小学校 社会

小学校 社会

「情報を生かすわたしたち」(第5学年)
2013.11.11
小学校 社会 <No.016>
「情報を生かすわたしたち」(第5学年)
京都府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「情報を生かすわたしたち」

2.目 標

 社会の情報化の進展に関心をもち,情報化した社会の様子と国民生活とのかかわりについて調査したり,資料を活用したりして調べ,情報化の進展が国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用が大切であることについて考え,表現する。

3.評価規準

○社会的事象への関心・意欲・態度
 社会の情報化の進展に関心をもち,その利点や問題点について意欲的に調べることを通して,様々な情報に対して適切に判断し,望ましい行動をしようとしている。

○社会的な思考・判断・表現
 情報の有用性や役割,情報の適切な収集・活用,発信や伝達の仕方,情報化のもたらす様々な影響などをもとに,情報の有効な活用について思考・判断したことを,適切に表現している。

○資料活用の技能
 生活や産業の中での情報活用について,資料やインターネットを活用して調べ,ノートにわかりやすくまとめている。

○社会的事象についての知識・理解
 情報化の進展によって人々の生活の向上が図られていることや情報を有効に活用しながら生活する必要があること,情報の送り手として,発信する情報に責任をもつことが大切であることについて理解している。

4.本単元の指導にあたって

 本単元では,情報の有効活用の大切さについて考えるだけでなく,それを実現するために必要な能力や態度についても考え,身に付けられるようにしたい。そこで,「どのようにすれば情報を上手に生かすことができるのだろうか」という学習問題をつくり,追究していくように単元を組み立てた。
 単元全体の導入では,広告やコマーシャルを例にして,生活の中で,わたしたちがどのように情報とかかわり,どのように情報を活用しているかを発表する。また,広告への苦情をもとにして,情報を活用するときに気を付けなければならないことを話し合ったり,この単元で学習したいことを子ども達と考えたりしながら,学習問題をつくっていく。
 学習問題を追究するにあたっては,携帯電話の活用と利便性について,実際に使っている人への聞き取り調査を行ったり,コンビニエンスストアを例として,産業の中での情報ネットワークの活用について調べたりしながら,情報の有効活用について考えていくようにした。
 本時では,グラフの読み取りから,情報化の進展によって生じている問題に目を向けさせる。そして,「インターネットはない方がよいのではないか」と子ども達に問いかける。「あった方がいい」という反応に対しては,「なぜ」「具体的にはどのように役立つのか」とさらに問いかけていく。「ない方がいい」という反応に対しても,具体的な理由を尋ねていく。このやりとりを通して,情報ネットワークやインターネットがいかに生活に役立つものかということを引き出していく。また,発言の中からインターネットの特徴を整理して板書するようにする。さらに,ここで出てきたインターネットの特徴を踏まえて,情報を受け取る場合の注意点と,発信する場合の注意点について考えていく。
 そのためには,先ほどの問いに答えられるだけの体験を,これまでの単元で積んでおきたい。例えば,学校ホームページからの情報発信や,図書検索システムの利用が考えられる。また,医療現場での情報ネットワークの活用や,防災・防犯のための情報ネットワークの活用を調べることも考えられる。いずれにしても,この小単元に入るまでに,情報や情報ネットワークの有効活用が,いかに生活に役立つものかということを子ども達に実感させておくことが重要である。
 情報ネットワーク自体は「目に見えにくい」が,その「よさ」や「効果」なら子ども達の「目に見えたり」「実感したり」することができる。このような体験があれば,情報を有効活用する上で大切なことについて,具体的な事実をもとにして考え,話し合うことができる。言葉だけの理解に終わらないためにも,これまでの学習経験を踏まえた本時の学習を展開していきたい。

5.単元の指導計画

目標

学習活動の流れ

指導上の留意点

1

生活の中での情報活用に関心をもち,情報活用についての学習問題をつくる。

○広告やコマーシャルを例にして,生活の中で情報がどのように生かされているかを発表する。
○広告への苦情をもとに,情報を活用するときに気を付けなければならないことについて話し合い,学習問題をつくる。

【関心・意欲・態度】
【思考・判断・表現】
生活の中での情報活用に関心をもち,情報活用についての学習問題をつくっている。(発言・ノート)

2

生活や産業の中での情報活用について調べ,まとめる。

○わたしたちの生活になくてはならないものになっている携帯電話について調べる。
○産業の中での情報ネットワークの活用例としてコンビニエンスストアについて調べる。

【技能】生活や産業の中での情報活用について調べ,ノートにわかりやすくまとめている。(ノート)

3

わたしたちは生活や産業の多方面で,情報を活用し,それによって生活が便利になっていることを理解する。

○調べたことをもとに,わたしたちの生活と情報とのかかわりについてまとめる。

【知識・理解】
わたしたちは,生活や産業の多方面で情報を活用し,それによって生活が便利になっていることを理解している。(発言・ノート)

4

インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考え,表現する。

○情報化の進展によって生じている問題について資料から読み取る。
○情報を受け取る場合だけでなく,発信する場合の注意点について考える。

【思考・判断・表現】
インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考えたことを,適切に表現している。(発言・ノート)

5

学習問題について話し合い,情報を有効に活用するために自分たちにできることについて考えをまとめる。

○これまで学習してきたことを振り返り,情報を有効に活用するために自分たちにできることについて考えをまとめる。
○情報活用について考えたことを学級でまとめ,ホームページから発信する。

【関心・意欲・態度】
これまでの学習をもとに,情報を有効に活用するために自分たちにできることを,意欲的にまとめようとしている。(行動観察・ノート)

6.本時の学習(4/5)

①目 標
 インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考え,表現する。

②学習展開

主な学習活動

指導の工夫と教師の支援

資料・評価

○グラフ「情報機器の普及率」から読み取ったことを発表する。
・どの情報機器の普及率も上がっている。
・特に,携帯電話とパソコンの普及率が上がっている。
・携帯電話とパソコンは,メールやインターネットができることが共通している。

・途中から携帯電話とパソコンの普及率の変化だけを提示することで,二つの共通点に目を向けられるようにする。

○情報機器の普及率の変化がわかるグラフ
○インターネットが原因の犯罪件数の変化がわかるグラフ

○情報化の進展によって生じている問題について資料から読み取る。
・インターネットを使ったいじめや犯罪が増えている。
・インターネットを通して個人情報がもれた事例がある。

・グラフや資料の読み取りをもとに,インターネットを原因とする犯罪やいじめが生じていることにも気付くことができるようにする。

○インターネットが原因のいじめや割合がわかるグラフ
○情報化によって生じた問題がのっている新聞記事

○インターネットの特徴について考える。
・自分のもっている情報を世界に発信できる。
・たくさんの情報があふれていて,役に立つときもあれば,本当かどうかわからない情報に困るときもある。
・お互いの顔を直接見なくてもやりとりができる。そのことも,犯罪やいじめに関係しているのかもしれない。

・「インターネットはない方がよいのでは」と問うことで,情報ネットワークやインターネットがいかに生活に役立つものかという意見を引き出すようにする。
・発言の中から,インターネットの特徴を整理して板書する。

○インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に,注意することについて話し合う。
・自分が発信した情報できずつく人がいないかを考える。
・うその情報や不正確な情報を発信することのないように,よく確かめる。

・まずは,情報を受け取る場合の注意点について話し合う。その上で,情報を発信する場合の注意点についても考えられるようにする。
・わたしたちに必要な力として,メディアリテラシーについて知らせる。

【思考・判断・表現】
インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考えたことを,適切に表現している。(発言・ノート)