使ってみよう!ずがこうさくの教科書

使ってみよう!ずがこうさくの教科書

題材ページの仕組みが分かると、図工の授業が見えてくる!
2018.12.03
使ってみよう!ずがこうさくの教科書 <第1回>
題材ページの仕組みが分かると、図工の授業が見えてくる!
その1:題材ページ全体の見方を知ろう
山田 芳明(やまだ・よしあき)

題材ページの見方、知っていますか?
教科書の題材を授業で実施している、教科書の題材をもとに年間指導計画を立てている、という先生は多いと思います。ところで、教科書をどのように見て、情報を読み取り、活用しているでしょうか? 題材ページの仕組みをもっとよく知ると、題材のポイントがはっきりと分かり、授業のイメージをしっかりともって、子どもたちと授業に挑めるようになります。
第1回は、教科書の「題材ページ全体の見方」を探っていきましょう。

題材ページのレイアウトを知り、授業の流れを捉えよう

 これは、教科書3・4上「カラフルフレンド」(*1)の題材ページです。教科書は、基本的に「一つの題材につき、1見開き」です(一部、例外もあります)。また、見開きの左上から右下へ向かって、「導入→展開→振り返り」のおおよその授業の流れに沿うように構成されています。(*2)

 左上から順に見ていきましょう。まず「題材名」と、「子どもたちを活動へといざなうための言葉(=リード文)」、「学習のめあて黒板」があります。

 導入から、徐々に活動が展開していきます。左上の材料を選んだり組み合わせ方を考えたりするところから始まり、その右下には「キリンに見えてきたよ」などとイメージが膨らみ始めた様子が分かる写真があり、中央から右ページにかけてつくりあげたカラフルフレンドの写真が並んでいます。

 そして最後に右下、完成したカラフルフレンドをお気に入りの場所に連れて行って撮影して活動が終了する、というような授業の流れであることが分かります。

 この「題材ページの見方」を知っておくと、授業の流れが一目でつかみやすくなります。

<導入>「学習のめあて黒板」と「リード文」をおさえよう

 授業の始まり、導入の場面で大切になるのは、次の2つです。

①「主発問」で、子どもたちを活動へといざなう
②「学習のめあて」を子どもたちと共有する

これらを考えるヒントが、教科書の中にあります。

 教科書の左上のあたりに注目してみましょう。題材名の下に、「リード文(=子どもたちを活動へといざなうための言葉)」が示されています。子どもたち自身が、題材名とリード文を読むことで、活動のイメージが膨らみ期待感や意欲が高まるように考えられています。もちろん、先生が学級の子どもたちの姿を思い起こしながら主発問を考えるときにも役立ちます。

 また、題材名の右側には、4つの文章が書かれた「学習のめあて黒板」があります。活動に取り組む際に大切にしたいことが、子どもたちに向けて書かれています。上から順に「造形への関心・意欲・態度」、「発想や構想の能力」、「創造的な技能」、「鑑賞の能力」に対応しています。導入の場面でめあてを子どもたちと確認することで、この題材で大切にしたいことを学級全体で共有することができます。

<展開>「情景写真」や「作品写真」から、資質・能力や子どもの思いを読み取ろう

 子どもの活動風景の写真(=情景写真)や作品の写真(=作品写真)は、単に活動例や作品例を示しているだけではありません。その題材で発揮されるであろう資質・能力や、大切にしたい子どもの思い等を読み取ることができます。また、「学習のめあて黒板」に示された4つの観点とも対応しています(詳しくは次回説明したいと思います)。

<振り返り>「活動のあとで」は、学びを実感している子どもの姿

 題材ページの一番右下には、吹き出しで示された「活動のあとで」の言葉があります。題材を終えた後、活動を振り返って子どもたちからこんなつぶやきが聞こえてきてほしい、ということを表しています。

 「見つけた場しょに友だちをおいたら、もっとすてきに見えたよ」という言葉からは、「自分がつくった大切な友だちが素敵に見えてうれしかった」という心情とともに、「作品は置く場所や飾る場所で印象が変わるんだな」という、つくることだけで完結しない造形活動の奥深さや面白さを感じている子どもの姿が読み取れます。

 「活動のあとで」は、活動を通して得た学びを、授業の中だけにとどまらず、「次の活動や生活の中にも生かしていきたいな」と思っている子どもの姿です。これは、新学習指導要領(*3)に示された「学びに向かう力・人間性等」と重なる部分ですね。

 活動を終えた後、この文を見ながら「みんなはどう感じた?」と投げかけ、子どもたちそれぞれが「活動のあとで」感じたことを話し合ってみてもよいでしょう。

山田先生からひとこと
 教科書は、学習指導要領の考え方を踏まえてつくられています。教科書の見方が分かると、授業の見方や子どもの見方、そして図画工作科という教科への理解を深めることにつながります。授業に自信がもてないという先生も、教科書の仕組みを知って、授業のレベルアップに生かしてください!

補足:複数の活動例を紹介している題材ページ

 ちなみに、1つの題材ページの中で、複数の活動例を紹介しているものもあります。

 これは、教科書1・2下「ともだち見つけた!」の題材ページです。左ページでは、ルーペ(理科の授業でも使いますよね)を持ってともだちを探す、という活動例が示されています。右ページでは、まず自分のカメラをつくり、それを持ってともだちを探す活動例が示されています。

 どちらも、「ともだち(顔の形に見えるもの)を見つける」という活動を通して、身の回りの形や色に着目する」ことをめあてとした鑑賞の活動ですが、「虫めがね」と「カメラ」というアイテムが異なります。児童や学校の実態に合わせて、適した方を選ぶことが大切です。

 複数の活動例を紹介している題材ページは、「虫めがねで」「つくったカメラで」といった「見出し」がついているので、気をつけて見てみるといいですね。(*4)

※1:平成27年度版 小学校図画工作科教科書 3・4上 P18-19
※2:1見開き内で、2つの題材を掲載しているページも少しですがあります。また、「左上→右下へと流れていく」ことを原則としつつ、活動のゴールイメージから始まる題材ページや、作品写真を中心に構成しているページもあります。題材のポイントとなる場面が分かりやすいように、適したレイアウトを考えてつくられています。
※3:小学校学習指導要領(平成29年文部科学省告示第63号)
※4:右ページ下の「えに かいて しょうかいしよう」は、「虫めがね(もしくはカメラ)を持って友だちを探した後、見付けた友だちを絵に表す」という、鑑賞を表現へと関連付けた活動例を示しています。

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