小学校 社会

小学校 社会

「日本の国土と人々のくらし」(第5学年)
2013.11.05
小学校 社会 <No.015>
「日本の国土と人々のくらし」(第5学年)
京都府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「日本の国土と人々のくらし」

2.目 標

 国内には位置や地形,そして気候条件から見て特色ある地域があること,人々の生活や産業は地域の自然環境と密接な関連をもっていることを具体的に調べ,自然環境に適応しながら生活している人々の工夫や,人々の生活と産業との関連について考え,表現する。

3.評価規準

○社会的事象への関心・意欲・態度
 気候条件から見て特色ある地域に関心をもち,意欲的に調べ,特色ある地域のよさを見つけようとしている。

○社会的な思考・判断・表現
 人々が国土の自然環境に適応しながら生活や産業を営んでいることやその地域の特色やよさについて思考・判断したことを,言語などで適切に表現している。

○観察・資料活用の技能
 気候条件から見て特色ある地域の人々が,地形や気候に合わせてどのような生活をしているのか,季節のこよみやインターネットなど目的に応じた方法で調べ,調べた結果やおもいをまとめている。

○社会的事象についての知識・理解
 気候条件から見て特色ある地域の様子を具体的に理解している。

4.本単元の指導にあたって

 本単元は学習指導要領において,内容(1)にそのねらいが書かれている。

(1)我が国の国土の自然などの様子について,次のことを地図や地球儀,資料などを活用して調べ,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを考えるようにする。

 小単元「さまざまな土地のくらし」の具体的なねらいは,内容(1)のイに書かれている。

イ 国土の地形や気候の概要,自然条件から見て特色ある地域の人々の生活

 ここでおさえる内容は,次の2点である。1つめは,地域による気温と降水量の違いなどの気候の概要を取り上げ,我が国には四季の変化が見られること,国土の南と北,太平洋側と日本海側では気候が異なることなど,国土全体の気候の大まかな様子や特色を調べることである。2つ目は,自然環境に適応しながら生活している人々の工夫を具体的に調べることである。
 このように,人々が国土の自然環境に適応しながら生活や産業を営んでいることを手がかりにして,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを,広い視野から考えることができるようにすることをねらいとしている。
 実際の指導にあたって,「であう・つかむ」では,北海道・京都・沖縄の雨温図や生活の様子がわかる資料をもとに,同じ2月でも地域によって気候条件に特色があることに気付くようにする。そして,日本の南北に位置する北海道と沖縄にくらす人々の生活に問題意識を向けるようにする。
 「調べる」では,沖縄を取り上げ,家のつくりや産業について調べることで,あたたかい気候条件がもたらす被害からくらしを守ったり,気候条件を利用した産業を営んでいたりする人々の努力や工夫について考えることができるようにする。
 「まとめる」では,沖縄を取り上げて分かった「人々が国土の自然環境に適応しながら生活や産業を営んでいる」ということが,北海道でも言えることを確かめる。
 さらに,日本海側と太平洋側,瀬戸内海側では,気候が異なり,それぞれの地域でくらす人々もまた同じように適応して生活していることを知ることで,「国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていること」という社会認識をより確かなものにできるようにする。このことが,広い視野から考える目を育てることにつながると考える。

5.単元の指導計画

学習の流れ

支援・留意点

評価



○3つの雨温図は,それぞれどの都市のものかを考える。

○調べたいことや気になることから自分の学習問題をつくる。
・きびしい寒さや暑さに対してどんな対策をしているのか。
・気候のちがいによって生活には,どんなちがいがあるのだろうか。

・3つの雨温図がどこの都市のものかを考えることで,南北の位置と気温のグラフとを関連付けて気候の特色に目を向けるようにする。
・同じ2月の写真やポスターを提示することで,北海道と沖縄の気候条件の特色に関心をもつことができるようにする。
・台風と大雪の被害について知ることで,その地域でくらす人に目を向けた学習問題をつかむことができるようにする。

(関)気候の違いに関心をもち,進んで調べようとしている。
(行動観察・ノート)

○クラスの学習問題をつくる。

(思)気候の違いとくらしの関係について自分なりの学習問題をつかみ,学習の見通しをもって追究している。
(発言・ノート)

気候条件に特色がある地域の人々は,きびしい寒さや暑さ,大雪や台風に対して,どのような工夫をしてくらしているのだろうか。

○予想を立てる。
・台風や雪に備えて家のつくりを工夫していると思う。
・あたたかい気候で育つ果物をつくっていると思う。

○あたたかい土地に住む人々は,くらしにどのような工夫をしているのだろうか。
・家の周りを石垣で囲んだり,防風林を植えたりしている。
・風通しをよくして,高い気温や湿度に備える工夫をしている。
・沖縄県は,台風の被害が多く,台風に備えた家のつくりがされている。
・水不足に備えて,タンクをつけている。

・伝統的な家だけでなく,現在の家のつくりも気候に合わせてあることに気付くようにする。
・台風や水不足に備えて工夫されていることがつかめるようにする。

(知)沖縄の人々が,気候条件に適応して生活をしていることを考え,具体的に理解している。
(発言・ノート)

