学び!と社会

学び!と社会

【新連載スタート!】授業のスキル 1 観察・調査の指導
2018.11.26
学び!と社会 <Vol.01>
【新連載スタート!】授業のスキル 1 観察・調査の指導
日本文教出版 編集部

1.調査の意義

 社会科における調査とは、問題解決的な学習において、学習問題を追究・解決し、社会的事象に関する基礎的・基本的な知識や概念を習得するために必要な、見たり聞いたり体験したりして調べるための技能のことです。各学年段階に応じて系統的に育てなければならない技能であり、思考力・判断力・表現力を養う上でも必要な能力であるといえます。

2.調査への興味・関心を育成

 子どもたちが意欲をもって調査に臨むためには、まず、子どもたちにとって身近なことからスタートして、調査する内容に興味をもたせることが大切です。
 3年生の冒頭、「わたしたちの住んでいるところ」という大単元は、まず、自分たちが住んでいるまちを調べる単元があり、次に、自分たちの市(区)町村を学習する単元が続きます。この大単元こそ、子どもたちにとって社会科との出合いになります。
 今回の学習指導要領の改訂で、従前のように授業時間を割くことはできなくなりますが、地図をつくる・地図を読むといった、最も社会科らしい学習が展開できます。

 3年生に進級したばかりの子どもたちは、自分の知っていることには高い関心を示します。そこで、学校のまわりで知っていることを発表し合うことは有効な活動となります。しかし、見えないことは分からない、見えるけれどよく知らないなどの疑問が生まれてきます。こうした疑問を、教師が子どもたちから上手に引き出し、観点をもたせて調査活動につなげていくのです。

 また、子どもたちに興味・関心をもたせる方法としては、初めからまとめの段階の作品づくりを具体的に示すことが考えられます。例えば、「わたしたちの学校のまわりは、どうなっているか調べて、3年○組マップを作ろう。」などはどうでしょうか。

3.インタビューによる質問や調査の方法

 4年生の「県の人々のくらし」という単元を例にします。ここでは、自然環境、伝統や文化などの地域の資源を保護・活用している地域を取り上げます。

 まず教室で、写真をはじめ、その他の資料を活用して、その地域に観光客が集まる様子や、伝統・文化について学習し、「地域の人々は特色を生かしてどのようなくらしをしているのだろうか。」という学習問題を立てます。そして、学習問題の答えを予想し、学習計画を立てます。学習計画は、調査する内容と調査する方法の2点で構成します。

 調査する内容としては、地域の人々はどのようなことをしているのか、大変なことや嬉しいことは何かなどが考えられます。これらを調査する方法としては、副読本を活用したり、資料を取り寄せたり、インターネットで調べたりすれば分かるものと、実際にインタビューしなければ分からないものとに分類します。

 「インタビューのしかた」は、教科書にある「学び方・調べ方コーナー」を参考にするとよいでしょう。「こんにちは。○○小学校の○年生です。今、~について調べています。質問したいことがあるのですが、今聞いてもよいですか。」というように、話し方をカードに書いて配付し、教室で練習してから出かけるとよいと思います。その際に、相手の方には事前に指導者が日時、内容等について連絡をとっておくこと、事後にお礼を言うことも、当然ですが大切なことです。

 また、電話のかけ方も指導する必要があります。電話は相手の方が見えない分、難しさがあります。しかし、インタビューの仕方が身に付いていれば大丈夫です。具体的に話すことを文章化したカードなどを用意し、教室で実際に電話をかけるつもりで事前に練習しておくとよいと思います。ここでも、指導者の事前のお願いは必要です。

 最後に、インタビューのほか、必要な資料の探し方についてふれます。資料調査というと、つい、インターネットに頼りがちになることがあるかもしれません。しかし、学年が上がってくると、学校図書館や地域の図書館の活用も、必要な資料収集の技能になります。図書館のレファレンス機能やコンピューター検索を活用すること、分類番号を頼りに探すこと、地域資料室を活用することなどは、是非とも子どもたちに身に付けさせたい能力です。