学び!と美術
学び!と美術

図工力(※1)を発揮して活動している(と編集部が感じた)企業などを訪問し、働く方々のお話を聞きながら、図画工作や美術を学ぶ意義を捉え直すシリーズの第4回目。
和歌山にあるテーマパーク「アドベンチャーワールド」では約120種、約1600頭の動物が暮らしており、動物と触れ合えるツアーやアトラクションなど多彩な楽しみ方を提案しています。
そんなアドベンチャーワールドで8年前からスタートし、毎年行われているイベント「ドリームデイ・アット・ザ・ズーinアドベンチャーワールド」の運営に関わっていらっしゃるお二人にお話を聞きました。
◎お話を聞いた図工な人々
相田 拓道さん (株式会社アワーズ(アドベンチャーワールド)経営企画室企画営業課)岡崎 菜々子さん (株式会社アワーズ(アドベンチャーワールド)経営企画室広報課兼SDGs地域連携課)
18歳以下の障がいのある方とそのご家族1200組を無料で招待し、周囲の目を気にせず思い切り楽しめる特別な一日を提供しています。2025年は11月5日に開催。
原体験から始まる学び
――「ドリームデイ・アット・ザ・ズーinアドベンチャーワールド(以下、ドリームデイ)」はなぜ始めたのですか?
私たちも幼少期そうだったように、誰かから教えられて…というよりも、自分が体験したことを通して「自分はこれが好き」っていう興味関心を見付け、世界にはいろんなことがあるんだなって知っていくと思うんです。
けれど、
――なるほど…。「動物がいる」ことで、ゲストの皆さまにどんな影響が感じられますか?
動物もいろんな種類がいて、
☞ 「原体験」から学びが始まる。
☞ 多種多様な動物と出会い、「違う命」に触れることを実感する。
エデュテインメント(エンターテインメント×エデュケーション)の力
パークであれば、パフォーマンスやBGM、イベントなどさまざまな方法で、まず最高のエンターテインメントを届けるんです。勉強しなさいよ、課題を提出しなさいよ、というんじゃなくて、
そんなとき、高校生の探求学習のプロジェクトがあって、それをサポートするスタッフに参加したんです。そうしたら、
☞ エデュテイナーの役割は、自ら学びたくなるような雰囲気を醸しだすこと
☞ 「分からないから教える」ではなく、「一緒に考え始める」
心で繋がり、自分で見付けたことが「正解」
――ドリームデイの取り組みを通して、未来の社会がどんな形になってほしいと願いますか?特に、子どもたちに願うことがあれば教えてください。
個人の思い込みや価値観はそれまでの経験が影響していると思うのですが、「自分の当たり前は誰かの当たり前ではない」ということを忘れないでほしいなと思います。
そうじゃないと、たとえば「障がいのある人には優しくしてくださいね」って言われたら、それを正解と思って受け止めちゃうんですよ。
ネットで調べればそれっぽい正解がすぐ見付かるけど、
障がいのことだけじゃなく、自分が好きなスポーツでも、恋愛においても、
…と、自分の息子にはいつも伝えています。
☞ 「正解」がすでに用意されている時代だからこそ、異なる他者と心と心で繋がり、「自分の正解」を見付ける。
- とにかく気が楽。多動や癇癪、パニックなどもお互い様精神のため心穏やかに対応できる。
- 同じ立場の方が多くいらっしゃり、親子ともに気を遣いすぎることなく楽しめる。
- 普段障がい児育児に孤独を感じることが多いのですが、他のご家族の姿を見て、自分だけではない、明日からも育児頑張ろうと思うことができたので(他の方にもドリームデイを)お薦めしたいです。
- 人がたくさん集まる場所や、初めての場所が苦手で大きい声で叫んでしまうため普段は参加を諦めていたのですが、今回は挑戦することができ嬉しかったです。家族みんなで思い出をつくることができました。
あの空間には障がいのあるファミリーしかいないので、寝転がって泣いちゃったり、癇癪を起こしたりしても、周りに「ごめんなさいね」みたいなことを言わなくていいし、刺すような視線もとんでこない。それがないってだけで、ぜんぜん違うんです。
私には障がいがある子どもがいます。昔は、子どもを連れて街に行くときは、人の多い場所を避けて外出したり、急に癇癪などを起こしたらどうしようと常に考えて行動していました。映画であろうがバーゲン会場であろうが、楽しさは半減、いや、ほぼゼロになります。やっと到着した瞬間に癇癪を起こしたときは、もうその場で帰っちゃうこともたくさんありました。
★日本文教出版は、「ドリームデイ・アット・ザ・ズー2025inアドベンチャーワールド」にAdventureパートナーとして協賛しています。
※1:本シリーズでの図工力とは、図画工作や美術など造形活動を通して培われる「自ら考える力 決める力 やり抜く力」「多様な他者と協働する力」「よりよい未来を創造する力」です。図工力は「もの」をつくるときだけに発揮されるのではなく、社会の潤滑油となって楽しさや希望をつくりだせる原動力になるものだと信じています。そんな図工力を備えた人がいて、図工マインドが垣間見える活動をしている企業(組織)をここでは「図工な企業」と呼びます。






