵画作品が同時に展示されるコラボレーション展です。井上は在スペイン日本大使館より「2013-2014日本スペイン交流400周年」の親善大使に任命されており、この展覧会はそのプロジェクトの一環でもあります。
ガウディについては、学生時代の製図やスケッチなどから、建築家として名を成してからの代表作にまつわる資料や、現存する建築の写真などが紹介されています。自然の摂理に則ることに腐心したガウディの建築は、曲線や曲面を用いた生物的な形状が特徴です。代表作サグラダ・ファミリア聖堂の設計において、ガウディは紐と錘を用いて作成したフニクラ(逆さ吊り模型)を基に有機的な大型模型を作成し、工事を進めていました。サグラダ・ファミリア聖堂の着工は1882年。ガウディ没後の現在もなお、工事が進められており、かつては完成に300年かかると言われていました。しかし、現在ではスペインの経済成長や建築技術の進歩により、2026年の完成がアナウンスされています。
ガウディは設計図を役所に届ける必要最小限のみしか描かなかったと言われています。さらに、そういった数少ない設計図や大型模型の大半が、ガウディの死後に勃発したスペイン内戦で焼失するという憂き目にあってしまいました。現在のサグラダ・ファミリア聖堂の工事は、職人による伝承や、残されているおおまかな外観のデッサンなどを頼りに、ガウディの設計を推測しながら行っているのです。
ガウディは後半生をサグラダ・ファミリア聖堂の作業に専念しましたが、そんな彼の生涯を3章に分けて、それぞれについて井上が自身の感性に基づいた漫画作品を制作しています。また、いくつかの時代におけるガウディの肖像画や、世界最大級の手漉き和紙に描いた墨絵などが展示されています。これらは、井上がスペインのバルセロナに滞在し、ガウディの建築作品で世界遺産にも登録されているカサ・ミラ内にアトリエをかまえて制作した作品です。
(編集部)
<展覧会情報>
- 特別展 ガウディ×井上雄彦 -シンクロする創造の源泉-
- 2014年7月12日(土)~9月7日(日)
- 展覧会公式ホームページ
展覧会概要
- 建築家ガウディのスケッチや図面、建築作品の大型模型などの資料約100点を紹介。加えて、漫画家井上雄彦がガウディの生涯を描いた漫画や、ガウディの肖像画、大型作品を含む約40点の絵画作品も合わせて展示します。
■森アーツセンターギャラリー
- 所在地 東京都港区六本木6-10-1
- TEL 03-6406-6855
- 休館日 会期中無休
<次回展覧会予定>
- 私のマーガレット展
- 2014年9月20日(土)~10月19日(日)
その他、詳細は森アーツセンターギャラリーWebサイトでご覧ください。