○沖縄県では,あたたかい気候をどのように産業に生かしているのだろう。
・気候に合わせたさとうきびやスイカなどの農作物づくりがさかん。
・気候を生かした花づくりがさかん。
・気候の特色を産業に生かしている。

・台風への備えや気候に合わせて作物を工夫して作っていることについて具体的に考えるようにする。
・産業に従事している人の工夫している姿に対して自分のおもいがもてるようにする。

(技)沖縄のあたたかい気候に合わせた産業の様子について調べた結果やおもいをまとめている。
(ノート)
(思)沖縄の人々が,気候条件に適応した産業に工夫して取り組んでいることを考え表現している。
(発言・ノート)

○沖縄県の文化や自然は,どのようにして守られているのだろう。
・沖縄県独特の文化がたくさんある。
・アメリカの軍用基地が多く残されている。
・文化や自然を大切に残そうとしている。

○沖縄県の人々の生活について,分かったことや考えたことをまとめる。

・あたたかい気候や本土からの距離,軍用地の存在など,沖縄の特色を考え,人々の努力や工夫について,考えるようにする。

(思)様々な資料の中から,自分のテーマにふさわしいものを取捨選択し,沖縄の歴史や伝統,現状や将来について,具体的に考え表現している。
(発言・ノート)

○北海道に住む人々は,くらしにどのような工夫をしているのだろうか。

・沖縄と同じように,寒さや雪への備えがある。
・気候に合わせた産業を行っている。
・自然を生かし,文化を大切に守っている。

○日本各地の気候区分について知り,クラスの学習問題について話し合う。

・沖縄をとり上げて調べて分かったことが,北海道やその他の地域においても言えることを確かめることで,クラスの学習問題を解決し,説明できるようにする。

(思)各地域の人々が気候条件に適応して生活していることを具体的に考え,表現している。
(発言・ノート)

気候とわたしたちのくらしや産業は深くかかわっていて,人々は気候に合わせたり,気候の特色を生かしたりしながら工夫してくらしている。

6.本時の学習

①目標
 気候の違いとくらしの関係について自分なりの学習問題をつかみ,学習の見通しをもって追究する。(思考・判断・表現)

②本時の展開

学習活動

支援・留意点 ◇資料

○3つの雨温図は,A~Fのどの都市のものかを予想する。
・ウは,気温が全体的に低いから札幌市ではないかな。
・イは,1年を通して気温が高いから,那覇市だと思う。
・アは,夏は気温が高く,冬は気温
が低いので,京都市ではないかな。

◇2月の気温のようす図
◇札幌市・那覇市・京都市の雨温図
・雨温図の縦軸,横軸が何を表しているかやグラフの見方を説明する。
・予想の根拠をグループで話し合わせることで,南北に長い日本の都市の位置と気温との関係に目を向けることができるようにする。
・予想がしづらい場合は,ヒントとして気候の特徴を伝えるようにする。

(関)気候の違いに関心をもち,進んで調べようとしている。
(行動観察・ノート)

○札幌市と那覇市の写真やイベントのポスターから,どちらも2月の様子であることに気付き,気候条件に特色のある地域であることを確かめる。
・札幌市は,外でスケートができるなんて,やっぱり寒い気候なのだね。
・那覇市は,2月にお花見をしているなんて,あたたかい気候なのだね。
・日本は,南北に長いから,北と南ではこんなにも気候にちがいがあるのだな。

◇2月の札幌市と那覇市の写真
◇2月の本校のホームページ画像
◇札幌雪祭りと那覇桜祭りのポスター
・札幌市と那覇市の写真がどちらも同じ2月の様子であることや雪祭りとお花見という全く季節感の異なるイベントが同時期に行われていることから,気候条件に特色のある北海道と沖縄の人々のくらしに関心をもつことができるようにする。

○台風と大雪の被害について知り,自分の学習問題をつくる。
・台風に備えてどんな対策をしているのか。
・大雪に備えてどんな対策をしているのか。
・きびしい寒さや暑さに対してどんな対策をしているのか。
・寒さを何かに生かしているのではないか。
・あたたかい気候を何かに生かしているのではないか。
・気候のちがいによって人々の生活には,どんなちがいがあるのだろうか。

◇台風と大雪の被害の写真
・台風と大雪の被害について知ることで,その地域でくらす人に目を向けた学習問題をつかむことができるようにする。

○自分の学習問題を交流し,クラスの学習問題をつくる。

(思)気候の違いとくらしの関係について自分なりの学習問題をつかみ,学習の見通しをもって追究している。
(発言・ノート)

気候条件に特色がある地域の人々は,きびしい寒さや暑さ,大雪や台風に対して,どのような工夫をしてくらしているのだろうか。

○予想をノートに書く。
・台風や大雪でこわれないように,家のつくりを工夫していると思う。
・給食に沖縄産のパインゼリーがでるので,あたたかいところで育つ果物をつくっているのではないかな。
・雪祭りのポスターから考えたけど,イベントを行うなど,たくさんの雪を何かに利用していると思う。

・「~するために」「~だから」「~というところから」などの話型を示し,予想にも自分なりの理由や根拠を明確に書かせるようにする。

7.板書計画